放送研究と調査
Online ISSN : 2433-5622
Print ISSN : 0288-0008
ISSN-L : 0288-0008
69 巻 , 1 号
放送研究と調査
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 宇治橋 祐之
    2019 年 69 巻 1 号 p. 2-17
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    1959年1月、日本初の教育専門局として開局したNHK東京教育テレビジョンは2019年で60年を迎える。当初は学校放送番組や語学番組などの講座番組が中心であったが、1980年代には社会全体が生涯学習を志向するようになったこともあり、子ども向け番組や、社会人そして高齢者を対象とした番組が増え、90年代からは「ゾーン編成」が取り入れられる。2000年代になると、さらに多様な番組を展開するとともに学校放送番組や趣味実用番組を中心に、インターネットへの展開を積極的に進める。2009年、教育テレビ開局50年には「ETV50 学ぶ冒険」をテーマに特別番組やイベントを開催。2011年には「Eテレ」という愛称を採用、「未来を志向するチャンネル」として番組を改変、2017年からは「みつかるEテレ」をキャッチコピーとして、さまざまなキャンペーンやイベントを展開している。本稿では教育テレビ60年の歴史を、各年度の「国内放送番組編集の基本計画」と放送番組時刻表を基に、NHK放送文化研究所の調査や論考、教育テレビ開局周年記念番組の内容などを参照しながらみていく。
  • 講演放送・学校放送は何を伝えたのか(前編)
    大森 淳郎
    2019 年 69 巻 1 号 p. 18-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    シリーズ第4回では、戦時ラジオ放送の3本柱の一つ教養番組(他は報道と慰安)、中でも講演放送と学校放送に焦点をあてる。戦時下の講演放送を牽引した多田不二によれば、講演放送の使命は「一億国民の精神的団結を計り、長期の総力戦を遂行させる」ことだった。また、学校放送の基礎を築いた西本三十二は「国民が一つの放送を聴いても相互に結びつけられ、それがまた同時に政府に結びつけられるという全体感を強く国民に感じせしめる」ことが大切だと説いていた。このような主張は今さら驚くべきことではない。戦時下の講演放送や学校放送が銃後の男たち女たちに、そして子供たちに戦争協力を訴えていたことはほとんど常識の部類である。むしろ意外なのは、多田にしろ西本にしろ、かつては反戦・非戦を主張する知識人だったことだ。多田は詩人として、植民地帝国としての日本を批判していた。アメリカで進歩主義教育を学んだ西本は、軍国主義を批判して国際平和の構築を訴えていた。彼らは、いつ、どのように変わっていったのだろう。そして国民に何を伝えようとしたのだろう。本稿では、遺された史料から時代の波に翻弄される組織人の苦悩を読み取り、同時に台本などの分析から戦時下の教養放送の実相を描く。
  • 放送と首都の1964年
    松山 秀明
    2019 年 69 巻 1 号 p. 36-53
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    戦後、テレビと日本の首都・東京は密接な関係であり続けてきた。とりわけ1964年、第18回オリンピック競技大会が開催された際、東京はテレビによってさまざまな意味を付与される都市となった。本稿では高度経済成長期の東京とテレビの関係を3つの視点から明らかにするものである。第一に、「テレビ・オリンピック」が生んだ人びとの東京への視線、第二に、オリンピックによって東京のなかで移転していくテレビ産業、第三に、テレビ番組のなかで描かれる近未来都市・東京である。これらテレビによる3つの側面――①テレビがつくる東京、②東京のなかのテレビ、③テレビのなかの東京――の連関から、1960年代前半の高度経済成長期におけるテレビと東京の関係を読み解いた。
  • NHKの防災コンテンツ活用の可能性
    田中 孝宜, 瀧田 あゆみ(国際交流基金)
    2019 年 69 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    世界各地で大きな災害が相次いで発生し、防災力の向上が国際的な課題となっている。日本は、特に災害多発国であり、過去の幾多もの被災経験から蓄積してきた技術や知恵を持っている。そうした「防災(BOSAI)」ノウハウを海外でも役立ててもらおうという国際協力が進められている。防災国際協力を推進している国際交流基金では、2018年9月、ブルックリンの公立小学校とニューヨークの美術大学で、防災教育のワークショップを開催した。ワークショップでは、日本の防災教育の専門家、永田宏和氏がまねかれ、体験学習を取り入れたオリジナルの授業を行ったが、その教材としてNHKのコンテンツ「つくってまもろう」が効果的に活用された。「つくってまもろう」は防災をテーマにした動画コンテンツで、ごみ袋を雨具に活用するなど、身近なものを使って災害時に役立つものの作り方を紹介している。国・地域ごとに防災ニーズは異なるが、「つくってまもろう」はBOSAIノウハウを映像でわかりやすくビジュアル化していると評判だ。災害発生後の緊急援助や復旧・復興支援など目に見える協力を違って、災害が起きる前に備えておく「BOSAI」の大切さを外国の人たちに理解してもらうのは容易ではない。災害に対する意識や文化的、社会的背景が違うからだ。本稿は、そうした中でNHKの防災コンテンツも活用しながら、日本のBOSAIを海外に広げようというニューヨークでの取り組みの様子を報告したものである。
  • 越智 慎司, 鴨田 浩和(放送技術研究所)
    2019 年 69 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2018年9月にオランダで開かれた “ヨーロッパ最大の放送機器展 ”「IBC 2018」を中心とした取材から、日本の放送の未来への示唆となりうる現状を報告する。IBCでは世界各地の事業者が最新の機器や技術を紹介し、NHKも8K放送に向けた番組制作から受信までのトータルシステムの準備状況などの展示を行った。IBCの50年を超える歴史は放送技術の発展の歴史とも言えるが、近年はテレビに限らずどこでもコンテンツを楽しむためのサービスに関係する事業者のホールも設置され、「放送機器展」という位置づけや放送局の存在感の変化がうかがえる。すでにヨーロッパではテレビをインターネットにつないで視聴するIP化が進んでおり、放送局はIPでの視聴から得られる視聴者のデータを分析し、番組制作などに活用する動きが活発化している。一方、活路を見いだそうとしているライブ配信では、IPの遅延の問題が表面化し、今回のIBCでもその対策がトピックとなった。「Traditional Broadcasters」(伝統的な放送事業者)は、メディア産業の拡大、ネットでコンテンツを配信するOTTサービスをめぐる競争、IP化の進行といった、放送を取り巻く変化に対応し、長年培ってきたコンテンツの制作や開発能力などの「強み」をどう生かしていくか、模索を続けている。
  • デジタル時代の「多様化」に放送はどう向き合うか
    吉村 寿郎
    2019 年 69 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    毎年秋に行われるアジア太平洋放送連合(Asia-Pacific Broadcasting Union、以降ABU)の総会と関連会議には、加盟放送局のトップや各部門の責任者が顔をそろえ、その年のテーマに沿って討論会や報告が行われる。中央アジアのトルクメニスタンの首都アシガバートで開かれたことしの総会には、約50の国と地域から500人近くが参加し、視聴者の世代や価値観といった違いだけでなく、次々と台頭してくる新しいメディアの「多様化」に放送はどう向き合っていくのかをテーマに議論が行われた。デジタル技術を駆使した斬新な取り組みについて報告が行われる一方、ABUのネットワークを生かしてアジア各国で制作された番組やノウハウを共有する共同制作などにも高い関心が寄せられていた。今回の総会でABUの新しい会長に選ばれたNHKの上田良一会長は「インターネットの普及を契機に新しいメディアが台頭し、新たなライバルになると同時に、我々と視聴者をつなぐ新たなパートナーにもなっている。放送メディアはこの環境変化に適応し、進化しなければ生き残れない」と述べた。来年のABU総会はNHKがホストとなり、11月に東京で開催される。多様なメディアからの情報があふれるデジタル時代に、公共メディアが果たすべき役割や使命についても今後、さらに議論を深めていく必要があると感じた。
  • もうひとつの「公共放送」の実像と背景
    吉田 功
    2019 年 69 巻 1 号 p. 78-79
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
feedback
Top