地質調査研究報告
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69 巻 , 1 号
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論文
  • 太田 充恒
    2018 年 69 巻 1 号 p. 1-30
    発行日: 2018/04/25
    公開日: 2018/05/19
    ジャーナル フリー

    離島域の地球化学図作成に向けて,ICP発光分析,ICP質量分析,原子吸光分析を用いて測定した河川堆積物中の 53 元素の迅速かつ簡易分析法の評価を行った.0.1 g の試料をフッ酸・硝酸・過塩素酸を用いて125℃下で 2 時間分解後,更に145℃下で 1 時間の追加分解を加えることで,難溶性鉱物に多く含まれる元素の定量性の改善を試みた.結果,希土類元素,Nb,Taについては 5–15%,Zr,Hfについては 30%の改善結果を得た.ヒ素の分析においては,0.1 g の試料を酸化剤である過マンガン酸カリウムを添加した混酸を用いて 120℃下で 20 分間の分解を行った.酸化剤を添加しない場合や長時間の分解を行った場合,地球化学標準物質中のヒ素の濃度は低下した.しかし,河川堆積物試料中のヒ素濃度は過マンガン酸カリウムの添加や分解時間に関係なくほぼ同じ値を示した.水銀分析は,前処理なしに試料約 50 mgを加熱・気化させた水銀を原子吸光法で測定した.ICP発光分析,ICP質量分析,原子吸光分析を用いて測定した地球化学標準物質中の 53 元素の濃度は推奨値と良く一致した.これらの結果から,地球化学図作成のための簡易・迅速分析は十分な精度を持っていると結論づけられる.

    瀬戸内海島嶼の河川堆積物の地球化学的特徴は,その河川流域に分布する母岩に強く影響されていた.Na2O,Al2O3,K2O,Be,Rb,Nb,REEs,Ta,Tl,Th,Uなどは花崗岩が広く分布する離島から採取した堆積物に多く含まれていた.一方,MgO,TiO2,V,Cr,MnO,Fe2O3,Ni,Coは塩基性火山岩が噴出した小豆島の堆積物に多く含まれていた.鉱床や人為汚染に関係していた河川堆積物にはCu,Zn,As,Mo,Cd,Sn,Sb,Hg,Pb,Biの極端な濃集が認められた.

概報
  • 工藤 崇
    2018 年 69 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2018/04/25
    公開日: 2018/05/19
    ジャーナル フリー

    十和田火山の給源付近に分布する先カルデラ期噴出物中において,細粒ガラス質火山灰層の挟在を4箇所で確認した.この火山灰層について,鉱物組成分析及び火山ガラス・斜方輝石の屈折率測定を行なった結果,この火山灰層は洞爺火山灰に対比された.洞爺火山灰と十和田火山噴出物の層序関係から,十和田火山が洞爺火山灰の降下前後及び降下時に同時に噴火活動を行なっていたこと,先カルデラ期においてこれまで考えられていたよりも頻繁に噴火を起こしていたことが判明した.

  • 内野 隆之
    2018 年 69 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2018/04/25
    公開日: 2018/05/19
    ジャーナル フリー

    東北地方の北上山地北半部には北部北上帯に属するジュラ紀の付加体が広く分布する.一方,奥羽山脈の西側では新生代火山岩類の被覆・貫入のため付加体は僅かにしか露出しておらず,年代や対比といった地質情報は十分ではない. 今回,奥羽山脈に位置する十和田湖の西方に僅かに分布する付加体の年代を明らかにするため,砂岩に含まれる砕屑性ジルコンのU–Pb年代を測定した.その結果,174.6±0.7 Maの最若粒子集団の加重平均年代が得られ,砂岩は中期ジュラ紀以降に堆積したことが明らかになった. 砕屑性ジルコンの年代分布パターンは,顕生代のペルム~ジュラ紀に大きなピーク群,古原生代の後半に小さいピーク群をもつという特徴を示し,これは既存研究で報告された南部北上帯の中部ジュラ系~下部白亜系浅海層の砕屑性ジルコン年代のものと良く一致する. 東北地方の中生代付加体は,内陸から太平洋側にかけ,後期三畳紀から最前期白亜紀まで大局的に若くなる年代極性を示している.十和田湖西方の付加体は,その年代極性を参考にすれば,中期ジュラ紀の付加体に対比される可能性が高い.

  • 山崎 徹, 七山 太, 高橋 浩, 山下 康平
    2018 年 69 巻 1 号 p. 47-79
    発行日: 2018/04/25
    公開日: 2018/05/19
    ジャーナル フリー

    20万分の1地質図幅「広尾」(第2版)の編纂にあたり,地質体や岩脈等の対比及び帰属の確認のために,同図幅内及び関連地域の火成岩ならびに火成岩起源岩石の全岩主成分・微量成分分析を実施した.対象とした試料は,奥十勝角閃岩,歴舟火山岩類,中部中新統大川層に貫入するドレライト岩脈,豊頃地域緑色岩(常呂帯仁頃層群起源),中部中新統~上部中新統豊似川層中の花崗岩礫,日高変成帯ヌピナイ花崗岩体,日高帯中の川層群(暁新世~始新世)中の苦鉄質火山岩礫,日高帯中の川層群中の緑色岩体を構成する大丸山緑色岩類,上部漸新統襟裳累層(歌露礫層)中の花崗岩礫,及び中の川層群坂下層中の酸性凝灰岩である.これらのデータは,地質図幅編纂にあたっての科学的根拠を提示する目的で,また,今後の研究のデータとして有益な情報であると考えられる.これら得られた分析結果をもとに,その帰属・成因(形成場)に関する予察的な考察を行った.

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