地質調査研究報告
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論文
  • 中江 訓
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 72 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル フリー

    丹後地方山陰帯の珪長質深成岩類(宮津花崗岩・雲原花崗岩)について,LA–ICP–MS法によるジルコンU–Pb年代を測定した.その結果,宮津花崗岩のうち中粒花崗岩からは61.7 ± 1.0 Ma,粗粒花崗岩からは63.2 ± 1.0 Maが得られ,また雲原花崗岩からは65.7 ± 1.2 Maと65.1 ± 1.2Maを得た(誤差は2σ).これらの値は新旧2 つの異なる範囲の年代に分かれ,宮津花崗岩と雲原花崗岩は年代値によって識別できることを示唆する.先行研究による放射年代として,宮津花崗岩から61.9 Maと60.4 Ma(Rb–Sr全岩–鉱物アイソクロン年代)と 64.8 ~ 58.0 Ma(黒雲母K–Ar年代)が,また雲原花崗岩から67.2 Ma(黒雲母K–Ar年代)が知られている.Rb–Sr年代は本研究によるU–Pb年代とほぼ同じか若い値を示すのに対し,K–Ar年代はU–Pb年代だけでなくRb–Sr年代とも調和しない.一般的に同一試料の年代値は,年代測定法における閉鎖温度に従いU–Pb法,Rb–Sr法,K–Ar法の順に若くなることが期待されるが,宮津花崗岩・雲原花崗岩から得られた年代値はこのような傾向を示さない.

  • 今西 和俊, 内出 崇彦, 椎名 高裕, 松下 レイケン, 中井 未里
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 72 巻 1 号 p. 23-40
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル フリー

    中国地域の地殻内応力マップを作成するため,過去12年間にわたるマグニチュード1.5以上の地震の発震機構解を決定した.気象庁一元化カタログもコンパイルし,10 kmメッシュの応力マップとして纏めた.小さな地震まで解析して発震機構解データを増やしたことで,先行研究よりも応力場の空間分解能を格段に高くすることができた.得られた応力マップから,この地域は東西圧縮の横ずれ場に卓越しているが,島根県・鳥取県の日本海側になると応力方位が時計回りに約20°回転して西北西−東南東方向を示すようになる様子が詳しくわかるようになった.応力マップをもとに活断層の活動性について評価を行ったところ,地震調査研究推進本部 地震調査委員会(2016)が評価対象とした中国地域の30の活断層のうち,現在の応力場,一般的な摩擦係数のもとで再活動する条件を満たしているのは28あることがわかった.残りの2つの活断層は現在の応力場では動きにくく,再活動するためには,異常間隙水圧の発生や隣接する活断層の破壊に伴う応力変化でトリガーされるなどの外的要因が必要になると考えられる.

  • 竹内 誠, カ スイ , 志村 侑亮
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 72 巻 1 号 p. 41-64
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル フリー

    20万分の1地質図幅「富山」の改訂に伴い,範囲内に分布する先古第三紀の深成岩類のジルコン238U–206Pb年代を測定し,飛驒帯における火成活動史を考察した.

    飛驒古期花崗岩類のうち,西側の早月川地域に分布する早月川花崗岩の貫入年代は224.8 ± 1.7 Maで,東側の宇奈月地域に分布する宇奈月花崗岩と舟川花崗岩の貫入年代は,それぞれ236.5 ± 3.1 Maと240.7 ± 4.1 Maである.早月川花崗岩の貫入年代は,早月川花崗岩と隣接する飛驒古期花崗岩類の眼球状マイロナイトの原岩(250–240Ma)とは貫入年代が異なり,別の岩体であることがわかった.

    一方,5万分の1地質図幅「泊」地域で飛驒古期花崗岩類の音谷斑れい岩と宇奈月花崗岩とされたものの一部は,それぞれ,195.6 ± 2.0 Maと192.0 ± 2.4 Ma,を示し,前期ジュラ紀に貫入した飛驒新期花崗岩類に区分されるものと判明した.

  • 佐藤 善輝, 水野 清秀, 中島 礼
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 72 巻 1 号 p. 65-80
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル フリー

    宮川平野では波浪の影響を受けたデルタが発達する.平野の沖積層を貫くボーリングコア試料を採取して堆積 相観察や年代測定を行い,宮川デルタの形成過程について検討した.沖積層は下位から,網状河川チャネル堆積物,感潮河川堆積物,内湾堆積物,下部外浜堆積物,上部外浜~海浜堆積物,堤間湿地堆積物・人工土壌層の計6ユニットに区分される.宮川平野では10.3 ka頃に潮汐の影響が及ぶ河口域となり,9.5 ka頃には内湾環境が成立した.7.5 ~8.0 ka以降にデルタフロントまたは砂嘴が形成された可能性があり,4.3 ka頃までに現在の海岸線付近に海浜が形成された.

概報
  • 大熊 茂雄, 金谷 弘
    原稿種別: 概報
    2021 年 72 巻 1 号 p. 81-94
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル フリー

    日本列島を構成する基盤花崗岩類の物理的性質を明確にするため,これまでジュラ紀,白亜紀–古第三紀花崗岩類の物理定数に関する研究を行ってきたが,今回は新第三紀花崗岩類について同様の研究を行った.新第三紀花崗岩類は北は北海道の脊梁部から南は屋久島,石垣島に到る日本列島全体に分布し比較的小規模岩体が多く,ある程度の大きさの露出面積を示すのは甲府,丹沢,屋久島花崗岩である.従って今回は,甲府・甲斐駒ヶ岳花崗岩そして秩父・丹沢花崗岩を中心に西南日本外帯の岩石について記載を行った.取り扱った試料数は210個であった.

    結果は以下のようである.

    平均密度は南九州(薩摩半島・大隈半島)花崗岩の2.62g/cm3から室戸岬花崗岩の2.96 g/cm3に到る.また平均孔隙率はほぼこれに逆比例して0.29 % から1.94 %を示す.平均磁化率は南九州・屋久島花崗岩の2 × 10-4(SI)および5 × 10-4から潮岬花崗岩の5 × 10-3,室戸岬花崗岩は10-2,甲府・甲斐駒ヶ岳花崗岩の2 × 10-2および3 × 10-3,越後湯沢・和田峠・那須花崗岩の3 × 10-2,秩父・丹沢花崗岩の4 × 10-2である.これらに各々の岩質を加味して判断すると南九州・屋久島花崗岩と潮岬花崗岩は弱・常磁性,室戸岬花崗岩は中磁性,甲府・甲斐駒ヶ岳花崗岩は中,強磁性,越後湯沢・和田峠・那須岳花崗岩そして秩父・丹沢花崗岩は強磁性である.

    密度と自然残留磁化(NRM)の相関は丹沢花崗岩以外見られない.Qn比(Königsberger ratio)は潮岬・室戸岬花崗岩と屋久島花崗岩を除き0.4 以下である.

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