放送研究と調査
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69 巻, 12 号
放送研究と調査
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 2019年6月「幼児視聴率調査」から
    山本 佳則
    2019 年 69 巻 12 号 p. 2-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2019年6月に実施した「幼児視聴率調査」の結果から、幼児のテレビ視聴と録画番組・DVD、インターネット動画の利用状況を報告する。調査は、東京30キロ圏に住む2~6歳の幼児1,000人を調査相手として、6月3日(月)~9日(日)の1週間実施した。幼児が1日にテレビを見る時間(リアルタイム視聴)は1時間3分、録画番組・DVD(タイムシフト視聴)は25分、インターネット動画は16分だった。平日30分ごとの視聴率(再生率)は、午後7~8時台で、リアルタイム視聴に加え録画番組・DVDとインターネット動画も再生され、平日夜間は、リアル・タイムシフト・動画と視聴スタイルが多様化していることがわかった。高位番組は,テレビは「おかあさんといっしょ」などEテレの番組が多く入った。録画番組・DVDでは「アンパンマン」などリアルタイムで高位に挙がらない番組、インターネット動画では「YouTube」を経由してタイトル・ジャンルなど多岐にわたるコンテンツが視聴されていた。保護者の意識では、テレビに比べてインターネット動画に対してネガティブに捉えている傾向がうかがえる。保育園児と幼稚園児で平日の視聴状況を比べると、生活時間(起床・外出・帰宅・就寝)の違いから、テレビ視聴のピーク時間や高位番組に違いがみられた。今回から尋ねたアプリの利用について、幼児の4割が利用しており、動画の再生やゲームで利用されている。
  • 宇治橋 祐之
    2019 年 69 巻 12 号 p. 20-43
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    開局60年を迎えた教育テレビの番組の変遷をグループ分けして網羅的に見ていく「シリーズ 教育テレビ60年」。3回目は「青少年向け番組」「文化・教養番組」「芸術・芸能番組」「産業・経済番組」「科学・健康番組」「高齢者向け・福祉番組」「報道番組・その他の番組」の7グループをみていく。「青少年向け番組」は、「幼児向け番組」とともに、1980年代までは総合テレビでの放送が中心であったが、90年代にゾーン編成が取り入れられた後に 番組数を増やしていった。「文化・教養番組」は、『日曜美術館』や『こころの時間』などの長年続く番組に加えて、「教育教養講座」のシリーズ番組が終了した2010年代以後、多種多様な番組を放送している。「芸術・芸能番組」「産業・経済番組」「科学・健康番組」は開局当初から、総合テレビとは異なるタイプの番組が放送されてきた。そして90年代以後、高齢化社会を迎えるとともに、福祉や多様性が日本社会全体の大きな課題となる中、番組数・放送時間を増やしてきたのが「高齢者向け・福祉番組」である。また教育テレビならではの「報道番組・その他の番組」も時代に対応して放送してきた。それぞれのグループの番組の変遷をみるとともに、シリーズのまとめとして、教育テレビに特徴的な番組と編成、ウェブなどへの展開について整理をして、今後の生涯学習社会に果たす役割を考える。
  • 放送人・奥屋熊郎の闘い(後編)
    大森 淳郎
    2019 年 69 巻 12 号 p. 44-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    前編では、奥屋熊郎の出発を見てきた。奥屋はラジオの「指導性」を存分に発揮して大衆文化のレベルを向上させようとしていた。しかし、その「指導性」は、満州事変以降、日本社会が座標軸ごと右に地滑りしてゆく中で、いつのまにか国民を戦争に導いてゆく「指導性」と重なり合ってゆく。『国民歌謡』も『詩の朗読』も、軍・政府の宣伝手段となっていったのである。そしてそのことに奥屋自身、疑問を持つことはなかった。 奥屋が変わるのは、太平洋戦争が勃発するおよそ半年前のことである。軍人の横暴さに辟易とした奥屋は「このような訳のわからぬ権勢が民衆の頭を抑えている時代に、啓蒙的な行動は禁物であると悟った」のである。 だが「指導性」を放棄することは奥屋にとってはラジオを放棄することに等しかった。1943年、奥屋は日本放送協会を去る。 後編では奥屋の「指導性」の変質の過程を見据える。放送の「指導性」とは何か、奥屋が直面した問題は今日なお新しい。
  • マセソン美季 氏(パラリンピアン IOC・IPC教育委員)
    中村 美子, 渡辺 誓司
    2019 年 69 巻 12 号 p. 64-73
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    マセソン美季氏は、IOC(国際オリンピック委員会)・IPC(国際パラリンピック委員会)の教育委員として、日本の学校におけるパラリンピック教育の普及促進を図っている。パラリンピック教育とは、障害者スポーツを題材にして、他者を尊重しともに生きることを考える力を子どもたちに伝える教育で、マセソン氏は、これが東京2020大会のレガシーだと語る。マセソン氏は、1998年の長野パラリンピックで4個のメダルを獲得後、アメリカに留学した。障害者が選択肢を消去法で考えなければならない日本を離れ、日本の障害者のロールモデルになることを目指したのである。現在はカナダで家族と暮らすマセソン氏は、多文化共生社会であるカナダでは、障害の有無にかかわらずその人の能力が注目されると言う。 パラリンピック放送でマセソン氏が重要だと指摘するのが、障害者の目線で選手の思いを引き出すリポーターと、競技のパフォーマンスをスタジオでまとめるコメンテーターの役割である。特に、コメンテーターは、障害者スポーツにとどまらず、パラリンピックと共生社会の関係性を視聴者に伝える必要があるとする。 マセソン氏が進めるパラリンピック教育は、「I’mPOSSIBLE(アイムポッシブル)」という教材を利用している。「I'mPOSSIBLE」はIPCの公認教材で、その日本版の開発に携わったマセソン氏は、教師としての経験を生かして教師向けの研修を各地で行っている。マセソン氏が願っているのは、子どもたちが自己肯定感を高めて成長し、社会の変革を担っていくことである。東京2020大会はそのスタートであり、大会後も全国の学校でパラリンピック教育を継続させることによって、日本における共生社会の実現を目指している。
  • ESRA(ヨーロッパ調査研究学会)大会報告
    萩原 潤治
    2019 年 69 巻 12 号 p. 74-82
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ことし7月にクロアチアで開かれたESRA第8回大会では、調査研究に関する約220のセッションが開かれた。このうち、確率標本抽出の調査で、面接法などの伝統的な手法からWEBへのシフトを試みるヨーロッパ各国の最新事例を報告する。 まず、ONS(イギリス国家統計局)は、面接法からWEB&面接のミックスモードへ切り替えることを目標に、9年におよぶ実験調査の結果を発表した。ONSは、これを“Transformation(抜本的な変換)”と位置付け、単なる調査手法の変更にとどまらず、自記式のWEB調査でもデータの質を維持できるように、調査票や調査材料も一から見直した。その結果、これまでよりもやや高い回答率を得ることができた一方で、若年層や一部の地域などでは十分な効果が得られないなどの課題も見つかった。 また、GESIS(ドイツ社会科学研究機関)は、WEB&郵送のミックスモードが面接法の代替になりうるのかという問題意識から、両者を比較する実験調査を行った。その結果、回答率は大幅に向上し、サンプル構成や全体の回答結果にほとんど違いはみられなかった。このほか、調査のベスト・プラクティスをめぐる議論では、多くの参加者が国や年齢、キャリアにかかわらず、最適なデータ収集の方法は何なのかといった共通の課題に取り組んでいる様子がうかがえた。ほかの参加者からのフィードバックを得ながら自分の研究をブラッシュアップさせるという雰囲気こそが、ESRAという場の特長であるように感じられた。
  • NHK 宇都宮局朗読劇「コミチャン!」の事例より
    吉川 邦夫
    2019 年 69 巻 12 号 p. 84-87
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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