地質調査研究報告
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57 巻 , 5-6 号
地質調査研究報告
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論文
  • 石原 舜三, 佐藤 興平, 左 容周, 金 鍾善
    2006 年 57 巻 5-6 号 p. 143-158
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2014/06/21
    ジャーナル フリー
    花崗岩風化殻への REE の濃集を見るために,韓国の中部の花崗岩地域 4 箇所(平均降雨量 1,300 mm/ 年)で予察的な調査を実施した.嶺南帯と沃川帯境界部に沿って伸長する三畳紀の片麻状黒雲母花崗岩(帶江岩体)は REE に富み,平均 414 ppm REE+Y,LREE/HREE = 4.8 である.沃川帯の三畳紀咸昌(ハムチャン)花崗岩類は,アルカリとREEに富むグループ(平均 359 ppm REE+Y,L/HREE = 19.0)と,低いグループ(平均 127 ppm REE+Y,L/HREE = 23)に分けられる.他方,嶺南帯南東部の初期ジュラ紀の陜川(ハプチョン)閃長岩は REE+Y(171 ~ 217 ppm)に乏しい.慶尚盆地の杞溪(キゲ)花崗岩は南山アルカリ花崗岩の断層による片割れと言われているが,その含有量は 200 ~ 300 ppm REE+Y であるに過ぎない. 完全風化帯であるB層を中心とする花崗岩風化物は,帶江岩体では花崗岩平均値が 414 ppm REE+Y であるのに対し,風化土壌は 240 ppm REE+Y で希土類元素が減少しており,風化課程における REE の溶脱が考えられる.杞溪岩体でも 342 ppm から 243 ppm REE+Y へ希土類元素は減少している.その他の岩体での増減は不鮮明である.韓国では花崗岩の風化課程で希土類元素の明瞭な濃集は見られない. 忠州鉄鉱床の採掘跡におけるランダム サンプリングによると,この鉱床は平均 0.2% REE+Y 程度の鉱石を保有していたと推定される.
  • 兼子 尚知, 伊藤 孝
    2006 年 57 巻 5-6 号 p. 159-168
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2014/06/21
    ジャーナル フリー
    本稿では,兼子(1994)及び兼子・伊藤(1995,1996)の“赤色石灰岩(reddish limestone)”を新たに「糸満層(Itoman Formation)」と命名・記載し,その堆積年代がストロンチウム同位体組成から約 1.3 Ma と推定されることを報告する.糸満層は,沖縄島南部地域において,サンゴ礁複合体堆積物とそれに関係する地層で構成される琉球層群の基底部をなす地層として位置づけられる.すなわち,糸満層が形成された時期は,琉球列島における更新世のサンゴ礁発達の初期にあたり,その年代値の推定は琉球列島の構造発達史や周辺サンゴ礁の形成史を考察するうえで重要である.
  • 斎藤  眞, 宮崎 一博
    2006 年 57 巻 5-6 号 p. 169-176
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2014/06/21
    ジャーナル フリー
    九州中央部,八代市泉町西方の“黒瀬川帯”の蛇紋岩メランジュから,ひすい輝石を含む変斑れい岩が見いだされた.この変斑れい岩は細粒で塊状を呈し,普通輝石,ひすい輝石,藍閃石,パンペリー石からなる.変斑れい岩は高圧型の藍閃石片岩相の変成作用を被っている.ひすい輝石は変斑れい岩を構成する細粒結晶(長さ約 0.5 mm) として出現するだけでなく,変斑れい岩中に形成された長さ数 cm 程度のひすい輝石脈としても出現する.これら 2 つのタイプのひすい輝石はともに石英と接触共存しない. 電子線マイクロプローブでの分析の結果,変斑れい岩中の細粒ひすい輝石とひすい輝石脈のひすい輝石は,どちらもほぼ純粋なひすい輝石であり,両者の組成の差はほとんど認められない.
  • 大熊 茂雄, 中塚 正, Robert Supper, 駒澤 正夫
    2006 年 57 巻 5-6 号 p. 177-190
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2014/06/21
    ジャーナル フリー
    電子付録
    産業技術総合研究所では,1999 年以来,オーストリア地質調査所(GBA)と,イタリア・エオリア諸島の火山災害軽減のため,物理探査による詳細な地下構造調査と同調査の繰り返し実施による火山活動のモニタリングに係わる研究を実施している(大熊ほか,2001).2000 年からは当該地域で重力探査を開始し,広域の調査を行うとともに,ブルカノ火山のフォッサ火砕丘では測線上で高密度重力探査を実施し,重力異常の特徴を明らかにしている(駒澤ほか,2002;Sugihara et al., 2002). 2001 年には,GBA と産業技術総合研究所地球科学情報研究部門(現地質情報研究部門)との間で研究協力協定を結び,翌 2002 年には,ブルカノ火山‐リパリ火山南部で高分解能空中磁気探査を実施している.今回 2002 年の調査の結果得られた空中磁気データに加え,1999 年に GBA が測定したデータを取り込んで,当該地域の高分解能空中磁気異常図を編集した. 2002 年に行った高分解能空中磁気探査の観測データから,等価異常を仮定した処理法(Nakatsuka and Okuma,2006)により,平滑化した地形及び海水面から高度 150 m の滑らかな曲面上での磁気異常分布を求めた.当該地域では,1999 年にほぼ同一の測線上で GBA が高分解能空中磁気探査を実施しており,3 年間の地磁気変化を検出するため,同一の高度面上での磁気値を比較検討した.その結果,地磁気変化は認められるものの,その原因として,観測点高度の決定法が二調査間で異なることと,地形及び地磁気変化が大きな地域で比較的顕著な相違が認められエリアシングの影響が疑われることから,現状では変化の有無の本質的な議論には至らないと判断された.そこで, 2002 年の測線データを基本として,周辺部に位置する 1999 年の一部の測線データを利用して,可能な限り広域をカバーする磁気異常図を編集した.その結果,リパリ火山南部からブルカノ火山全域を含む地域の詳細な磁気異常分布が明らかとなった.これによると,流紋岩質火山岩を主体とするリパリ火山南部は顕著な磁気異常は少なく,代わってブルカノ火山では,各所に顕著な高磁気異常が分布する. ついで,磁気異常分布と地表地質分布との関係を詳細に検討するため,磁化強度マッピング(Nakatsuka, 1995)を行い,磁化強度分布図と極磁力異常図を作成した.この際,相関法により求めた当該地域全域の平均磁化(2.0 A/m)による地形補正量を計算し,観測磁気異常から除いた値を解析対象とした.得られた極磁力異常図によれば,特にブルカノ火山の磁気異常の詳細が明らかとなった.地質図との比較により,南部の古期楯状火山(南ブルカノ)の山腹やピアノカルデラに分布する粗面玄武岩や粗面安山岩溶岩に対応して,高磁気異常が認められる.また,北部のフォッサカルデラでは,フォッサ火砕丘から噴出したトラカイト‐テフライト溶岩に対応して高磁気異常が認められる一方,流紋岩質黒曜岩溶岩の分布に対応しては磁気異常は認められない.フォッサ火砕丘の北側斜面(Forgia Vecchia)及び東側斜面においては,地表兆候はないものの局所的な高磁気異常が分布し,その他の地球科学的情報を考慮した磁気異常の解析・解釈から,フォサ火口に加え,多量の溶岩を噴出しフォッサカルデラを埋積したかつての噴火中心が複数伏在する可能性が示唆されている(Okuma et al., 2006).
資料・解説
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