地質調査研究報告
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69 巻 , 2 号
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論文
  • 梅田 康弘, 板場 智史
    2018 年 69 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2018/07/06
    公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー

    紀伊半島沿岸部における国土地理院の水準測量時期は1930年前後と1947年であり,1944年東南海地震及び1946年南海地震の直前のデータは無いため,それぞれの地震による変動を分離できない.一方,水路局では精度は劣るものの両地震時の上下変動を海水位の変化から調査している.これら2機関による2種類のデータを組み合わせることによって,紀伊半島沿岸部における両地震前後の上下変動時系列を求め,それぞれの地震による変動を分離した.紀伊半島東南部では1944年東南海地震で沈降し,その後も1946年南海地震前までは沈降が継続していたこと,1946年南海地震では1944年の地震とそれに続く沈降量に匹敵する程度の隆起があったことがわかった.また,串本では1946年南海地震の津波により検潮所が倒壊し,潮位データが繋がっていなかったが,年平均潮位データから平均海面の長期変化を補正して推定した上下変動を,水準測量から得られた上下変動に重ね合わせ,繋がりのある上下変動時系列を求めた.

  • 小笠原 正継, 御子柴 真澄, 下司 信夫, 下田 玄, 石塚 吉浩
    2018 年 69 巻 2 号 p. 91-103
    発行日: 2018/07/06
    公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー

    ガラスビードを用いた蛍光X線分析(XRF)による地質試料の主成分分析プログラム“Bead03”が作成され,地質調査総合センター共同利用実験室において多くの分析に用いられている.本分析プログラムは地質試料の分析において必要とされる感度や精度を考慮しつつ,シンプルな操作による分析を可能としている.本プログラムの詳細を示し,また分析条件の最適化のための検討結果を報告する.ガラスビードは分析試料の重量の10倍の融剤(四ホウ酸リチウム)を使用して作成し,また溶融用るつぼからガラスビードの剥離を図るため,臭化リチウムを使用した.XRF分析ではバックグラウンドの測定について詳細な検討を行った.理論アルファー値によるマトリックス補正を行い,その効果についても検討した.また本プログラムによる分析結果の精度の評価結果をまとめた.

概報
  • 猪狩 俊一郎
    2018 年 69 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 2018/07/06
    公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー

    大気中軽質非メタン炭化水素を簡便に測定するために,加熱後室温まで冷却した蒸留水を用いた方法が2015年に提案されているが,蒸留水の原水である水道水中の軽質非メタン炭化水素のブランク(本研究の場合,水を使用して軽質非メタン炭化水素を測定する際に,使用した水が測定値に与える影響)についてはあまり明らかになっていない.特に有機地球化学の分野では微量の有機物による汚染を考慮する必要があるが,蒸留水製造装置では軽質非メタン炭化水素が完全に除去できないこともあり,水道水中の非メタン炭化水素ブランクの把握が重要である.

    2015年1月,つくば市にある産業技術総合研究所7-1 棟では水道管の屋内配管の全面的な更新工事が行われた.工事による水道水中の軽質非メタン炭化水素(C2-C4)の ブランクの変化を把握することを目的とした測定を工事前4 ヶ月及び工事後半年間にわたり行った.その結果,更新工事により軽質非メタン炭化水素ブランクは非常に高くなり,その後,徐々に低下したが,半年後でも工事前の水準には戻っていないことが明らかになった.また, 軽質非メタン炭化水素ブランクの採水間隔による変化や,採水前の水道水の廃棄によるフラッシングの効果につい ても考察し,フラッシングが行われないとブランクが高いこと,使用前に水道水を廃棄するフラッシングがブランク低下に有効であることを明らかにした.

  • 古川 竜太, 長森 英明
    2018 年 69 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 2018/07/06
    公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー

    新潟県糸魚川市東部には第四紀更新世の火山岩類が広く分布しており,下位より猿倉層(新称),江星山層,梶屋敷層,高峰層(新称)からなる.下部更新統の猿倉層は安山岩–玄武岩質安山岩の火山砕屑岩からなる.江星山層はデイサイト–玄武岩質安山岩の火山砕屑岩,貫入岩からなり,およそ1.3–1.2 MaのK–Ar年代を示す.岩石学的性質及びK–Ar年代は西頸城半深成岩類の鉾ヶ岳岩体と共通する.梶屋敷層は高峰層と同質な火山岩礫を多く含む堆積岩で,挟在する大谷川凝灰岩はおよそ1 Maのフィッション・トラック年代を示す.高峰層は梶屋敷層と一部指交関係で上位に位置し,安山岩–玄武岩質安山岩の火山砕屑岩からなる.上部の凝灰角礫岩本質岩塊のK–Ar年代は0.65 Maであり,高峰層の火山活動は少なくとも1 Maから0.65 Maの期間にわたる.火山岩の全岩化学組成から江星山層は特徴的に中カリウム系列の低カリウム側の組成領域にあり,他の層とは区別される.

資料・解説
  • 内野 隆之
    2018 年 69 巻 2 号 p. 125-133
    発行日: 2018/07/06
    公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー

    青森県下北半島北東部において,新第三系の基盤として小規模に産するジュラ紀付加体は,北から桑畑山地域,畑山地域, 畑山地域, 片崎山地域,大森地域に分かれて分布する.桑畑山地域の付加体は北端の尻屋崎に産する泥岩から最後期ジュラ紀~最前期白亜紀の放散虫化石が得られているが,片崎山地域・大森地域の付加体からの年代報告はない.今回,大森地域の付加体中の砂岩に含まれる砕屑性ジルコンから154.7±1.5 Ma(1σ)のU–Pb年代(最若粒子集団の加重平均年代)が得られた.したがって,大森地域の砂岩は後期ジュラ紀以降に堆積したと考えられる.

  • 佐脇 貴幸, 大和田 朗, 平林 恵理
    2018 年 69 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2018/07/06
    公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー

    これまで作製が困難であった,非常に滑らかな表面を持ち,透過性のある,高品質な自然硫黄薄片を作製することに成功した.よく知られているように,自然硫黄は非常にもろく,また熱により変質してしまうため,一般的な岩石薄片作製手法では薄片化することが難しかった.我々は,非加熱,乾式及び湿式研磨法により,厚さ30 µmの薄片を作製した. このような手法により作製した自然硫黄の薄片は,火山性流体や地熱流体,堆積岩の環境等に関わる新たな地球化学的 あるいは鉱物学的研究に利用することが期待される.

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