地質調査研究報告
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63 巻 , 7-8 号
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論文
  • 石原 舜三, Bruce W. Chappell
    2012 年 63 巻 7-8 号 p. 181-202
    発行日: 2012/11/19
    公開日: 2012/11/21
    ジャーナル フリー
     生野−明延鉱床は日本を代表する多金属石英脈鉱床である.鉱脈は,明延鉱床においては古生代末期−中生代初期の苦鉄質岩類と変成岩類とを母岩とし,生野鉱床では後期白亜紀火山岩類と岩脈類を母岩とする.生野鉱床の鉱脈は,主力の金香瀬鉱脈群が N-S 系,東に急傾斜し,一部,NW-SE 系である.その他の太盛・青草地区では,主に NW-SE 系と N-S 系走向で,急傾斜を持つ.鉱脈は多金属性で,ベースメタルの他,金銀に富み,かつ錫を含むが,タングステンに乏しい.これらの鉱石鉱物は,鉱床の中心から外方へ,Sn -Cu 帯,Sn -Cu -Zn 帯,Zn 帯,Pb -Zn 帯,Au -Ag 帯,不毛帯のゾーニングを持つ.インジウム鉱物も多産する.明延鉱床は母岩が苦鉄質岩類と変成岩類である点は生野鉱床とは異なるが,一般には NW-SE 系,西部で NE-SW 系に彎曲する急傾斜鉱脈である.鉱脈はここでも多金属的であるが,生野鉱床に較べて,金銀・鉛に乏しく,スズとタングステンに富む.またその多金属性は鉱化ステージが違う複合鉱脈として見られ,早期 Pb-Zn-Cu 脈に,後期 W-Sn-Cu 脈が重複し,複合鉱脈を構成する.
     後期白亜紀の生野層群は下部から上部へ,含角礫黒色頁岩 (ISo),デイサイト質火砕岩(IDco),黒色頁岩/ 砂岩凝灰岩 (IS1),流紋岩>安山岩質火砕岩 (IX),流紋岩質溶結凝灰岩 (IR1),凝灰岩/ 頁岩 (IS2),安山岩と同質凝灰岩 (IA2),流紋岩質溶結凝灰岩 (IR2),凝灰岩/頁岩 (IS3),安山岩と同質凝灰岩 (IA3),凝灰岩/頁岩 (IS4),デレナイト溶結凝灰岩 (ID4) に分類される.これらの火山岩類は帯磁率測定と顕微鏡観察により,磁鉄鉱系に属するものと判断される.二成分変化図上ではややカリウムに富むものの一般のカルクアルカリ岩系の領域を占める.銀とベースメタルに富む生野鉱床の冨鉱部は玄武岩岩脈と流紋岩岩脈と空間的に密接であり,ベースメタルは前者とスズは後者に由来した熱水鉱液から沈殿した可能性が大きい.明延鉱山内の岩脈類も磁鉄鉱系に属する玄武岩から流紋岩に至るシリカ含有量を持ち,一部でショショナイトと高カリウム岩にプロットされるものもあるが,多くは中程度のカリウムを持つ一般のカルクアルカリ岩である.早期のベースメタル鉱化はこのような火山岩類に由来した鉱液に関係し,後期のスズに富む鉱化は潜在する珪長質岩体からもたらされた鉱液から沈殿した可能性が考えられる.地表に露出する和田山花崗岩は,鉱化関係花崗岩としては微量成分としてのスズには富むが,フッ素に乏しい難点がある.
  • 角谷 安華, 河野 俊夫, 中野 聰志, 西村 彰子, 星野 美保子
    2012 年 63 巻 7-8 号 p. 203-226
    発行日: 2012/11/19
    公開日: 2012/11/21
    ジャーナル フリー
     滋賀県南部田上花崗岩体を構成する中粒斑状黒雲母花崗岩中の岩脈状ペグマタイトから採集したジルコン粒子について,産状・形態・組織・化学組成の特徴を解析した.これらのジルコンは,肉眼的な大きさと肉眼及び顕微鏡観察による形態の違いに基づいて長柱状のType Iジルコン (幅0.05-1 mm,長さ3 mm-1 cm) と放射状や樹枝状で産するひも状 (幅0.01-0.05 mm,長さ1-3 mm) の Type IIジルコンに分けられる.両者は,ともに文象帯・巨晶帯を通して共存している.Type Iジルコンは,鏡下でのc軸に垂直な断面において矩形,L字型,コの字型の多様な形態変化を示す.全体がclear (清澄) な粒子もあるが,内部のclearな部分と周辺部のマイクロポアの多いturbid (汚濁) 部分 (spongy部分) からなる粒子が多い.Type IIジルコンは,基本的に鏡下ではturbidに見えるspongy部分から構成される.EMPAによる反射電子線像及び元素マッピングにより,Type I ジルコンのclear部分には化学組成の違いによるゾーニング (帯状) 組織が,turbidなspongy部分には組成変化によるまだら状組織がそれぞれ観察される.ゾーニング組織やまだら状組織は,Zr及びHfの分布と放射性元素 (U+Th),REE (Yb,Y,Dy) 及びPの含有量の違いに対応している.マイクロポアを伴いspongyである Type IIジルコンは,Type I spongyジルコンと同じく化学組成変化による細かいまだら状組織を示す.EMPAによる定量分析の結果,Type Iのclear部分のジルコンの分析値合計は100 wt.%前後であるが,Type I・Type IIのspongyジルコンは合計が95 wt.%より低い場合が多く,特にType IIジルコンは80 wt.%台の場合も多い.ただし,今回の化学分析値による構造式計算においては,いずれのタイプのジルコンも化学量論をほぼ満たしている.今回の組織と化学組成のデータからは,Type I clearジルコンはもとの組成を保持しており,Type I・Type II spongyジルコンは熱水反応を受けた二次的なものである可能性がある.Type IIジルコンと比べてUの量が多いType Iジルコンは,日本のペグマタイト中のジルコンの中でもUの量が多い部類に入る.
短報
  • 石原 舜三, 平野 英雄, 谷 健一郎
    2012 年 63 巻 7-8 号 p. 227-231
    発行日: 2012/11/19
    公開日: 2012/11/21
    ジャーナル フリー
    So-called “Older Granites" are distributed in Paleogene granitic terrain of the eastern Shimane and westernmost Tottori Prefecture region, and some petrographical studies including U-Pb dating on the contained zircon were performed and reported here. These granitoids are weakly foliated quartz diorite to granodiorite in composition, and fine-grained secondary biotite was formed close to the contact with Paleogene biotite granites, thus indicating older than Cretaceous in age. The contained zircon showed 198.6±2.7 Ma, thus the earliest Jurassic. The Jurassic granitoids could well be correlated to those of the northern Hida Belt, but here they occur with both the Hida high-T/low-P type and Sangun low-T/high-P type metamorphic rocks. The Jurassic granitoids are considered as an independent plutonic product formed much later than the regional metamorphic rocks.
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