地質調査研究報告
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69 巻 , 5 号
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概報
  • 太田 充恒
    2018 年 69 巻 5 号 p. 233-263
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2018/12/12
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    本論文では,西南日本離島域を対象とした高密度地球化学図についての報告を行う.九州地方の陸海域地球化学図や現在作成中の広域Sr同位体図における研究調査を補完し強化する事を目的として,193試料の河川堆積物および3試料の火山灰降下堆積物を主に九州周辺の離島から採取し,53元素の分析を行った.堆積物試料中の元素広域分布と地質との関係を地理情報解析ソフトウェアを用いて詳細に調べた.非アルカリ苦鉄質火山岩や火砕岩由来の河川堆積物や火山灰降下堆積物はマグネシウム,カルシウム,スカンジウム,チタン,バナジウム,鉄,コバルト,ストロンチウムに富んでいた.アルカリ苦鉄質火山岩はさらに河川堆積物中のクロム,ニッケル,ニオブ,ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,タンタル濃度も増加させた.花崗岩由来の河川堆積物は,ベリリウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウム,イットリウム,スズ,ランタノイド元素,トリウム,ウランに富んでいた.付加帯・非付加帯堆積岩は河川堆積物中のニオブやタンタル濃度を増加させたが,ナトリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム濃度を低下させた.これらの地球化学的な特徴は,砕屑物中の母岩から供給された主要造岩鉱物(例えば石英,斜長石,カリ長石,苦鉄質鉱物)や副成分鉱物(例えば,アパタイトやモナザイト)の相対的な存在量によって説明が可能である.また,亜鉛・鉛鉱床が対馬の河川堆積物中の亜鉛,カドミウム,鉛濃度を高め,アンチモン鉱床が天草下島の河川堆積物中のアンチモン濃度を高めたことが確認された.

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