地質調査研究報告
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52 巻, 9 号
地質調査研究報告
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論文
  • 石原 与四郎, 徳橋 秀一
    2001 年 52 巻 9 号 p. 383-404
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2015/04/17
    ジャーナル フリー
    千葉県の房総半島中央部の小糸川上流域に位置する清和県民の森周辺には,新第三系の安房層群天津層,清澄層および安野層が分布する.天津層は半遠洋性泥岩の卓越するベースンフロア堆積物,清澄層および安野層は砂岩優勢から泥岩優勢へと変化するタービダイトサクセッションである.この地域には,古くからの三島ダム湖,豊英ダム湖の存在により,他の地域のような凝灰岩鍵層の分布に基づいた詳細な地質図の作成やそれに基づいた層序や構造等の検討は今まで行われていない.本研究では,モーターボートを用いたダム湖の調査及び周辺丘陵山間部の調査により,本地域の詳細な地質図を作成するとともに,そこに分布する清澄層および安野層の層序・層相を明らかにした. その結果,地質構造は,詳細な地質が明らかになっている東側の半島中央部と同様,一組の向斜・背斜軸に沿って地層が分布すること,全体的に上位の上総層群も切る南北系の断層が卓越するが,清澄層が厚く分布する向斜南翼の一部では東西方向の逆断層が存在することが明らかになった. 属相については,清澄層は下位の天津属境界から整然とした砂岩泥岩互層の堆積からなるが,その上位の安野層には今まで報告にない大規模なチャネル構造や礫層を伴うチャネル充填堆積物が認められた.チャネルによる下位層準の削剥は天津層Am78層準まで及ぶと推定される.また,全体的には清澄層から安野層にかけて,上位に向かつて北側に堆積の中心を移すこと,どの層準でも背斜軸とその周辺では,泥岩が粗粒化していることなどが明らかになった. 房総半島の中・東部域では,整然とした泥岩優勢のタービダイトサクセッションである安野層が,本地域では,幅1km,長さ数kmのチャネル構造をもつことが明らかになり,安野層の堆積様式を考える上で,本地域が極めて重要な地域であることが判明した.
  • 小池 克明, 古宇田 亮一, 植木 俊明
    2001 年 52 巻 9 号 p. 405-423
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2015/04/17
    ジャーナル フリー
    主要なリニアメントは,鉱物資源や地熱資源、を旺胎させる断層破砕帯と関連する場合が多い.したがって,陸域と海底の両方を対象としたリニアメント解析は,局所的・広域的な断裂系の特徴を広く理解するのに重要である.この理由から,線素追跡アルゴリズム(STA)と称するリニアメン卜自動抽出法,およびリニアメントデータと数値地形モデル(DEM)データとを組み合わせ,推定断裂面の走向・傾斜を算定するベクトル解析j去を開発した.九州を解析対象地域に選び,LANDSATTMバンド4データを用い,3枚のフルシーン画像から77,893本のリニアメン卜を抽出した高品位の浅熱水性鉱脈型金鉱床の周辺においては,連続性の良い推定断裂面の方位が主要鉱脈の方位と概ね対応し,鉱床脹胎と断裂系生成との関連が見出された.九州中部の豊肥地熱地域では,熱水が深部から地表へと上昇する際に通路となり得る重要な断裂が推定できた.さらに,水深データを補間することでlkm格子間隔のDEMを作成し,この陰影図を用いて海底地形のリニアメント解析を行った.陸域と海底のリニアメン卜図の組み合わせは,2つの地域に連続する地質構造的に重要なリニアメントを見出し,断裂系の形成メカニズムの 考察において有効である.
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