放送研究と調査
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68 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 宇治橋 祐之, 大野 敏明
    2018 年 68 巻 1 号 p. 2-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2017年、『きょうの料理』が放送60周年、『きょうの健康』、『趣味の園芸』が放送50周年を迎えた。暮らしに身近なテーマを扱ってきたこの3番組は、タイトルやテーマソングとともに、多くの人に親しまれ続けている。共通するのは、豊かな生活を送るために役立つジャンルで、時代に合ったテーマを扱いつつ、少し先んじた内容も取り上げてきたことである。さらにテキストが発行されてきたこともあり、ウェブへの展開も先進的に進められてきた。『きょうの料理』で紹介されたレシピは約4万点。基本の料理を紹介しつつ、時短料理など時代にも対応しながら役に立つレシピにこだわり続け、番組から、レシピ検索サイト、ショート動画、SNSなどにも展開してきた。『きょうの健康』の放送回数は50年間で約1万回程度。伝染病の防疫から、近年の生活習慣病やがん対策まで、健康維持と予防に努めてきた。その積み重ねがウェブサイト「NHK健康ch」に繋がっている。『趣味の園芸』は、時代に合わせて盆栽、ガーデニング、野菜づくりなどをとりあげつつ、育てるだけでなく、飾ったり撮ったりなどの楽しみ方を提案、視聴者のコミュニティ作りも進めている。ソーシャルネットワーク時代を迎え、メディアが多様化する中、現在Eテレで放送中の3番組は、老舗番組のブランド、シンプルな演出を守りつつ、新たなメディアへの展開を続けている。
  • 視聴者とアナウンサーの双方へのインタビュー調査から
    滝島 雅子
    2018 年 68 巻 1 号 p. 26-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    研究報告書・技術報告書 フリー
    放送における美化語の適切な使用の方向性を探るため、今回は情報番組の『あさイチ』を対象に、放送場面の美化語の使用を観察し、それぞれの具体的な美化語について、実際の発話者であるアナウンサーとそれを受け止める視聴者双方の意識を質的に探るインタビュー調査を実施した。本稿では、インタビューの具体的な声を交えながら、アナウンサーの美化語の使用意識とそれを受け止めたときの視聴者の印象を分析する。▽アナウンサーは、番組の場面ごとに人間関係や場にさまざまな配慮をし、自己や対象事物の効果的な見せ方を考える中で、美化語を使用したり控えたりしている。▽美化語を使うかどうかの判断には、アナウンサー自身の使用傾向や社会の慣用が影響している。▽視聴者はアナウンサーによる美化語をおおむね好意的に受け止めている一方、「お」の付け過ぎや、逆に語によっては「お」を付けないことへの違和感を持つことがあり、その意識は性差と強く結びついている。▽全体的に視聴者が放送に美化語を期待する気持ちは強く、アナウンサーもそれに応えようと、情報番組では美化語を多用する傾向にある。一方で、過剰敬語は避けるべきだという規範意識から美化語の乱用を避け、全体として適切な使用を保っているといえる。
  • 戦時録音放送を聴く (後篇)
    大森 淳郎
    2018 年 68 巻 1 号 p. 46-64
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    研究報告書・技術報告書 フリー
    前編では、日本の録音放送が戦争の中で生まれ、戦争の中で発展してきた様を概観し、1941年5月に放送された『病院船』の録音構成としての完成度を分析した。後編ではまず、太平洋戦争開戦直後につくられた『香港攻略戦』を聴く。戦場に録音隊を派遣してつくる番組は前線録音と呼ばれていたが、『香港攻略戦』は、それまでの前線録音にはない、確かな「構成」を備えるものだった。日本軍が快進撃を続けていた時期、「構成」という方法の可能性は、未来に向けて無限に開かれているかに見えた。だが、戦時下の主題録音は、そのまま発展を続けていったのではない。やがてその輝きを失い、単純な宣伝番組に堕していったのである。
  • 緊急時コミュニケーションを考える(下)
    福長 秀彦
    2018 年 68 巻 1 号 p. 66-77
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
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    2015年の水防法改正によって、都道府県と市町村は「内水氾濫」によって地下街などに大きな被害が出るおそれがある下水道施設に「雨水出水特別警戒水位」を設定し、「内水氾濫危険情報」を発表することになった。本稿では、内水氾濫危険情報の特性を緊急時コミュニケーションの視点から考察した。考察の結果は以下の通り。 ■内水氾濫危険情報は、下水道管の水位が特別警戒水位に達すると発表される。特別警戒水位は、情報伝達・避難に要するリードタイムとその間の下水道管の水位の上昇によって設定される。国土交通省が特別警戒水位の設定事例などで示しているリードタイムは、洪水予報や水位周知の対象河川、水位周知海岸で想定されるリードタイムよりかなり短い。■リードタイムが短いのは、主として下水道管の水位上昇特性によるためだ。下水道管は洪水予報などの河川と違って、水を流す容量が小さいので、短時間の大雨時に水位が急上昇する傾向がある。リードタイムを長く取ると特別警戒水位が低くなり、内水氾濫危険情報を頻繁に発表することになってしまう。■内水氾濫危険情報はリードタイムが短いので、内水氾濫による地下街などの浸水害の危険が差し迫った時点で発表される。危険度は大雨警報(浸水害)と大雨特別警報(浸水害)の中間に位置づけられている。内水氾濫危険情報は、切迫度が非常に高い情報である。
  • 大墻 敦
    2018 年 68 巻 1 号 p. 78-85
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
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    2011年、全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)が、テレビ番組の海外発信を強化することを目的に国際共同製作イベント“Tokyo Docs”を始めた。7年間で528の企画応募があり、160の企画がピッチングセッション(国際テレビ番組提案会議)にかけられた。ピッチングセッションとは、国内外の放送局の編成・制作担当者などの前で、日本のプロデューサーやディレクターが企画をプレゼンして国際共同製作の可能性を探る場である。ピッチされた160の企画趣旨を分析すると「社会問題」「人もの」が多く、日本の製作者たちが、人間を通じて世界に通じる普遍的なテーマを描こうとしている傾向があることがわかった。さらに、主に国内で撮影する企画が75%、と地の利を生かした企画が多いこともわかった。Tokyo Docs7年目の成果として「国際共同製作が実現」あるいは「交渉過程にあるもの」が42あり、およそ25%が海外発信力をもつ企画であった。当初目標の一つ「2020年までに20人の国際展開プロデューサーを育成する」は、若手を中心に意欲的な候補者が多数あらわれている状況で、今後の課題は、実戦経験を増やすことであること言われている。筆者は初回から毎回参加してきたが、Tokyo Docsが、日本の製作者の海外発信力を強化する場として、着実な成長過程にあると感じている。
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