植物分類,地理
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30 巻, 4-6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 加藤 雅啓
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 101-118
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    シケチシダ属はヒマラヤから東アジア,東南アジアに分布するメシダ属近縁の属で9種よりなる。次はその検索表と分布である。1. 葉は軟骨質縁か亜軟骨質縁,単細胞毛をもつか無毛…2 1. 葉は軟骨質縁でない,単または多細胞毛をもつか無毛…3 2. 葉は軟骨質縁(長線形細胞),裂片は鈍-鋭細歯縁,胞子嚢群は円形-楕円形…イッポンワラビ(陝西,河南,中国東北,ウスリー,朝鮮,本州,北海道) 2. 葉は亜軟骨質縁(短線形細胞),裂片は鋸歯少なく,鈍歯縁-細歯縁,胞子嚢群は楕円形-線形…ハコネシケチシダ(本州,四国,九州,済州島) 3. 胞子嚢群は楕円形-線形,葉は2-3回羽状深裂…4 3. 胞子嚢群は円形-楕円形,葉は3-4回羽状深裂…7 4. 根茎は匍匐…5 4. 根茎は直立…6 5. 葉は隣接する,裂片は全縁-細歯縁…シケチシダ(浙江,福建,広東,広西,江西,湖南,台湾,済州島,九州,四国,本州) 5. 歯は疎につく,裂片は鋭歯縁…C. birii(シッキム) 6. 歯は尖鋭頭,裂片の幅は4-5mm…ナンゴクシケチシダ(ヒマラヤ,ビルマ,雲南,四川,広西,台湾,九州,ベトナム,タイ,フィリピン,ボルネオ,ジャワ,バリ,セレベス) 6. 葉は細長い尖鋭頭,裂片は2-3mm…C. philippinensis(ミンダナオ) 7. 裂片はほぼ全縁-鈍歯縁頭…8 7. 裂片は鋭歯縁頭…C. quadripinnatifida(ネパール,シッキム) 8. 葉は無毛,裂片は近接せず,鈍歯縁頭…ホソバシ ケチシダ(シッキム,雲南,台湾,屋久島,小笠原,フィリピン,パプアニューギニア) 8. 歯は単細胞毛を密生,裂片は近接し,全縁-やや鈍歯縁頭…C. atroviridis(マレー半島,スマトラ,ジャワ) ハコネシケチシダは済州島のC. christensenianaと同種であり,これがその学名となる。シケチシダ,ナンゴクシケチシダ,イッポンワラビには有毛型と無毛型があるが区別できない。広東のC. tsangiiはシケチシダ,フィリピンのAthyrium gymnocarpum,雲南のC. likiangensis,四川のC. omeigensisはナンゴクシケチシダ,雲南のC. badiaはホソバシケチシダである。C. philippinensisとC. quadripinnatifidaの2新種を記載し,C. atroviridisを新しく組み換えた。蛇足ながらホソバシケチシダには最近C. banajaoensisが使われるようになった。ヤクシケチシダとシケチイヌワラビは各々種間,属間雑種と推定されている。
  • 平野 實
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 119-126
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 北村 四郎
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 127-130
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    数年前に大英博物館からネパール産のキク科植物標本が京都大学理学部植物学教室に到着した。私に種名の同定をしてほしいとのことであった。そのうち,わかったのは同定して返送したが,むずかしいのが残った。パリー自然史博物館から中国やベトナムのキク科植物標本を送ってもらって,それらを調べつつ,ネパールのキク科植物を再検討した。このほどようやく仕事が一応終った。そのうちの新種を報告する次第である。ヨモギ属の一種。姿や葉は日本のヤマヨモギに似ていて,頭花は大きく,球形で幅5mmほどある。英人が採集したが,1976年には田端英雄氏等もこれを採集した。田端氏等のは花が蕾である。そのほか,キケルビタ属一種。トウヒレン属2種。キオン属2種の発表である。ネパールは中国の四川,雲南と陸続きなので,多数のキク科植物が報告されている四川,雲南と共通する種も多いが,然しネパールに特産する種も可成りある。
  • 福岡 誠行
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 131-133
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    CRAIB(1932-34)はタイ国から71属557種のアカネ科を報告しているが,分類学的に再検討しなければならない問題も多い。幸い東南アジアやヒマラヤから多数の資料が集積されつつあり,タイ国産アカネ科植物相もある程度研究できるようになってきた。本稿ではSpermacoceae連の2属を扱った。Mitracarpumは図1のように果実が裂開することで他の近縁な群と容易に識別でき,中南米とアフリカに知られていた。しかし,M. hirtumがタイ国,マレー及びフィリピンにも帰化している。恐らく東南アジア各地にもっと広く拡がっているであろう。Borreriaはタイ国にこれまで3種が記録されていたが,新たに3種が帰化している。このうち2種は熱帯アメリカ原産の植物である。
  • 村田 源
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 134-147
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 丸山 巌, 岡村 はた, 村田 源
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 148-152
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 村田 源
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 152-
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 寺林 進
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 153-168
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    本報では,イカリソウ属,アメリカイカリソウ属の主として花における維管束走向を調べた。花の各器官は,イカリソウ属では十字対生に,アメリカイカリソウ属では3数性の輪生配列をしているが,両属とも花被は3つのグループすなわち,外がく片,内がく片,花弁に分けることができる。内がく片と花弁は,その成長が遅れる。花床での維管束走向は両属でほぼ同じであった。外側の花被片では跡が1管束性で,内側の花被片,雄〓では跡が2管束性になる傾向がある。イカリソウ属では3管束性の跡も観察される。雌〓の維管束走向も両属でほとんど差はなく,2つのシステムからなっている。1つは背管束で,これは雌〓が果実となって裂けた時の一方の裂片に相当する部分を走る。もう一方は裂開した果実の種子をつける裂片に相当する部分を走る。これは主に腹管束,胚珠管束から成る。これらの結果をメギ属,ヒイラギナンテン属,トガクシソウ属の場合と比較してみると,トガクシソウ属では花床で維管束が2重構造になるということを除くと,同様の傾向を示していると言える。雌〓についても,メギ属,ヒイラギナンテン属,トガクシソウ属では漿果になり,イカリソウ属,アメリカイカリソウ属では袋果になるが,維管束走向,その他の形質からして,これらは基本的に同じ構造をしていると考えられる。
  • 中西 弘樹
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 169-179
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ハマボウは奄美大島から神奈川県三浦半島天神島まで分布し,しばしば群落をつくる。その生育地は主として小河川の下流および河口付近や砂嘴や陸けい島の内湾側,入江の奥の塩湿地などの高潮線付近であり,流水や波浪の影響を直接受けない所である。その群落は淡水の流入する泥質または砂泥質の塩湿地に多く,砂質土壌の場合は腐植がよく発達した立地である。比較的大きな群落が見られる地域は,三重県南東郡,和歌山県南西部,愛媛県南西部,熊本県天草諸島,宮崎県北部で,これらの地域の多くは沈降海岸で入江が発達し,ハマボウの生育に適していると考えられる。そのうち最大のものは,三重県度会郡南勢町伊勢路川河口に発達したもので,次いで愛媛県南宇和郡御荘町馬瀬の群落である。種組成は単純で,ハマボウ1種が低木層に優占し,草本層は種数乏しく植被率も低い。この群落はハマボウ群集(新群集)として命名され,ハマオモト,マサキの有無によって2つの下位単位に分けられた。
  • 岩槻 邦男
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 179-
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • テム スミチナンド
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 180-
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 清水 建美
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 180-187
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 荻野 和彦
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 188-189
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 高谷 好一
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 189-
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • ハンセン バーテル
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 189-194
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    1979年5月中旬に京都でタイ国植物誌研究集会が開かれた。タイ国植物誌研究計画が国際的な企画として設定されたのは1960年代であり,1970年からは植物誌も刊行されている。編集委員会はCopenhagen,Kewに続いて,Leyden(1967),Paris(1972),Aarhus(1975)でも開かれているが,今回京都で編集委員会が開かれる機会に,もう少し規模を拡大したタイ国植物誌研究集会を企画した。幸い,日本学術振興会やトヨタ財団の援けも得られ,外国からの参加者8名を含めて充実した集会であった。5月12日には京都会館で,タイ国植物誌に関する講演が行なわれた。この集録はその日行なわれた5つの講演を要約したものである。Tem SMITINAND博士は現在タイ国林野庁副長官であるが,タイ国の植物相を詳しく検討しておられ,この植物誌の作成にも大きな力となっている秀れた研究者である。この講演では,スライドを豊富に示しながら,山地において顕著な植物について,興味ある紹介を行なわれた。特に,北部の山地に生育するヒマラヤ要素の植物には日本の植物相に関係のあるものがあるが,そのような種は特に詳しく紹介せられた。清水建美博士の講演は,現在研究中のホウセンカ属を中心に,石灰岩植物についての考察を行ったものである。この論文で,タイから40種のホウセンカ属植物を確認し,そのうち19種が固有のものであることを明らかにしておられる。また,ホウセンカ属の分類では,WARBURGの分類系を修正して使用されているが,この属全体の再検討が必要なことも指摘されている。いわゆる石灰岩植物として,タイのホウセンカ属のうち16種が挙げられており,2つの節に特にそれが多いことが示されている。荻野和彦博士は森林生態学の立場から,タイ国における植生の一般的な紹介をされ,地形や気候と対比した上でどのような森林が分布しているかを整理された。その上で,低地における落葉広葉樹林に着目され,人間生活の影響でこの種の森林が広大な地域を占めるようになっている現状を客観的に示された。人口の増大に伴って自然が変貌を遂げつつある現状を明快に示し,問題提起とされたものである。高谷好一博士は御専門の地質学の立場から,タイ国の中央平原について,地形や地質についての知見を総括的に紹介して下さった。更に,いろいろの情報を巧みに盛り合わせた地図を駆使しながら,この地域の植生が移行する様子や標微種の出没する様を,地形や土地と対比させながら整理し,説明して下さった。高谷博士はチャオフラヤ・デルタについていろいろの観察をしてこられ,興味のあるデータを示しておられるが,そのような植生と地質学的データの対比が山地についても可能になれば面白いものと思われる。コペンハーゲンのBertel HANSEN博士は最近ではツチトリモチ属の秀れたモノグラフを著したりしておられるが,トウエンソウ属の研究を終えられたところであったので,特にタイやインドシナに生育する種の紹介をしていただいた。トウエンソウ科はツユクサ目のものであるが,日本には自生しないものであり,一般的な形質について図示し,説明されてから,インドシナ半島産の12種の個々について詳しく話していただいた。なお,この研究集会を援助して下さった日本学術振興会とトヨタ財団,それに集会に参加してこの会を有意義なものとして下さった内外の研究者に深謝いたします。(岩槻 邦男)
  • 福岡 誠行
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 194-
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 岡本 素治
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 195-198
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 岩槻 邦男
    原稿種別: 本文
    1979 年 30 巻 4-6 号 p. 198-
    発行日: 1979/12/20
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
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