地質調査研究報告
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52 巻 , 11-12 号
地質調査研究報告
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論文
  • 関 陽児
    2001 年 52 巻 11-12 号 p. 493-571
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル フリー
    奥会津地熱地域に分布する下部中新統滝沢川層を主な対象として,貯留槽深度における,現在の地熱活動による母岩の変質を記載するとともに,変質に伴う化学成分の移動傾向を明らかにし,変質帯の成因を考察した. 滝沢川層は地熱系の貯留槽深度(地表下1000~2000m) および地熱系外西方の地表に広く分布し,流紋岩~デイサイトの溶岩および同質火山砕屑岩からなる. 地熱系外の滝沢川層は,イライト,緑泥石を特徴鉱物とし基質の脱ハリ,粘土鉱物化,方解石化,黄鉄鉱化を伴う広域的な続成変質を受けている. 地層温度約100℃以上の領域を現在の地熱系の温度影 響範囲内(「地熱系内」)とみなすと,そこに分布する滝沢川層には,中新世の広域続成変質に現世の地熱変質が重複した結果,四つの変質帯,すなわちイライト・緑泥石+帯ーイライト帯,カオリナイト帯,混合層粘土鉱物帯が形岐されている.--- ---変質帯と地熱系の地質・温度・水理構造や流体の化学性状などを合わせて考察すると,系内にみられる多様な変質帯は,それぞれが系内に分化した物理化学条件やその変化に対応して形成されたと考えられる.すなわち,イライ卜・緑泥石+帯はC02ガスに富む高塩濃度の地熱流体が貯留槽中を移動しつつ周辺母岩中に浸透することにより,イライト帯は相対的に透水’性の高い岩石中を地熱流体が沸騰しつつ浸透することにより,カオリナイト帯は貯留槽深度周辺における気液分離で生じたC02 ガスが浅層の地下水に吹き込むことで生じた低温の炭酸酸性水と母岩との反応により,混合層粘土鉱物帯はカオリナイト帯が形成された場の最も外側で低温の浅層地下水により,それぞれ形成された.
  • 伊藤 康人, 土志田 正ニ, 北田 数也, 檀原 徹
    2001 年 52 巻 11-12 号 p. 573-579
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル フリー
    鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩(以下,鷲走ヶ岳流紋岩)は,西南日本東部の中新統北陸層群の最下部に位置づけられる.日本海の背弧海盆拡大に伴う西南日本の回転運動を明らかにするため,鷲走ヶ岳流紋岩の古地磁気測定とフイソション・トラック(FT)年代測定を実施した.安定な地点平均古地磁気方位とジルコンFT 年代が,それぞれ5地点と3地点で決定された. FT年 代は20~22Maの範囲で,Rb-Sr全岩アイソクロン法による以前の年代と調和する. 20Ma前後の数値年代は,熱水変質イベントの時期に対応しており,それは鷲走ヶ岳流紋岩の再磁化を引き起こしたと考えられる.傾動補正を行った古地磁気方位は大きく東偏し(約50°),調査地域が20Ma以降に時計回りに回転したことを示す.近隣丘陵の医王山層(15~16Ma)の古地磁気方位との比較から,今回の結果は,調査地域が前期中新世には有意に回転しなかった可能性を示唆している.
  • 平野 英雄, 青木 正博, 須藤 定久, グエン バンクイ
    2001 年 52 巻 11-12 号 p. 581-598
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル フリー
    ベトナム北部のタンマイパイロフィライト鉱床は5つの鉱体で構成され,うち2鉱体が開発されている. 鉱床の原岩は珪長質火山岩で,鉱床は鉄分の少ない変質岩からなる.変質岩をその構成鉱物から,カオリン帯,パイロフィライト帯,珪化帯,ダイアスポア帯,アルーナイト帯に区分することを試み,その生成順序と物理条件を推定した.最初にカオリン帯が形成された.熱水の温度上昇に伴い,パイロフィライト帯と珪化帯が,それぞれの原岩透水率の違いにより形成された.ダイアスポア帯は珪化帯中の割れ目に沿って形成されているが,その産状から熱水の温度上昇よりは,むしろ垂直的な割れ目の生成にともなうP H2Oの低下が原因で生成されたらしい.アルーナイト帯は熱水活動の末期に形成された.鉱床の主体をなすパイロフィライト帯の形成温度は,その鉱物組み合わせからおよそ260-290°Cと見積も られる.
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