放送研究と調査
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69 巻 , 11 号
放送研究と調査
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • ~放送人・奥屋熊郎の闘い(前編)~
    大森 淳郎
    2019 年 69 巻 11 号 p. 2-25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    『国民歌謡』『詩の朗読』『物語』等々、1920~30年代の大阪中央放送局を舞台に奥屋熊郎が開拓した番組は枚挙に暇がない。野球中継やラジオ体操を初めて実現させたのも奥屋だった。この稀代の放送人・奥屋熊郎の哲学の核心は、放送の「指導性」である。当時、ラジオで最も人気が高かったのは浪花節だったが、奥屋の考えでは大衆は浪花節が好きだから浪花節の放送を聴くのではない。ラジオが放送するから浪花節を好きになるのである。「ラジオがラジオ大衆を作り出す」のである。放送によって大衆文化の向上を実現しようとした奥屋は、「(放送は)時代文化の特質を容易に変質させる力でさえある」とまで言うのだ。 だが、奥屋の「指導性」の強調の仕方に私たちはある既視感を覚える。本シリーズ第3回で焦点を当てた逓信省の田村謙治郎は満州事変から日中戦争へと向かってゆく時代の中で「ラヂオは最早、世情の流れに引き摺られてプログラムを編成する時代ではない」のであり「民衆をして追随せしむる」ものでなければならないと主張していた。 大衆文化の向上を目指す奥屋の「指導性」と、国民を戦争協力に導こうとする田村の「指導性」は、やがて近接し重なりあってゆくことになる。 奥屋が全力を傾注した慰安放送(今で言う娯楽番組)は、戦争の時代、どう変質していったのか。前編では、奥屋熊郎の出発から見てゆく。
  • 宇治橋 祐之
    2019 年 69 巻 11 号 p. 26-54
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
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    開局60年を迎えた教育テレビの番組をグループ分けして網羅的に見ていく「シリーズ 教育テレビ60年」。2回目は「趣味・実用番組」、「婦人・育児番組」、「教育教養講座」の変遷をみていく。教育テレビは、時間帯ごとに視聴対象を明確にするとともに、組織的・系統的な学習に役立ててもらうために、同一時間帯には同種の番組を編成してきた。「シリーズ 教育テレビ60年①」でとりあげた、「高校講座」や「語学番組」、『NHK放送文化研究所 年報2019第63集』でとりあげた「学校放送番組」とともに、「趣味・実用番組」や「教育教養講座」も平日の同時間帯に編成されてきた。 それぞれの番組グループの変遷をみると、「趣味・実用番組」は初期の『技能講座』や「おけいこ番組」に、総合テレビで放送されていた『きょうの料理』や『趣味の園芸』などが加わり、幅広い視聴者の興味や関心に対応してきた。「婦人・育児番組」は初期の『NHK婦人学級』が70年代に終了後、90年代からは育児をテーマとした番組として続いている。「教育教養講座」は、初期の『日曜大学』から80年代の生涯学習ニーズの高まりに対応した『NHK市民大学』を経て、知る楽しみを伝える番組に変化してきている。 それぞれの番組の内容の変遷とともに、放送時間帯の変化もみながら、NHK教育テレビが生涯学習社会に果たしてきた役割を考える。
  • ~2019年「日本語のゆれに関する調査」から~
    滝島 雅子, 山下 洋子, 塩田 雄大
    2019 年 69 巻 11 号 p. 54-72
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2019年3月に行った「日本語のゆれに関する調査」について報告する。▶第1章では、「やる」のかわりに「あげる」を使う用法について取り上げる。「植木に水をあげる」「子どもにお小遣いをあげる」「ペットの犬にえさをあげる」に関しては、「おかしくない・使う」という人が7割を超え、誤用とは言えない状況になっている。▶第2章では、気象情報で使うことばについて調査報告を行う。気温の言い方を「〇ド〇ブ」と言うか、「〇テン〇ド」と言うかを聞いたところ、「○テン○ド」を選んだ人のほうが多いという結果となった。また、「0度より低い気温」を言う場合、「氷点下」と「マイナス」のどちらを使うかを聞いたところ、「マイナス」が多い結果となったが、放送で使うことばとしては、自分で言う場合に比べ「氷点下」が多かった。▶第3章の外国語・日本語をめぐる意識については、日本人の大多数は、「(一部の人を対象にした教育ではなく)日本人全体への英語教育」、「(外国人向けの日本語教育よりも)日本人自身の外国語運用能力を高める教育の重視」を望ましいものととらえており、「(英会話には)まったく自信がない」、「小学校での英語教育には賛成」、「日本語を話す外国人が多くなった」と思っていることが明らかになった。外来語が増えることに対しては、「日本語をあいまいにすることにつながる」という意見が5割程度、「日本語を豊かにすることにつながる」という考えが4割程度になった。若い年代ほど英語(および外来語)への親和性が高く、高年層ではその反対に日本語をより重視するような傾向が見て取れる。
  • 「社会と生活に関する意識・価値観」調査の結果から
    平田 明裕
    2019 年 69 巻 11 号 p. 74-87
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHKでは,2016年12月に固定電話に加え携帯電話も対象にする電話法(デュアルフレーム調査)を導入した。この調査法では,現在、抽出確率や男女年層などの属性をもとに補正するウエイト集計をおこなわず,固定電話・携帯電話それぞれの結果を単純に合計する集計方法を採用しているが,今後、固定電話所有者の減少と携帯電話所有者の増加がさらに進んだ場合、現在の方針を取り続けることが妥当なのかを検証するため、今年3月に実験調査を実施した。デュアルフレーム調査導入時の2016年12月以来2度目の検証で,主な結果は以下のとおりである。 ・携帯調査では男性や若年層からより多くの回答を得ることができ,デュアルフレーム集計の男女年層別のサンプル構成比はより国勢調査の構成比に近づく  ・固定調査と携帯調査の回答差はほとんどみられない ・固定電話と携帯電話の所有状況については,ウエイトをかけないデュアルフレーム集計の方が,世論調査(配付回収法)の結果に近い ・デュアルフレーム集計と3種類のウエイト集計の結果を比較したところ,ほとんどの質問で回答結果に差はなかった 以上のことから、固定電話と携帯電話による電話法(デュアルフレーム調査)については、当面は、ウエイト集計をおこなわず固定調査と携帯調査の結果を単純に合計する、というこれまでの方針を変更する必要はないと考えられる。
  • AAPOR(アメリカ世論調査協会)年次総会から
    木村 義子
    2019 年 69 巻 11 号 p. 88-95
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
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    2019年5月16日~19日の4日間、カナダ・トロントで、第74回アメリカ世論調査協会(American Association for Public Opinion Research :AAPOR)年次総会が開催された。本稿はその参加報告である。AAPORは、米国だけでなく世界各国から、調査関係者や学術関係者が千人規模で一堂に会す大規模な学会で、今年の大会テーマは設定されていなかったが、Survey Design(調査設計)に関するセッションも多く、Survey Designの変換期を体現する大会であった。筆者は、Web-Push Survey(ウェブプッシュサーベイ)という、調査相手に郵便で調査を依頼し、インターネットによる回答を促す調査方式について、方式を開発した世界的権威ドン・ディルマン(Don A. Dillman)氏が、その目的や実践例を指導するショートコースにも参加した。ディルマンのWeb-Push Surveyは世界的に広がっているが、大会冒頭に行われた基調講演では、Web-Push Surveyを導入し、インターネットによる回答率を7割弱に伸ばした、カナダの国勢調査(2016年)の事例も紹介された。その他、スマートフォンの様々なセンサーで測定されたデータと調査データを組み合わせた実践例や、統合データの透明性に関するセッション、高齢者の日常生活に関するデータを取得するため、アプリとウエアラブル端末と調査を組み合わせた事例などを本稿ではとりあげた。大会を通じて、何か解が見つかったわけではなく、調査以外のビッグデータやデータ統合も、それぞれが課題を抱えていることを実感した。
  • アンディー・スティーブンソン氏(イギリス 番組制作会社 Whisper プロデューサー
    渡辺 誓司
    2019 年 69 巻 11 号 p. 96-101
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    イギリスの番組制作会社Whisperのプロデューサーのアンディー・スティーブンソン氏は、2018年のピョンチャンパラリンピックに続き、イギリスで放送される東京2020大会の番組制作を担当する。これまでにパラリンピック放送の出演者、制作者の経験があり、テレビとラジオでマルチな才能を発揮してきた。生まれつき両腕と左足に障害があるが、「障害は個性である」と語る。 パラリンピック放送のポイントとして、スティーブンソン氏は次の3点を挙げた。まず、視聴者をパラリンピアンの優れたパフォーマンスに注目させるには、障害と向き合ってきた彼らのバックストーリーを併せて紹介し、共感を生む必要があると言う。次に、番組制作者は障害者アスリートの声に耳を傾け、彼らを理解することが新たなパラリンピック放送へのきっかけになるとする。そして、2016年のリオパラリンピックの時に、イギリスのテレビ業界には障害者の制作スタッフを育成、登用する制度が生まれたが、障害者が主役となるパラリンピックでは、番組制作チームに障害者のスタッフが入り、彼らの視点が加わることの大切さを指摘する。 東京2020大会でスティーブンソン氏は、子どもを対象にしたパラリンピック関連番組の制作を考えている。番組が子どもが障害者を見る初めての機会になるかもしれず、障害者に対して子どもは大人のような先入観を持っていないからである。次の時代を見据えると子ども向けのパラリンピック番組の制作は重要であると述べた。
  • 活用に向けた保存を目指して
    広谷 鏡子
    2019 年 69 巻 11 号 p. 102-103
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
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