地質調査研究報告
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53 巻 , 2-3 号
地質調査研究報告
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口絵
論文
  • Masakatsu SASADA
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 61-62
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
  • 村岡 洋文, 内田 利弘
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 63-77
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    5年計闘のインドネシア日本二国間研究協力プロジェクト「遠隔離島小規模地熱の探査に関する研究協力」は1997年4月にスタートし,2002年3月に終了する予定である.本報は本特集号への導入部として,地質調査総合センターにより実施されたこのプロジェクトの総括を行う.本報では先ず,このプロジェクトの背景として,目標,研究協力体制,研究スケジュール,研究分担等について,レヴュー する.次いで,地質調査総合センターの年次活動と成果の概要について述べる.
  • Sjafra DWIPA
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 79-86
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシアは豊富な地熱資源に恵まれている.しかしながら,2001年までに開発済の地熱エネルギーは787メガワットに留まっている.インドネシアの地熱発電量をさらに増加させるには,コスト競争力の弱さなどの障害を克服しなければならない.このことから,政府が地熱蒸気開発リスクを分担し,公正な競争および民開業者の効果的な参画を導入することが,新たに決定された.地方自治の支援策として,政府は離島地域の開発を促進するインフラストラクチャ拡張のための安定的電力供給および地方電化を最優先しており,30,394の村落が電化された.我々は地熱開発における実り多い協力を期待しており,発展の勢いを保つため投資家の参入を歓迎する.
  • Asnawir NASUTION, Hirofumi MURAOKA, Mawardi RANI, Isao TAKASHIMA, Masa ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 87-97
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    フローレス火山弧の溶岩類は玄武岩からデイサイトの組成範聞をもつが,とくに安山岩に卓越し,ソレイアイト岩系ではビジョン輝石,カンラン石を,カルクアルカリ岩系では角閃石や黒雲母を斑晶とし て合む.化学的には,広い範囲のSiO2 (51ー67 wt.%)およびAl2O3 (14-20 wt.%)合量と低いTiO2 (<1 wt.%)含量を示し,比較的高いRb,SrおよびBa含量を示す. これらKグループ元素はべニオフ帯の深度の増大につれて増加する. ソレイアイトからカルクアルカリ溶岩にかけてのストロンチ ウム同位体比は0.7042-0.7045であり,これも島弧を横断して沈み込むスラブの深度に比例していると推定される. フローレス島の地熱有望地域は若い安山岩や玄武岩の火山地域に位置し,標高500-1000 m にあって,火山活動後の断裂と断層や,カルデラ構造に伴う. 湧出熱水は広い化学的タイプを示 し,硫酸塩型,塩素型,重炭酸塩型に分けられる.硫酸塩型は主に噴気に伴って,高い火山地域 (標高 700-1100 m)に位置し,表層におけるH2Sの酸化を示す(Ulumbu, Mataloko, NageおよびSokoria). 重炭酸塩型熱水はLangagedaやSokoria2のように火山中腹 (標高400-700 m)に位置する. 中性塩素型熱水は低い火山地域 (標高5-600 m)に位置し,温度210-280 ℃の地熱貯留層からのアウトフローを示す.地熱井はUlumbu とMataloko地熱有望地域でそれぞれ700-1800 mと200m の深度まで掘削されているが,200から240°C の地下温度を示し,その高い硫酸塩濃度が蒸気卓越型に伴うことを示している. 同様の型はSokoria地域にも期待される. 他方,高塩素型の地熱有望地域はおそらく熱水卓越型か混在型を示すのであろう (Wai Sano, Wai Pesi, Jopu, LesugoloおよびOka).
  • 浦井 稔, 村岡 洋文, NASUTION Asnawir
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 99-108
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    ンガタ地域において地熱資源探査を目的として,JERS1のSAR,OPSおよびASTER VNIR, TIRを用いたリモートセンシング調査を実施した.その結果,多数の直径5km以下の火山円錐丘がバジャワ付近のSAR画像に見られた.その内のいくつかは南北方向に並んでいる.SARは全天候性の観測能力があるため,光学センサによって雲の無い画像を撮影することが難しい当該地域においても 火山の特徴を詳細に捉えることができた.一方,太陽高度が高かったため,OPS画像ではSAR画像に比較して火山の特徴を捉えることは難しかった.近年打ち上げられた新しい高空間分解能センサであるASTER TIRによってナゲ地熱地域の熱異常が促えられた.これらの結果は地熱応用における衛星 リモートセンシング調査の有用性と限界を実証するものである.
  • Hirofumi MURAOKA, Asnawir NASUTION, Minoru URAI, Masaaki TAKAHASHI, Is ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 109-138
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    遠隔離島小規模地熱の探査に関する研究協力(ESSEIプロジェク卜)の一環として,インドネシア,フローレス島中部のパジャワ地熱地域とその周辺地域において,1998年以来,広域地質の研究が実施されてきた.この地域では4Ma以降,中央部と南海岸部において火山活動が起こった.この両地域はフローレス島からアロール島にかけて特徴的なエシェロン状火山島構造の要素を構成している.これら両地域では,過去250万年の聞に,約800mの隆起が起こった.中央部においては約2.5Maにウェラスカルデラが形成され,その後カルデラ火山活動の後は,ほとんど,火山活動が終息している.南海岸部では,4Ma 以降,現在に至るまで,火山活動が続いている.とくに顕著な出来事はパジャワリフトゾーンの出現であり,これは東側の北進するオーストラリア付加体ブロックと西側の相対的に静止したスンダランドブロックとの聞に生じた南北方向の左横ずれせん断応力に関係づけられる.パジャワリフトゾーンはおそらく0.8-0.2 Ma頃の,NNW-SSE方向に伸びた火山体の形成によって始まった.次いで,この稜線付近より,東側の火山体の崩落が起こった.その後,この崩落域はパジャワシンダーコーン群を生成し,これはNNW SSE方向のリフトゾーンに沿って20kmにわたって配列する60個以上のシンダーコーンから成る.調査地域の大部分の火山岩類は玄武岩質,ソレイアイ卜岩系であるが,このパジャワリフトゾーンの噴出岩は南北に伸びた火山体とパジャワシンダーコーン群とを合めて,安山岩質,カルクアルカリ岩系であり,かつ組成的に非常に均質な特徴をもつ.このことは,パジャワシンダーコー ン群の多数のコーン配列の地下で岩脈群マクマが相互に連結していることを示唆する.調査地域の3つ の蒸気湧出域といくつかの高温温泉湧出域は,熱源としてのパジャワリフトゾーンマグマ系に密接に伴って分布している.
  • 高島 勲, NASUTION Asnawir, 村岡 洋文
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 139-146
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア・フローレス鳥のパジャワ地熱地域周辺の火山岩と変質岩の熱ルミネッセンス年代測定を行った.火山岩は,中心部の新期成層火山群を対象に8個測定し,最も新しいイネリエ火山噴出物が32 ka,それ以外の小成層火山が72-160kaとなった.この年代は,本地域についての初めての報告であり,地熱開発の点では十分熱源になり得るものである.変質岩についても8個の測定を行い,マタロコ変質帯では33ka,ナゲ変質帯では54kaより若く,ともに地下に貯留層が期待される.
  • 村岡 洋文, AsnawirNASUTION , 浦井 稔, 高橋 正明, 高島 勲
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 147-159
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア・フローレス島中部パジャワ地熱地域から46個の火山岩類の多成分分析を行った.このうち26個はパジャワシンダーコーン群と呼ばれる多数のシンダーコーンを含め,パジャワリフトゾーン火山岩類から採取した.分析の結果,この地域にはどちらかといえば玄武岩からデイサイトにわたるソレイアイトが多いが,パジャワリフトゾーン火山岩類はカルクアルカリ安山岩であり,26個の試料を通じて,主成分も微量成分もきわめて均質であることがわかった.パジャワリフトゾーン火山岩類を擬似三成分系図にプロットすると,その分布は相境界に規制されており,約3kbarあるいは10kmの深度で平衡していたことを示す.この深さはこの地域の海洋性地殻の底に近いことから,リフト型マグマ活動がこのような浅部でのマグマ生成を可能にしたものと考えられる.パジャワリフトゾーン火山岩類のマグマの均質性はマグマ発生域から地表までの短い距離と,途中で停止することのない岩脈群としての上昇に起因している.
  • 大竹 正巳, 高橋 洋, 小関 武宏, 義山 弘男
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 161-173
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア共和国フローレス鳥中央部lこは東西13-16 km,南北12km以上のパジャワ陥没地が位置する. 鮮新世~前期更新世にソレアイト系列の玄武岩~安山岩質複成火山体が形成され,その後火山体中央部において陥没が生じパシャワ陥没地が形成された. その陥没は,北-南,北西-南東,北東-南西方向の断層によって分割された基盤岩ブロックの沈降によって生じたと推定される. 陥没地はカルクアルカリ系列の安山岩質の火山活動により安山岩溶岩・火砕岩に埋積され引き続き断裂沿いに多数の火砕丘が形成された. その後,陥没地南西縁においてソレアイト系列の安山岩質成層火山(イネリエ火山)が成長した.
  • 村岡 洋文, 安川 香澄, 浦井 稔, 高橋 正明, AsnawirNASUTION , 高島 勲
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 175-182
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア・フローレス島のイネリカ火山において2001年1月11-16日に95年間の静穏期を経てマグマ水蒸気噴火が起こった.この噴火とその結果生じたl噴火割れ目について記述した.イネリカ火山は北北西-南南東方向に16kmにわたって伸びるパジャワ噴石丘群の北部を構成している. 噴火開始以降,火山灰降下は6日間続き,水蒸気放出は2ヶ月間続いた.特筆すべき点は,この噴火の結果, N16°W 方向に伸びる幅約20m,長さ約300m の噴火割れ目が形成されたことである.これは地下浅部lこ薄い岩脈状マグマが侵入して生じた伸張性割れ目であると推定される.
  • 高橋 正明, 浦井 稔, 安川 香澄, 村岡 洋文, 松田 鉱ニ, 赤迫 秀雄, 小関 武宏, 久谷 公一, Dedi KUSNADI, B ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 183-199
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア東部,ヌサ・テンガラ諸鳥東部,フローレス鳥中部のパジャワ地域の地熱性状を評価す るため,温泉,湧水,河川水,降水を採取し,地化学的な分析を行った. マタロコ,ナゲ-ケリ,ティオリブ-ボボ,ソカ,メンゲルーダ及びゴウ-トゥカペラの5有望地熱兆候地帯は,イネリ,イネリカ及びエブロボ火山と30以上の単成火山群の近傍にあり,ンパイ地域は北東部海岸地帯にある. 温泉の温度は,マタロコで90°C以上,ナゲで75°C 以上,ケリ ティオリブで70℃以上,ンパイで60℃以上,その他の地域で40-45°Cである.大部分の温泉は酸性硫酸塩型,ナゲ温泉水のみは酸性硫酸塩-塩化物塩型の性質を示す ナゲ以外の酸性温泉の温泉水中の溶存硫酸塩と塩化物塩の起源は,硫化水素を含む相対的に低温の火山ガスの酸化と,酸性変質帯の間隙水との混合である.ナゲ温泉水のi容存硫酸塩と塩化物塩の起源のみは,塩化水素や二酸化硫黄を含む高温火山ガスと酸性変質帯の間隙水である可能性がある.
  • Masaaki TAKAHASHI, Minoru URAI, Kasumi YASUKAWA, Hirofumi MURAOKA, Koj ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 201-209
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア東部,フローレス島中部のパジャワ周辺50km以内にある湧水,河川水及び降水を採取し,その水素・酸素同位体組成を分析した. (1) 水素-酸素同位体組成図上では,水試料は天水線近くにプロットされ,そのd値は1998年採取試料は約10, 1999年採取試料は約20であった.d値の変化は,冬季と夏季の降水の同位体組成の違いを反映している可能性が考えられる. (2) 同位体標高効果は,水素同位体組成で-0.98‰/100m, 酸素同位体組成で-0.13‰/100mであっ た. これらの値は他の島で観測される値の範囲内である.
  • Herry SUNDHORO, Sjafra DWIPA, Asnawir NASUTION, Hiroshi TAKAHASHI, Jan ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 211-215
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    本地域には北東-南西方向の断層に沿って,少なくとも8箇所の温泉と弱変質需からなる地表地熱徴候が存在する.これらを調査した結果から,本地域の地熱系はアウトフロー型であると考えられる.ゴウおよびメンゲルーダ地熱地域について構築されたモデルもアウトフロー型の地熱系を示している.本論文の目的は,メンゲルーダ有望地域の地熱利用形態として直接利用と間接利用のいずれが適しているかを指摘することにある.地質学・地球化学・地球物理学探査の結果によれば,メンゲルーダの地熱エネルギーに対しては直接利用が推奨される.地熱エネルギーの直接利用は農産物の乾燥・加水および観光である. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • Dedi KUSNADI
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 217-230
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    イネリカ火山コンプレックス付近の温泉および噴気調査として,イネリカ火山山頂から,これより低地のゴウ地域およびさらに低地のメンゲルーダ地域までの,イネリカ火山から東へ最大12kmにおよぶほぼ直線上の湧水および河川水試料の地化学分析を実施した.全試料について主成分および微量成分を分析した. 温泉および噴気の主成分・微量成分および希土類の濃度は,温度とpHに依存する.すなわち,錯体を形成する配位子の性質,岩石の初期構成鉱物パターン(溶脱または溶解を受けている),火山地域で はガラスとマグマ鉱物(希土類の挙動をコントロールする卓越相),岩石の変質過程における2次鉱物 の分別作用である.また複数のメカニズムが複合していることは,自然状態で容易に観察できる. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • 駒澤 正夫, 松久保 和人, Zulkarnain NASUTION, Herry SUNDHORO
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 231-238
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア・フローレス鳥中部で重力調査がおこなわれ,総測点数は800点に達した.イネリエ火 山,イネリカ火山,マタロコ地熱地帯など火山や地熱活動の活発な調査地域南部は,高重力異常となって基盤の盛り上がりを示した.基盤構造が盛り上がっている構造は,通常の火山でも多数観測されている.但し,マタロコ地熱地帯はやや基盤が深くカルデラ状の構造が想定できる.また,イネリエ火山の表層密度は,1.7g/cm3程度と解析され異常に小さい.山体自体が固結した溶岩の比率が小さいことが考えられるが,重力の鉛直勾配が局所的に1割程度大きくなっていれば,通常の火山の表層密度である 2.2 g/cm3程度の結果を得ることになる.現時点までの経験では,後者のケースは稀である.調査地中部のウェラスカルデラについては北側だけが確認できる馬蹄形で,南側のカルデラ壁は不鮮明である.原因としては,後に生じたメンゲルーダより西方に伸びる地溝構造に関連する造構運動により消滅したと考えられる.
  • , Sjafra DWIPA, Asnawir NASUTION, 高橋 洋, Janes SIMANJUNTAK, Arif MUNAND ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 239-246
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,インドネシアのフローレス島ゴウ地域における地熱エネルギ一利用可能性を確認し記述することである.ゴウ地域における地球科学総合調査の結果を概観すると以下の通りである.地質層序は火山岩類および堆積岩類からなり,その下位に第三紀の基盤岩類がある.地表地熱徴候は北東-南西方向のメンゲルーダ断層に沿って分布し,温泉・噴気・変質岩などからなる.マナガラ,ワトゥ・ウティ,トゥカペラの各温泉の温度は最高47.5℃で,湧出量は毎分5~7リットルである.温泉はすべて高濃度の酸性硫酸塩泉であることが特徴である.また,メンゲルーダ断層に沿った温泉近傍の地表では粘土化変質がみられる.土壌ガス水銀濃度の高い場所はマナガラ温泉およびワトゥ・ウティ温泉の周辺に集中しており,最大564ppbである. AB/2=1000 m での低見掛比抵抗(10Ωm未満)の水平分布もこれらの温泉周辺に集中しており,北東方向に開いた形状である. この有望地域は少なくとも約2 km2に及ぶ.低比抵抗帯の垂直分布は深度350~700mである. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • Arif MUNANDAR, Achmad ANDAN, Janes SIMANJUNTAK
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 247-251
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    Head-on法は,地下に伏在する比抵抗異常をマッピングすることを目的に開発され,特殊な電極配置を用いる. これはシュランベルジャ配置の電流電極A, Bの方向に対しでほぼ垂直に,第3の電流電極Cを遠く離れた場所に追加的に配置するものである.今回の調査では,インドネシアのフローレス島マタロコ地熱地帯において,破砕帯の位置を決定するためにHead-on法を用いた. Head-on法の見掛比抵抗プロファイルによれば,ワイ・ルジャ断層は北西-南東方向で北に53°傾斜した正断層である. マタロコ地熱地帯の主な地熱徴候(噴気,温泉,変質)は,ワイ・ルジャ断層に規制されている. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • 内田 利弘, Achmad ANDAN, Achmad ASHARI
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 253-263
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    インドネシア東部に位置するフローレス島パジャワ地熱地域においてインドネシア鉱物資源調査局が取得したシュランベルジャ法電気探査データについて2次元解析を実施し,地熱貯留層に関する考察を 行った.当該地域にはマタロコ,ナゲ,ボボといった比較的規模の大きい地表徴候地がある.電気探査はそれらの場所における貯留層構造の解明を目的として行われた. 2次元解析はマタロコ地区10測線, ナゲ地区2測線,ボボ地区4測線に対して行った. 大部分の測線では,地下浅部に高比抵抗層が分布し, これは変質をあまり受けていない新期火山噴出物層に対応するものと解釈される. その下部には厚い低比抵抗層が広がっており,これは低比抵抗の粘土鉱物に富む層であると判断される. マタロコ徴候地を含むいくつかの箇所では,深部に高比抵抗基盤を捕らえた.マタロコ徴候地では,低比抵抗層の比抵抗は非常に小さく,高比抵抗基盤が存在することを考慮すると,下部に有望な地熱貯留層が存在するものと推測される. しかし,本シュランベルジャ法電気探査の最大電極間隔AB/2は1000 m あるいは2000 m であり,探査深度は十分とはいえず,他の場所で地熱貯留層の存在を示唆する高比抵抗基盤の存在を確認することはできなかった.
  • 内田 利弘, Tae Jong LEE, 本田 満, Achmad ASHARI, Achmad ANDAN
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 265-283
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    地質調査総合センター,新エネルギー・産業技術総合開発機構,インドネシア鉱物資源調査局間の共同研究の一環として,インドネシア東部に位置するフローレス鳥パジャワ地熱地域においてMT法による比抵抗調査を実施した. 得られたデータについて2次元解析及び3次元解析を行い,地熱貯留層構造について解釈を行った. 解析に用いた3次元インパージョン手法は平滑化拘束つきの線形化最小二乗法に基づいており,地下の比抵抗パラメタに加え,見掛比抵抗に含まれるスタティックシフトを同時に求めることができる. 2次元及び3次元解析モデルを比較した結果,両者が互いに整合性がとれていること,及び,本3次元インパージョン解析手法を実測のMT法データに十分適用できることを確認した. しかし,2次元解析,3次元解析とも不完全な要素を含んでいる. 地質構造が複雑で3次元性の強い地域に2次元解析を適用すると,測線下や側方にある3次元的構造のため,2次元モデルには偽像が生じることがある. 逆に,本研究で用いた3次元解析法では,均質媒質を仮定して求めたヤコビアン行列 (感度行列)をすべての反復で用いているので,コントラストの大きい構造の場合,得られるモデルの信頼性が悪くなることがある. パジャワ地熱地域の中心であるマタロコ地区における比抵抗解析結果は以下のような特徴を有している. 地下浅部には薄い高比抵抗層がありこれは変質をあまり受けていない火山l噴出物に相当する. しかし,地表徴候のある区域では浅部から低比抵抗を示す. その下部には,調査域全体にわたって低比抵抗層が広がっている.特に地表徴候地の下は1 ohm-m程度の低比抵抗層であり,その層厚は400-500 m 程度である. この低比抵抗層は貯留層の帽岩になっていると解釈され,浅部坑井調査からもモンモリロナイトの分布が確認されている. 低比抵抗層の下には高比抵抗基盤が広 がっており,これは熱水の貯留部に相当すると解釈される. 高比抵抗基盤は地表徴候地の下で最も浅く (深度は約500m),西方に向かって急激に深くなっている.
  • 安川 香澄, Achmad ANDAN, Dendi S. KUSUMA, 内田 利弘, 菊地 恒夫
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 285-294
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    インドネシア・東ヌサテンガラ諸島・フローレス島のマタロコ及びナゲ地熱地帯において自然電位 (SP)調査が行われた. その結果,マタロコ地域では,地熱徴候地において最大のSP正異常が観測さ れた. 数値シミュレーションの結果は,上昇流域の範囲を示している. 一方,ナゲにおいては,明白な正異常を示す特異な1観測点は存在しなかった. ナゲのワエパナ川に沿ったSPプロファイルは,局所的な流出ゾーンが川に沿っていくつも存在していることを示している.
  • Sri WIDODO, Fredy NANLOHY, Kastiman SITORUS
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 295-300
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    1999年10月,「遠隔離島小規模地熱の探査に関する研究協力(ESSEI)」の一環として,インドネシア火山調査所(VSI)によってフローレス島ンガダ郡のマタロコ地熱地帯で浅部調査井MTL-1が掘削された. 掘削予定深度は250mであったが,103.23mまで掘削した時点で突発的な蒸気噴出に遭遇した.坑井をシャットダウンした状態で坑口圧は3bar,地表での蒸気温度は115°Cであった. 蒸気はマタロコ地熱貯留層の深部で生産され,坑井近傍のワエ・ルジャ破砕帯を通って地表に漏れ出ていたものである. 地下地質は,安山岩質凝灰岩,輝石安山岩,安山岩質凝灰角礫岩および安山岩からなり,中温(120 -190 °C)熱水による変質を受けて2-15 %の膨潤土を含む変質粘土となっている. (要旨翻訳: 安川香澄・水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • Janes SIMANJUNTAK, Muhammad YUSUP
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 301-305
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    マタロコ地熱地域のMT-1井では突発的なブローアウトにより半径20mの範囲で蒸気のリークが起こったが,グラウチングによりこれを止めることに成功した. 安全主義に基づき,本坑井は地表までセメントで埋め戻された. 次にリグを一旦分解して,MT-1から35m北東に位置するMT-2井の地点に移動した. MT-2周辺の地盤はMT-1とほとんど同様に不安定であることを考慮して,蒸気リークを防ぐためMT-2から半径5mの範囲にグラウチングを実施し,その後リグアップを行った. マタ ロコ地熱地帯におけるグラウチングは,結果として,MT-1のブローアウトを起こした地表断裂からの蒸気リークを防ぐのに極めて有効であった. グラウチングはMT-2周辺の基礎を固めることに成功し,MT-2の掘削中から長期閉鎖期間まで蒸気リークは全く起こらなかった. (要旨翻訳: 水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • 末吉 喜和, 松田 鉱ニ, 下池 忠彦, 小関 武宏, 高橋 洋, ニ子石 正雄, Kastiman SITORUS, Janes SIMA ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 307-321
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    地熱エネルギーが広く賦存すると考えられているフローレス鳥のマタロコ地熱地帯において,2本の調査井を掘削した. 坑井MT-1は,ワエ・ルジャ川北側において掘削深度1,000m で計画したが,深度207.26m 付近で蒸気層に遭遇し,蒸気が噴出した. ただちに坑口弁を閉じたが,同時に坑井周辺の地表部から蒸気が噴出し,坑井周りの地獄化が懸念されたため,MT-1坑口周辺のセメントグラウト作業を実施した.グラウ卜完了後,清水注入により噴出を停止させ,坑井をセメントで埋め戻した. 2本目の坑井MT-2 は,MT-1と同一基地から掘削深度230m で計画したが,深度162.35m 付近で蒸気層に遭遇した. 同深度で仮噴出試験を実施し,噴出に成功したため,掘り止めを決定した. MT-2 では,本格的な噴出試験をリップ・プレッシャ一法により実施し,抗口圧力・蒸気流量の測定,同時に化学同位体分析のために,噴出流体のサンプリングを行った. 噴出量測定から,本坑井の最大蒸気量は 4.57kg/sec. (16.5 ton/hr)であることが確認された.
  • Dany ASWIN, Fredy NANLOHY
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 323-328
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    短波長赤外線反射スペクトルは,鉱物の調査,特に鉱化作用に関連する変質鉱物の認定に広く用いら れている. 本手法は地熱調査にも,特に地熱系の物理・化学的特性に関連する熱水変質鉱物の決定に, 極めて有用である. MT-1およびMT-2井において検出された主な熱水変質鉱物は,モンモリロナイ ト(士沸石),ハロイサイト,カオリナイト,イライト,ディッカイ卜である. スメクタイト・グループ(モンモリロナイト)とカオリン・グループ(カオリナイト,ハロイサイト,ディッカイト)が重なっ ていることは,2種類の流体環境があったことを示している. スメクタイト・グループは非酸性環境で生成するのに対し,カオリン・グループは酸性環境で生成する. Al-OHバンドの波長は地表付近から坑底に向かつて減少傾向を示し,モンモリロナイトに富む(Al-OHバンドの吸収が高い)状態からイライ卜に富む(Al-OHバンドの吸収が低い)状態へと変化することを反映している. すなわち,Al-OHバンド波長のデータにより,地表付近のスメクタイト卓越ゾーンから坑底のイライト卓越ゾーンへ移化することが明らかとなった. また,このことから地熱系の熱史も明らかになると考えられる. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • Fredy NANLOHY, Kastiman SITORUS, KASBANI, Sjafra DWIPA , Janes SIMAN ...
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 329-336
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    マタロコ地熱地帯はンガダ郡の郡都パジャワ市の東にあり,東方をエブロボ,北西方をイネリカ,南-南西方をイネリエの各火山に囲まれている. 本地域の地表地質は第三紀-第四紀の火山噴出物を主とする. 火山活動には少なくとも2回の活動期が識別できる.1回目は第三紀のマウンバワ溶岩と緑色凝灰岩からなる基盤で,2回目は第四紀のワトゥマヌ,ロトゲサおよび円錐火山群を特徴とする火山岩類で ある. 浅部井MTL-1,MT-1およびMT-2の坑井地質によれば,MT-1およびMT-2の層序はほぼ一致するが,MTL-1はデイサイト質の火山灰を特徴とする. 全体として,マタロコ地熱地帯の地下地質は,第四紀のデイサイト質火山灰と,火砕岩類および普通角閃石安山岩を挟む輝石安山岩からなる.(要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))
  • 佐脇 貴幸, 村岡 洋文
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 337-341
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    マタロコ地熱系のMT-1及びMT-2井から得られた流体包有物について,マイクロサーモメトリー及び化学分析を行った. MT-1井坑底部の流体包有物の均質化温度は,マタロコ地域の地質学的・地球化学的データから推定されている温度構造と一致する.しかしMT-2井坑底部の均質化温度データは,推定されている坑底温度(200℃)よりも20-30°C程度高い. 全ての流体包有物の塩濃度は低い. MT-1井坑底から得られた流体包有物についてのガス成分の半定量分析によれば,流体包有物の主成分はH2O であり,微量のCO2とCH4を伴う. これらのデータは,流体包有物が,本地熱系の浅部で,少量のガスを合む220-235°Cの凝縮水から形成されたことを示している. また,MT-2井に関しての,均質化温度 と水の沸騰曲線の比較から,地熱活動開始以降,本地域が少なくとも100m程度の浸食を被った可能性が示唆される.
  • 松田 鉱ニ, Terry SRIWANA, Sofyan PRIMULYANA, ニ子石 正雄
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 343-353
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    インドネシア・フローレス鳥のマタロコ地熱地帯において掘削された調査井MT-2(深度162.35m) から噴出した蒸気一相の地熱流体は,不凝結ガス濃度が比較的低く(0.61~0.69wt%),そのガス成分はCO2を主体(91mole%)とするものである. その噴出蒸気は地下深部の熱水卓越層から派生したものと考えられる. 水素・酸素・炭素・硫黄・ヘリウムの同位体組成や微量ガス成分の化学組成から,噴出蒸気中の水(H2O)は主にマグマ水の混入もしくは岩石との反応の影響を受けている天水を起源とし,一方ガス成分のほとんどはマグマ起源であるとみなされる. 各種の化学・同位体温度計及び調査井の坑内実測温度によれば,比較的浅部に発達する蒸気卓越層の温度は192~230°C,深部の熱水卓越層の温度は270~306℃と推定される.調査井MT-2からの距離がほぼ200m 以内にある調査井MT-1及び噴気帯における噴出蒸気の化学性状はMT-2の噴出蒸気と類似しており,それらは共に深部の熱水卓越層を起源とし,その熱水卓越層が大きな規模で広がっていることを示唆する.
  • 安川 香澄, Enar KUSDINAR, 村岡 洋文
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 355-363
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    インドネシアのヌサテンガラ州フローレス鳥マタロコにおいて坑井操作によって生じる貯留層内の電位変化を検出する目的で,自然電位(SP)モニタリングを行った. 噴気試験の期間にわたり,坑井周辺の地表のSP分布をモニタリングした. 電位の基準点の問題を解決するため,全測点での電位の平均値を常にゼロと仮定した"相対"自然電位の概念を取り入れた. その結果,貯留層状態に応じた相対自然電位の変化がはっきりと観測された. このように,相対自然電位モニタリングは,貯留層範囲およびその水理学的状態を把握に利用することができる.
  • 田篭 功一, 齋藤 博樹, 小関 武宏, 高橋 洋, Sjafra DWIPA, 二子石 正雄
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 365-374
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    フローレス島中央部に位置するマタロコ地熱地帯他で,地熱構造を抽出する目的で地球科学的な調査を実施した. 地上調査から,マタロコ,ウォロボボ,ウォロレアおよびゴウの各地熱地帯で種々のタイプの熱水変質帯が認められ,また,これらの地熱地帯は重力あるいは地形上から推定されるカルデラ状構造(”パジャワカルデラ”と仮称〉内に位置していることが明らかになった. マタロコ地熱地帯は,パジャワカルデラの南東の縁部で北西-南東方向の延長1200 m の変質帯で特徴づけられ,これは,ほぼワエルジャ断層に沿って分布している. 地表には主としてカオリン,アルナイトの変質鉱物が認められる. また,この変質帯の分布に一致して,低北抵抗ゾーンが広い範囲で分布し,その広がりの特徴から地表下に高温部の存在が予想された. さらに,重力,比抵抗調査から推定された南北系の線構造とワエルジャ断層との交点部付近は,深部に優勢な地熱貯留層が賦存することが推定される.
  • 赤迫 秀雄, 松田 鉱ニ, 田篭 功一, 小関 武宏, 高橋 洋, Sjafra DWIPA
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 375-387
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    インドネシア共和国で遠隔離島小規模地熱の探査に関する研究協力が実施された. このプロジェクトの主要な目的はインドネシア版地熱資源総合解析システムを構築することにある. この目的のため,フローレス島中部のパジャワ地域がモデルフィールドとして選定された. 初期における広域の地質調査と地化学調査により,パジャワ地域内ではウォロボボ,ナゲ,マタロコ地熱地帯の地熱ポテンシャルが高 いと推定された. このため,探査の重点はこれら3地熱地帯におかれた. ウォロボボ地熱地帯では,ウォロボボ変質帯をとおる火口丘群の配列により示される南北方向の断裂帯が火山活動を規制している. 変質帯付近のこの断裂帯を高温のマグマ起源ガスや蒸気が上昇しており, 供給源付近は525°C程度の温度と推定される. このガス・蒸気が地下水に吹き込み,地下300m 付近に強酸性SO4型熱水(170~180°C)が分布していると推定される. 変質帯の南方約2.5km付近に 湧出するCl濃度の比較的高い温泉水の起源はこのような熱水層の1つと推定される. また,変質帯は主としてこの熱水層から派生したガスや蒸気によって形成されたと考えられる. ナゲ地熱地帯では,ワエパナ川沿いの北東・南西方向の断層に沿って高温のマグマ起源ガスや蒸気が上昇している. このガス・蒸気が地下水に吹き込み,地下200m 付近に強酸性SO4型熱水(約150°C)が分布していると推定される. この熱水が地下水による希釈を受けてワエパナ川沿いに湧出してい る. マタロコ地熱地帯では,マタロコ変質帯周辺の火口丘群から地下へ浸透した天水を起源とする深部熱水がマグマからの熱やガス,岩石との相互反応によって形成されている. この熱水はまだ確認されてい ないが,マタロコ変質帯の東西両側に推定される南北方向の断裂帯に沿って地下400m ないし500m 付近の粘土化した難透水層の下端付近まで上昇している. また,北西-南東方向のワエルジャ断層沿いの断裂帯も熱水の流動を規制していると考えられる. この貯留層は270~306°Cの温度と推定される. この貯留層から派生した蒸気・ガスはワエルジャ断層沿いの断裂帯に沿って上昇している. これら の蒸気・ガスによって難透水層上部に192~230°C の蒸気卓越層が形成されている. また,この蒸気・ ガスが浅層地下水に吹き込んで生成された酸性SO4型熱水がワエルジャ川沿いの地表付近に分布して いる.
  • Kastiman SITORUS, Fahrni SULISTYOHADI, Janes SIMANJUNTAK
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 389-397
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    調査井MT-2 (全長180.02m)は,2001年4月22日から7月14日までの長期にわたるDおよびD/2夕ッピングによるオリフィス法坑井試験を成功裏に終えた. MT-2井の最適生産量は,商業的坑口圧5.5bargの条件下で約16.0t/hであり,これはタービン効率を80%,出口圧を0.5barとした場合の発電量で1.48Mweに相当する. この坑口圧では,生産蒸気は163.0℃以上(20.28~21.28°Cの過熱状態)の高エンタルピー流体または乾き蒸気(2784.0~2785.3kJ/kg)となる. 坑井からの安定的生産を確認するため,噴出試験データのドローダウン解析が行われた. 5回にわたる噴出中のP-T クスター検層,および噴出/密閉圧力ビルドアップテストの結果は,深度130~175mでの温度がさらに高い(182.40~192.30°C)ことを示した. 密閉後の圧力回復データ解析によれば,生産ゾーンの流量は比較的高い(14.43darcy-meters). この高い流量は,蒸気流動中のスキンファクターが負(-5.583)であることに起因するようである. 坑井MT-2から生産される過熱蒸気は,非凝縮ガスが極めて少ない(0.18~0.59vol% または0.43~1.83 wt%). H2S, CO2および他の非凝縮ガス濃度はそれぞれ約0.41~0.89ppm, 3.74~15.58 ppm, 0~0.07 ppmである. 従って,この蒸気は腐食を起こしにくいものである. (要旨翻訳: 水垣桂子(地圏資源環境研究部門〉)
  • 小関武宏 , 高橋 洋, 下池 忠彦, 比屋根 一雄
    2002 年 53 巻 2-3 号 p. 399-408
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2015/07/09
    ジャーナル フリー
    iGEMSはNEDOが日本国内の探査用に開発した地熱資源総合解析システム(GEMS)に改良を加え,インドネシア版として構築したものである. iGEMSは市販のパソコン上で最小限のデータを用いて容易に解析が可能であり,かつGEMSの最大の特徴である「上昇流を加味した3次元温度分布の推定」及び「資源量算出機能」を実現できる解析システムとして構築された. iGEMSは大きく二つのプログラムから構成される. iGEMS本体とSurferである. iGEMS本体は主に解析機能,断面図データの生成機能や,解析パラメータや断面線を簡単な地図上で表示しユーザに入力させる機能も持つ.Surferは,各種の調査データや解析結果を平面図や断面図として画面に表示する表示機能である. 解析機能は①熱源の設定,②伝導性温度分布の推定,③活動度指数の推定,④ディスチャージ域の設定, ⑤ディスチャージ域内での活動度指数の分布,⑥上昇流動を加味した温度分布の修正,⑦容積法を用いた地熱資源量の算定からなる. 本システムを用いてパジャワ地域の資源量を算出した結果,マタロコ地域では3km2において74MW, 25 MW/km2, ナゲ地域では4 km2において,92MW, 23 MW /km2であった. インドネシアは世界でも有数の地熱発電国であり,本システムを使用することにより,今後の地熱開発において円滑な資源量評価が実施されると期待される.
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