房総半島の上総層群の下部更新統東日笠層に挟在する礫岩中のチャート礫から,放散虫及びコノドントが産出した.放散虫(Praemesosaturnalis sp. cf. P. heilongjiangensis)とコノドント(Mockina sp.)の同定に基づくと,このチャート礫は後期三畳紀(中期~後期ノーリアン期)の年代を示す.本チャート礫は当時後背地に分布していたジュラ紀付加体に由来すると考えられる.
北西太平洋海域におけるコバルトリッチクラスト鉱床の探査の一環として,海山基盤玄武岩が採取され,全岩化学組成分析及びK–Ar/Ar–Ar 法年代測定が実施された.海山基盤玄武岩は変質やリン酸塩化の影響を受けて初生的な化学組成の保存が良くないものの,試料が採取された20 海山は全て典型的な海洋島アルカリ玄武岩の特徴を示した.生成年代については,K–Ar 法年代測定では変質の影響により信頼できる年代値が得られなかったが,Ar–Ar 法年代測定ではいくつかの海山から信頼性の高いプラトー年代が得られた.マーカス・ウェーク海山群に属する海山からは67 ~ 116 Ma,マゼラン海山群に属する海山からは87 Ma 及び105 Ma,マーシャル諸島海山群に属する海山からは90 Ma の生成年代が得られ,概ね先行研究で報告されている年代と一致した.
岩殿丘陵西縁部の帰属不明の砂質シルト岩試料の堆積年代を明らかにするために,珪藻化石分析を行った.分析した試料からは,珪藻化石帯NPD4A帯(Denticulopsis lauta帯)を特徴づける珪藻化石が産出するため,年代は中期中新世前期と判断される.また,Cavitatus lanceolatusを産することから,本試料の年代は生層準D41.5(Cv. lanceolatusの初産出:15.6 Ma)– D43.2(Cv. lanceolatusの終産出:15.2 Ma)の区間に限定される.珪藻化石層序に基づくと,本試料は比企層群荒川層の上部か市ノ川層に対比される.