ベニマツリ連のベニマツリ属とアカミズキ属およびキナノキ連のヒョウタンカズラ属の3属3種の花の内部形態を観察した。各属の花における管束走行は図16,18,および20に要約される。これら3属は花柄の管束走行,胎座への管束の入り方,花盤ががく管束などで違いは認められるが,次のような形質で互に似ている:発達した胎座,多数の胚珠,タンニン細胞の存在,花の各部へ入る管束が子房周辺部において互に離れている傾向を示すことなど。BREMEKAMPによるとヒョウタンカズラ属はいわゆるIxoroid受粉機構をもつこと,葉間托葉は単純なこと,花冠裂片が回旋状に閉じていることなどからキナノキ連として独立させ,サンダンカ連の近くに置いた方が良いという。VERDCOURTも花の類似性や針状結晶の存在からBREMEKAMPの意見に賛成している。またヒョウタンカズラの胚珠は垂平で,上向性胚珠をもつキナノキ連の他の属とは異る。一方アカミズキ属は上向性の胚珠をもつことや種子の翼が弱く発達するものからキナノキのように両端に長く伸長したもの(たとえばアカミズキ)まであり,ベニマツリ連よりむしろキナノキ連に近縁なように見える。またベニマツリ連は2〜3の属を除いて総て熱帯アメリカに分布していて,分布からもアカミズキ属の所属に疑問がある。
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