地質調査研究報告
Online ISSN : 2186-490X
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61 巻 , 3-4 号
特集号:2007年に行われた釧路海底谷の潜航調査
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巻頭言
論文
概報
  • 辻野 匠
    2010 年 61 巻 3-4 号 p. 125-136
    発行日: 2010/02/19
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     2006年9月から10月にかけて「しんかい6500」により釧路海底谷上流部(着底点:北緯42°29.4385’東経144°34.2675’)の潜航調査が行われた.釧路海底谷は北海道南東沖に発達する前弧海盆の北東縁を流下する全長223 km の海底谷で,比高数100 m の下刻が全域で発達している.潜航地点では新第三系-第四系の地層が露出していると音波探査から予測されている.本報告では潜航での目視観察及び採取した岩石試料の記載を行い,本号で報告されている微化石年代をもとに音響層序を構成する地層の年代を推定した.潜航調査では谷底の水深1814 m に着底した後,南岸の側壁を登り,水深1313 mの肩で離底した.ルートの地形断面は3つの急斜面(崖)とその間の緩斜面とに区分でき,急斜面では露岩が認められた.谷底はリップルの発達したシルトに覆われており,側壁は露岩域以外はすべて泥に覆われていた.最初の崖は側壁基部の1795–1770 m にあり,極細粒砂岩とシルト岩の互層が露岩していた.2番目の崖は側壁中部の1580–1550 m にあり,塊状のシルト岩が1 m 程度の層厚で成層していた.最上部の崖は側壁上部の1415–1370 m にあり,数10 cm–数 m の段差からなるステップ状の地形が発達し,塊状の泥岩が断続的に露出している.採取した岩石のほとんどは半固結であり,珪藻遺骸と陸源砕屑物からなっている.岩石の微化石年代は,側壁基部の露頭では後期鮮新世の前期,2番目の露頭では後期鮮新世の後期,側壁上部の露頭では前期更新世であった.
  • 川村 喜一郎
    2010 年 61 巻 3-4 号 p. 137-145
    発行日: 2010/02/19
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     地質構造観察のための6K#1033と6K#1035の2潜航調査が北西太平洋十勝沖の釧路海底谷の側壁で,有人潜水調査船「しんかい6500」を用いて行われた.本論では,その地質構造,断層岩の変形組織と共にそれらの岩石の一軸圧縮強度を詳細に記載する.
     6K#1033と6K#1035は,海底谷の中部で調査された.潜航地域の地質構造は,著しく変形した地層帯と非変形の水平層帯に区分される.著しく変形した地層は,正断層,スラスト,液状化と脈状構造によって特徴づけられる.その層の走向は,およそ北東- 南西で,南傾斜である.著しく変形した地層から採取した3試料の一軸圧縮強度の平均値は,1.12-1.30 MPaであった.水平層は,著しく変形した地層を不整合で覆う.その水平層の基底では,>1 m厚の円礫層が観察された.水平層の一軸圧縮強度は測定できなかったが,6K#1032 潜航(海底谷上流部にあたり,同様の水平層が露出している)によって非変形な地層から採取した2試料の一軸圧縮強度の平均値は,それぞれ0.46 MPaと0.58 MPaであった.これらの観察結果に基づくと,変形の停止が礫岩層の堆積に一致していると言える.
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