東京低地に位置する東京都江戸川区小松川地区で掘削した沖積層ボーリングコア(GS-KM-1)について,堆積相,AMS 放射性炭素年代,堆積物物性を解析し,堆積環境,堆積相と堆積物物性との関係,層序について検討を行った.本コアは,Unit 1 からUnit 9 の9 つの層相ユニットに区分され,そのうち,深度67.3 ~65.0 mのUnit 1 は下総層群相当で,その上位に沖積層にあたるUnit 2 からUnit 9 が重なる.沖積層は堆積相・貝化石相の特徴に基づいて,下位から河川チャネル充填堆積物 (Unit 2 とUnit 3),塩水湿地‐泥質干潟とそこに形成された潮汐チャネルや氾濫原の堆積物 (Unit 4とUnit 5),砂質干潟‐砂州堆積物 (Unit 6),プロデルタからデルタフロントの堆積物(Unit 7 とUnit 8),デルタプレーンの河川チャネル‐氾濫原堆積物 (Unit 9)の 5 つの堆積相にまとめられる.21 試料の放射性炭素年代値は,沖積層が11,000 yrBP 以前から2,000 yrBP まで,一つの海進・海退のサイクルを示し整合的に積み重なったことを示している.層相区分と,泥分含有率・湿潤かさ密度・乾燥かさ密度・帯磁率・含水比及びN 値等の堆積物物性の特徴とがよく対応していることがわかった.
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