地質調査研究報告
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53 巻, 7-8 号
地質調査研究報告
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論文
  • 金井 豊
    2002 年 53 巻 7-8 号 p. 559-571
    発行日: 2002/08/31
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    温泉・湧水など環境水中のウラン系列核種の濃度と,系列核種相互の関係を明らかにするために,福島県を中心に温泉・鉱泉などの湧水を調査した.その結果,ウラン濃度は花崗岩類,片麻岩,第三紀堆積岩,火山砕屑岩類等のうち花崗岩類分布地域の温泉に相対的に濃度が高く存在し,基盤岩における濃度との関係が示唆された.しかし,絶対量についてはかなり低濃度で,その多くは0.2ppb以下であった.低濃度である原因としては,地下での還元的な環境が原因と推定された.また,U-234/U-238放射能比,Ra226/U-234放射能比,Rn-222/Ra-226放射能比はいずれも1よりも大きい傾向にあり,娘核種の方が多く溶解していることが明らかとなった.ウラン,ラジウム,ラドン濃度と水質等との間に明らかな関係は見いだせなかったが,ラジウムに関しては水温と相関があるような傾向がみられた.花崗岩地域での試料についてみると,ウランは酸化還元電位,溶存酸素量に正の相関を,pHに対して負の相関を示した.ラドンは溶存ラジウム量から推定されるよりもはるかに過剰にとけ込んでいることが判明した.この過剰ラドンの供給源としては地下の岩石中ラジウムと考えられ,地層中の細かな水みちを通過する間に岩石表面のラジウムからラドンが供給されるというモデル計算を行って,定性的な確認を行った.
  • 森尻 理恵, 広島 俊男, 駒澤 正夫, 牧野 雅彦, 村田 泰章, 名和 一成, 西島 潤, 茂木 透
    2002 年 53 巻 7-8 号 p. 573-594
    発行日: 2002/08/31
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    地質調査総合センター(旧・地質調査所)では, 20万分の1重力基本図の系統的整備を行っており,今回18番目の「福岡」が出版された.重力基本図「福岡」は,東経130度から131度7.5分,北緯32度40分から34度0分の範囲で作成され,整理された10,424点の既存重力データと福岡市周辺地域において地質調査総合センターが補足測定を行った329 点,ならびに九州大学が高測点密度調査を行った1,184点が含まれる.なお図化作業はコンターの打ち切り誤差を緩和するために図画の外側に緯度経度5分程度ずつ広げた範囲のデータも取り込んで行われた.ブーゲー異常図作成のための仮定密度は2.3g/cm3とした.新規測定点のうち福岡市とその周辺で得られた706点の一覧を文末に付けた.福岡市中心部の低地と周辺の山地の地質構造境界が,重力異常図によって,よりはっきりと示された.
  • 中島 礼, 磯部 一洋, 利光 誠一, 佐藤 喜男
    2002 年 53 巻 7-8 号 p. 595-629
    発行日: 2002/08/31
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    つくば市東部を流れる花室川中流域の河床からは,多数の大型哺乳類化石が産出している.その化石の中でもPalaeoloxodon naumanni (Makiyama)(ナウマンゾウ)の臼歯と切歯が大多数を占める.花室川中流域を調査したところ,これらの哺乳類化石の含有層は,更新世末期の桜川段丘堆積物に相当する緩斜面堆積物であることがわかった.その中に含まれる材や泥炭を用いて14C年代を測定したところ,化石含有層は最終氷期極相期より前の約3.5~2.5万年前の堆積物であることが明らかとなった.また同層から採取された植物化石を検討したところ,Pinus koraiensis SieboldetZuccarini,Picea属,Larix属などの針葉樹とStyrax japonicus Siebold et Zuccarini,Betula属などの広葉樹の球果や種子が同定された.以上の年代,植物化石の検討により,哺乳類化石含有層堆積時は,冷温帯の気候下で広葉樹と針葉樹が混合した森林が分布していたことが推定された.
講演要旨及びポスター発表概要
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