地質調査研究報告
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56 巻 , 3-4 号
地質調査研究報告
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • - 特に放射性元素と希土類元素の役割 -
    石原 舜三, 中野 聰志, 寺島 滋
    2005 年 56 巻 3-4 号 p. 93-98
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    滋賀県南部,田上花崗岩体の代表的試料6 個について主化学成分と微量成分とを明らかにし,特に希土類元素と放射性元素の持つ意味について考察した.田上花崗岩は珪長質 (73.3 ~76.7% SiO2; 8.0 ~8.9% Na2O+K2O) であり,Rb/Sr比は高くマグマ分化が進んでいる.アルミナ過剰度は1.05 前後であり,I タイプに入る.粗粒な中心相はF, Liなどに富み,細粒周縁相はこれら揮発性成分に乏しい.田上花崗岩は全体的に希土類元素と放射性元素に富み,特に重希土類元素に卓越し,フラットな希土類パターンを示す.その原因は,原岩が還元的な珪長質物質であり,かつマグマ分化作用が進んだことに求められる.雲母粘土化変質作用の熱源は花崗岩中の放射壊変熱であった可能性が指摘された.
  • 太田 充恒, 寺島 滋, 金井 豊, 上岡 晃, 今井 登, 松久 幸敬, 清水 洋, 高橋 嘉夫, 甲斐 憲次, 林 政彦, 張 仁健
    2005 年 56 巻 3-4 号 p. 99-116
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    2001年2月から2002年6月にかけて,つくば市で粒径別に採取されたエアロゾル試料の非水溶性成分の化学組成を測定し,粒径別に見た化学組成の特徴やその季節変化について考察を行った.粒径別に見た化学組成の特徴について調べたところ,大気中エアロゾル濃度は>11.0 μm, 3.3 ~4.7 μm, 0.43 ~0.65 μm にピークを持つパターンを示した.ダストイベント (黄砂の飛来)が発生すると,2.1~7.0μmの粗粒粒子に著しい濃度増加が認められた.Al2O3をはじめとする多くの元素の大気中濃度は,この大気中エアロゾルの濃度変化とよく似たパターンを示し,粗粒粒子は主として鉱物質エアロゾルから構成されることを示した.ただし,Cu,Pb などの一部の元素は,Al2O3 とは明らかに異なる濃度変化を示し,人為起源の炭素質エアロゾル由来と考えられた.次にエアロゾル粒子の季節変動について調べたところ,通常時は細粒粒子を構成する炭素質エアロゾルの寄与が粗粒粒子を構成する鉱物質エアロゾルの寄与よりも大きいが,春期ではその関係が逆転することが明らかとなった.また,ダストイベントが発生した時は,通常時の10倍にも達する鉱物質エアロゾルの寄与が認められ,それに応じてAl2O3などのほぼ全ての元素に対して非常に高い大気中元素濃度が確認された.一方,細粒エアロゾル粒子の大気中濃度変化はダストイベントとは対応しないものの,Al2O3の濃度変化と良い対応を示した.しかし細粒粒子中のCu, Pbは春期に非常に高い濃度を示すものの,Al2O3とは異なる季節変化を示した.したがって,細粒粒子には局地的に巻き上げられたダスト粒子と人為起源物質の両方の寄与が認められる事が明らかとなった.
  • 石原 舜三
    2005 年 56 巻 3-4 号 p. 117-126
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    飛騨帯の古期花崗岩類はチタン鉄鉱系に属し,その全岩酸素同位体比(δ18OSMOW)は高く (平均10.5 ‰),中生代前期花崗岩類は磁鉄鉱系に属し,低いδ18O値(平均7.9‰) を持つ.δ18O 値は帯磁率やFe2O3/FeO 比と逆相関する点で,日本の白亜紀‐古第三紀花崗岩類と共通の性質を示す.古期花崗岩類は大きいアルミナ飽和度を持ち,その起源物質には,頁岩類の関与が考察される.一方,古期花崗岩類の多くは高いSr/Y比を示し,チタン鉄鉱系であるが,アダカイト質である点で特異であり,これは環太平洋地域における最初の発見である.アダカイト質岩の混在は中生代前期花崗岩類にも認められ,特に地殻物質の混入が考えられる早月川,打保,八尾,庄川などの内側深成岩体,及び能登半島の諸岩体で顕著である.これらの事実はアダカイトの成因の多様性を物語っている.
  • 長森 英明, 吉川 博章, 畠山 幸司, 寺尾 真純, 田辺 智隆
    2005 年 56 巻 3-4 号 p. 127-135
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    長野県東御市の千曲川河床に分布する下部更新統小諸層群大杭層より長鼻類の足跡化石を確認した.足跡化石の産出層準は,約1.3 Maのフィッション・トラック年代を持つ羽毛山軽石の約2m上位である.印跡動物は,同層準からStegodon aurorae (Matsumoto)の体化石が産出していることと,日本の長鼻類生層序からStegodon aurorae と推定される.足跡化石を含む層準の堆積環境は,河川の氾濫原と推定される.
総説
  • 青矢 睦月
    2005 年 56 巻 3-4 号 p. 137-146
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    四国三波川帯・瀬場地域には,変斑れい岩の固体貫入に伴う接触変成作用によって生じたとされるエクロジャイト質塩基性片岩が報告されていた.その後の調査研究により,エクロジャイト質塩基性片岩(またはその構成鉱物であるオンファス輝石)が変斑れい岩から離れた地域にも多産すること,及び多重変形とオンファス輝石成長時期の関係が明らかにされた結果,瀬場地域のエクロジャイト質塩基性片岩はすべて,単一の広域変成作用によって生じたものと考えられるようになった.この研究史から,高度変成地域の野外調査では:1)変成履歴の鍵を握る鉱物の存否,特にその地質図スケールでの分布範囲の特定には細心の注意を払わなくてはならないこと;2)岩石学に加えて,構造地質学の視点,特に多段階変形の正確な分類が必要となることが示唆される.
資料・解説
  • 高木 哲一
    2005 年 56 巻 3-4 号 p. 147-157
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2014/11/15
    ジャーナル フリー
    米国では,核廃棄物政策法1982 修正法 (Nuclear waste policy act of 1982, as amended) に基づき,1987 年にネバダ州ヤッカマウンテン (Yucca Mountain) 地域が高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料を含む)最終処分場の唯一の候補地となって以来,DOE(U. S. Department of Energy: 米国エネルギー省)により15 年以上にわたり同サイトが適当か否かを判断するための調査・研究が行われてきた.これらの結果は,ヤッカマウンテン科学・工学報告書 (DOE, 2001) 及び最終環境影響評価書 (DOE. 2002) などに取りまとめられ,2001年にエネルギー省長官から大統領へ提出されたサイト推薦報告書に添付された.2002年にヤッカマウンテンサイトの立地承認決議案が,連邦議会上下両院で承認され大統領が署名したことにより,その立地が正式に承認された.これを受けて,2005年には建設認可のための許可申請書がDOE からNRC (U. S. Nuclear Regulatory Commission: 米国原子力規制委員会) に提出されることになっている.この間の経緯については,原子力環境整備促進・資金管理センター (2003) に詳細に解説されているのでここでは省略する. 日本では2000年の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」の制定により,高レベル放射性廃棄物の地層処分の方針が決定され,地層処分事業が正式に開始された.しかし,最終処分候補地の選定作業はこれからであり,米国と比べて事業のプロセスは少なくとも20年以上遅れていることになる.そこで,本解説では,日本でも将来必ず通過するプロセスである最終処分場の安全規制の一例として,ヤッカマウンテン最終処分場の安全規制について,その方針と法律の概要等を紹介する.
講演要旨及びポスター発表概要
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