下北半島東部に分布する下部~中部中新統の猿ヶ森層,鷹架層,泊層及び蒲野沢層について,地質調査及び微化石分析を行い,既存データと合わせて年代層序を構築した.微化石分析の結果,蒲野沢層からNPD4Ba帯の珪藻化石とCN4帯の石灰質ナンノ化石,鷹架層上部からNPD4A,NPD4Ba,NPD4Bb帯の珪藻化石とCN5a帯の石灰質ナンノ化石が産出した.層序関係及び微化石データより,各地層の年代は,猿ヶ森層:17 ~ 15 Maの間,鷹架層:16.6 ~ 13.1 Ma,泊層:16.6 ~ 15 Ma,蒲野沢層:15 ~ 10 Maと見積られる.泊層から報告された既存研究によるK–Ar年代の大部分は若返った年代と判断される.15 Ma付近にある蒲野沢層基底の不整合は,中部及び東北日本の中新統において認められる広域不整合に対比される.
関東平野西部の日高台地地下にける海成更新統の有無を明らかにすることを目的として,防災科学研究所が設置した日高観測井(掘削長1832.0 m)の深度550 m以浅のカッティングス試料に含まれる珪藻化石群集を分析した.珪藻化石は深度130 ~200 mの区間のカッティングス試料から産出した.珪藻化石が産出したすべての試料において,海~汽水生種が卓越することから,これらの区間は浅海成層を含むことが示唆される.関東平野において1.45 ~0.7 Maの年代指標となる珪藻化石Lancineis rectilatusは産出しないことから,日高観測井の海成層は川島コア(日高観測井の北東約14 kmに位置する掘削長600 mのボーリングコア)におけるL. rectilatus産出区間帯よりも下位に対比され,加治丘陵に分布する下部更新統仏子層に対比される.
高知県東部,奈半利低地において,長さ42 mのオールコアボーリング掘削を行なった.コアは河成礫層からなり,深度11.94 ~ 11.97 mと21.92 mからそれぞれ7,510±30 14C yr BPと7,960 ± 30 14C yr BP年代が得られた.また,深度25.87 ~ 25.94 mと28.20 ~ 28.25 mから,それぞれ19,240 ± 70 14C yr BPと23,920 ± 90 14C yr BPの年代が得られた.奈半利低地における沖積層の層厚は42 m以上であり,完新世前期の海水準上昇に対応して,礫層の堆積速度は大きくなった.
20万分の1地質図幅「野辺地」(第2版)の作成において,本地域に分布する中新統の年代を明らかにするため,U-Pb及びフィッション・トラック年代測定を行った.測定対象としたのは,砂子又層,蒲野沢層,泊層,小沢層及び四沢層から採取した火山岩及び火山砕屑岩7試料である.本報告では,試料採取地点付近の地質と年代測定結果について記載する.