地質調査研究報告
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67 巻 , 5 号
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口絵
  • 兼子 尚知, 鵜野 光, 岩下 智洋
    2016 年 67 巻 5 号 p. 133-135
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2016/12/22
    ジャーナル フリー

    X線CTスキャナによる地質標本の観察は,非破壊・無侵襲でその内部構造を知ることができるため,標本を対象とした研究に不可欠な手段となりつつある.一方,3Dプリンタは,近年その普及がめざましく,出力サービス等が急速に充実した.このような背景を受け,X線CTスキャンデータを基にして3Dプリンタで造形することにより,標本の模型製作が容易になった.印象材で標本の型を取ってそれに樹脂等を流し込む従来の「アナログな」模型(レプリカ)製作手法と比較し,X線CTスキャンデータと3Dプリンタの組合せによる「デジタルな」手法では,拡大または縮小が自在に可能でうたのぼりある等メリットが大きい.このほど,地質標本館に収蔵されている化石哺乳類・デスモスチルス歌登第3標本(第1図:山口ほか,1981;Uno and Kimura,2004)の頭蓋骨(GSJ F07745- 1)と下顎骨(GSJ F07745-2)のX線CTスキャンデータから,3Dプリンタを用いて2.5分の1(0.4倍)サイズの半透明樹脂模型(本号表紙,第2図)を製作したので,概要を報告する.

論文
  • 鵜野 光 , 兼子尚知 , 高畠 孝宗
    2016 年 67 巻 5 号 p. 137-165
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2016/12/22
    ジャーナル フリー

    産業技術総合研究所地質標本館に保管されている北海道枝幸町(旧 歌登町)の中部中新統タチカラウシナイ層から産出したDesmostylus歌登標本は,一部が記載されたが他は未記載のままであった.本論文では,これらの未記載標本の記載を行う.歌登標本は,その形態と産出層準から,第1 ~第7標本の中で保存が良く同定可能な標本のすべてが同一種Desmostylus hesperusであるとみなされる.本論文で扱った歌登第3標本は,いくつかの骨を含んでいるが,これらは同一岩体から得られたものであり,ほぼ同じ成長段階を示し,骨要素に部位の重複がない.したがって,これらは同一個体由来である蓋然性が高い.この第3標本の茎状舌骨,切歯,𦙾骨を他のD. hesperusである歌登第1標本(標本番号GSJ F07743)と気屯標本(標本番号UHR18466)と比較すると,第3標本では,茎状舌骨はより華奢で,切歯の咬耗形態が異なっており,𦙾骨は他と異なりほとんど捻転していない.これらの形態はD. hesperusのなんらかの種内変異もしくは保存状態の差異を表していると考えられる.

  • 犬塚 則久, 兼子 尚知, 高畠孝宗
    2016 年 67 巻 5 号 p. 167-181
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2016/12/22
    ジャーナル フリー

    Desmostylus歌登第8標本の既存記載研究は,膝蓋骨の面と方向の同定を誤っていること,上腕骨の記載及び比較が骨学的に不十分であることから,ここに再記載を行う.右上腕骨の長さは525 mm以上,左膝蓋骨の最大厚は112 mmである.最大の上腕骨のサイズから,Desmostylusのオトナオスの体長は387 cm,体重は約3.5 tと見積もられる.Desmostylusの膝蓋骨はアジアゾウのそれより約50%厚く,これは膝関節回転軸からのモーメントアームが長く,膝の伸展力が体格に比して大きかったことを示唆する.このことはDesmostylusが側方型の姿勢であったことを裏付けるものである. 歌登第1標本の頭蓋骨については他標本の情報の追加により議論を再考し,巻末に補遺として掲載した.

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