福井県東部の経ケ岳火山南西麓には,同火山に由来す る0.3km
3の塚原野岩屑なだれ堆積物が分布する.同岩屑なだれは標高差1.4kmを流れ下り,給源の経ケ岳から11kmの距離まで達し,塚原野と呼ばれる比高10-25m, 2.5平方kmの流れ山が発達した台地を形成 している.堆積物は,主に温泉変質を受けた溶岩と脆い火砕岩の不規則な混合物からなり,様々なプロックを含み,火砕岩のブロックには流れに沿う炎状の顕著な塑性変形と覆瓦構造が発達する. その堆積年代は堆積物上位と下位の黒土の14C年代測定値から,6700年から5000年の問と特定できる.給源の経ケ岳火山の活動が約100万年前と推定されることか ら,この岩屑なだれ堆積物は火山活動に直接結びついたものでは無く,上記期間に発生した地震等をきっかけに,流下堆積したものと判断できる.
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