地質調査研究報告
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71 巻 , 3 号
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研究論文
  • 柳沢 幸夫, 安藤 寿男
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 71 巻 3 号 p. 85-199
    発行日: 2020/07/31
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

     野外地質調査と珪藻化石分析に基づいて,常磐地域南部の茨城県北茨城・高萩地域に分布する新第三系の多賀層群と日立層群の層序を確立した.両層群は常磐沖に発達する前期白亜紀から現世に至る前弧堆積盆を埋積した堆積物の一部である.

     約16.6 Maから7.5 Maに堆積した中新統の多賀層群は,3つの異なる種類の堆積物,すなわち,陸棚及び陸棚斜面堆積物,海底谷埋積物及び海底地すべり痕埋積物の複合体である.陸棚及び陸棚斜面堆積物は高久層,城戸場層,小浜層,十王川層及び櫛形層からなる.このうち高久層はこれまでは1つの独立した層群(高久層群)として扱われてきたが,本研究では珪藻化石年代と野外の証拠に基づき,多賀層群の最下部に位置づけた.本層は下位の下部中新統湯長谷層群を不整合に覆い,基底部は礫岩,下部は生物擾乱の発達した無層理砂岩,上部は塊状の砂質泥岩からなる.城戸場層,小浜層,十王川層及び櫛形層は,陸棚斜面で堆積した珪藻質泥岩または砂質泥岩からなる.多賀層群の海底谷埋積物は泥岩と砂岩からなり,谷幅0.3–1.2 km の18 本の小規模な海底谷を埋積している.海底谷埋積物は,時間間隙を伴う侵食面によって区切られた14の堆積ユニット(T1–T14)が累積した複合体を形成している.ただし,このうちユニットT13は本地域内には分布しない.これらの堆積ユニットは,侵食と堆積が繰り返し,海底谷が数百万年もの長期間にわたって存続したことを示す.一部の海底谷埋積物は混濁流から堆積した砂岩で充填されているが,多くは,薄い砂岩層を伴う半遠洋性の塊状珪藻質泥岩からなる.それぞれの海底谷埋積物は堆積後の泥岩の圧密によって生じたと思われる向斜状の構造を形成している.本地域内の海底地すべり痕埋積物としては,高戸ユニットと小貝ヶ浜ユニットの2つのユニットが認められる.両ユニットともに砂質泥岩及び泥岩からなる.

     調査地域南部以南に分布する日立層群は,最後期中新世(約7 Ma)から鮮新世(約3 Ma)に堆積した11の堆積ユニット(H1– H11)から構成される.これらのユニットは海底谷内での埋積と再侵食の繰り返しにより形成された.11のユニットのうち,本地域内に分布するのはH6からH11までのユニットで,これらは主に砂質泥岩からなり,一部は砂質泥岩と砂岩の互層及び癒合した厚砂岩からなる.本地域の日立層群では,谷幅0.3–0.9 kmの5本の海底谷が認められ,その流路の地理的及び層序的な変遷が復元された.

研究論文
  • 田辺 晋, 石原 与四郎
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 71 巻 3 号 p. 201-213
    発行日: 2020/07/31
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    東京湾の湾岸部を含む東京低地南部における5,767本のボーリング柱状図から,沖積層の基底深度を読み取り,クリキング法による空間補間を行うことで,沖積層の基盤地形を復元した.東京低地南部では,現在の荒川に沿って,古東京川開析谷が南北方向に縦断しており,その両岸には海洋酸素同位体ステージ(MIS) 5aとMIS 3,最終氷期最盛期(LGM)の前半に形成されたと考えられる3段の埋没段丘が分布する.古東京川開析谷の左岸と右岸の埋没段丘は,それぞれ行徳開析谷と古神田川開析谷によって開析される.行徳開析谷と古神田川開析谷の基底には沖積層基底礫層(BG)が認められず,礫による被覆効果が無かったために,LGMにかけた海水準低下に伴った河川の下刻による起伏地形が顕在化したと考えられる.

概報
  • 工藤 崇, 柳沢 幸夫
    原稿種別: 速報
    2020 年 71 巻 3 号 p. 215-233
    発行日: 2020/07/31
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    青森県七戸町坪川セクションに露出する上部中新統~鮮新統を対象として,珪藻化石分析とFT年代測定を実施した.坪川セクションの上部中新統~鮮新統は,下位より和田川層,小坪川層,市ノ渡層に区分される.和田川層からはNPD5C帯及びNPD6A帯に相当する珪藻化石が産出した.市ノ渡層中の軽石火山礫凝灰岩層からは4.1 ±0.4 MaのFT年代値が得られた.層序関係,微化石データ及びFT年代から,各地層の堆積年代は,和田川層:12 ~8 Ma,小坪川層:10 ~8 Ma,市ノ渡層:約4 Maと見積もられる.小坪川層に相当する安山岩主体の火山岩層10 ~7 Ma)は,奥羽脊梁山脈北端部とその北方延長部において広域に分布が認められる.このことは,安山岩マグマによる活発な海底火山の活動がこの時代に同時期に発生したことを示す.

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