植物分類,地理
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45 巻, 1 号
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  • 福原 達人, ZABTAKHAN SHINWARI
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    Dahlgrenらの定義によるウブラリア科(Uvulariaceae, ユリ目Liliales)のうち, 北半球に分布する6属で, 各属1種から数種について種皮の解剖学的構造を記載した。ウブラリア科の種皮構造は変異に富んでおり, 細胞の形・細胞壁の肥厚や細胞内蓄積物の分布や性状に基づいて5つのグループに分かれる : (1)ウブラリア属(Uvularia)とチゴユリ属(Disporum), (2)タケシマラン属(Streptopus)とコンゴウソウ(Disporum ovaleまたはStreptopus ovalis), (3)ツバメオモト属(Clintonia), (4)ホトトギス属(Tricyrtis), (5)プロサルテス属(Prosartes)。種皮構造においては, これらウブラリア科の属とスズラン科(Convallariaceae, キジヵクシ目Asparagales)の間では, 近縁性を支持するような特徴は殆ど見られず, ウブラリア科の一部はむしろユリ科(Liliaceae)やエンレイソウ科(Trilliaceae)の属に類似した種皮構造を持っていた。プロサルテス属はチゴユリ属に含められることもあるが, その種皮構造はチゴユリ属とは大きく隔ったものであった。コンゴウソウをチゴユリ属に含める見解とタケシマラン属に含める見解とがあるが, その種皮構造はタケシマラン属のそれとよく一致した。種皮解剖に基づくグルーピングは, 胚発生学的研究やrbcLの塩基配列に基づく系統関係とおおむね整合的であり, ともに現在のウブラリア科の範囲づけを支持しない。
  • 荻沼 一男, 戸部 博, 大場 秀章
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ネパール王国に自生する7科8属8種の木本性植物について, 若い葉の細胞を利用して調べた体細胞染色体の数と形態を報告する。Acer truncatum(カエデ科)は2n=26,Xylosma controversus(イイギリ科)は2n=20,Myrsine capitellata(ヤブコウジ科)は2n=46,Ziziphus incurva(クロウメモドキ科)は2n=24,Wendlandia coriacea(アカネ科)は2n=22,サカキCleyera japonica(ツバキ科)は2n=90,Schima wallichii(ツバキ科)は2n=36,Toricellia tiliifolia(トリケリア科)は2n=24の染色体数をもつことが明らかにされた。8種のうち, 4種について初めて染色体数が明らかにされ, 核型については全種について初めての報告である。
  • 菅原 敬, 中村 文子, 神林 真理, 星 秀章, 三上 美代子
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    エゾカワラナデシコ(ナデシコ科)には両性花をつける株に混じって雌花のみをつける株が見られることが知られている。しかし, このような雌雄性の分化(雌性両全性異株性)にともなって, この植物の両性花と雌花との間で花の形態や開花習性, 送粉や交配にかかわる特性にどのような差異が生じているのか, また野外での種子や果実の形成, 花粉媒介者はどのようなものか, などについてはほとんど知られていない。そこで, 性型の異なる二つの花の基本的特性を明らかし, 野外での送粉や繁殖の様子を探ることを目的に, 青森県内の2つの集団を用いて調査を進めてきた。両性花と雌花との間には, 花の付属器官(花弁やがくなど)における大きさの違いが認められるが, 開花習性の上でもいくつかの興味深い違いが認められた。その一つは, 花柱発達時期(雌性期)のずれである。雌花では, 開花時にすでに花柱を高く伸ばして柱頭組織を発達させ, 受粉可能な状態にあるが, 両性花では雌性期が開花から2,3日後であった。もう一つは, 開花期間における雌性期の長さで, 雌花では両性花よりもかなり長い雌性期をもっていることが明らかになった。これらは, 雌花の受粉の機会を高めているように思われる。しかし, 野外での果実あたりの種子の生産数は必ずしも両性花より高くなく, 同様な性型を示す他の植物とはやや異なる状況であった。
  • 高橋 弘
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ヤマホトトギスの花部生態学的研究を行い, 近縁なヤマジノホトトギスと比較した。両種は受粉様式の特徴の多くが似ている。花は2日間咲いており, 雄性先熟で, 自家和合性がある。主要なポリネーターはトラマルハナバチである。しかし, ヤマジノホトトギスは花被が基部から1/3のところで平開するのに対して, ヤマホトトギスは下方へ折れ曲がる。トラマルハナバチは折れ下がった花被片に止まってから折れた部分の稜によじ登るか, あるいは直接稜部に止まって, 吸蜜する。隣の蜜腺を探るためには, その狭い稜部を歩かなければならない。ホトトギス属の直立型の花を持つほとんどの種には, 花被の基部近くの内面に黄橙色の蜜標がある。また, ヤマジノホトトギスは同じ場所に大きな紫色の斑点があり, それも蜜標と考えられる。しかし, ヤマホトトギスのその場所には可視斑点は認められず, 特別に紫外線を吸収するか反射する部分もない。花被の稜に紫斑点が集中し, また折れ下がった花被部の紫斑が少ない花では, その斑点は均一に分布せずに稜近くに集まる傾向があるが, そこは他の種の蜜標がある位置より上である。大部分のホトトギス属植物がほととんど同じ蜜標を持っていることなどから, ヤマホトトギスはそれを退化させたと考えるのが自然であろう。いくつかの植物種で, 蜜標を持たない植物は持つものより適応度が下がることが知られている。ヤマホトトギスは蜜標を退化させても, 適応度を低下させないと考えられる。トラマルハナバチはヤマホトトギスの折れ下がった花被に止まると, 頭が必然的に花の基部近くに来るし, 稜部にいても, そこが狭くて窮屈なため, 頭は基部近辺から遠く離れることはない。従って, 蜜の匂いを感じて, 蜜標がなくても正確に蜜腺を探るのかも知れない。ヤマホトトギスに蜜標がないのは, その特殊な花被の形態と関連があると思われる。稜上とその近辺に集まっている斑点は, ポリネーターの着地目標になっている可能性がある。
  • 汪 光煕, 永益 英敏
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ミズアオイ科のミズアオイ属はアジア, アフリカ及びオーストラリアに分布し, 特に東アジアと東南アジアに多い。ここに記載した新種Monochoria validaは中国の海南島で発見されたものである。Monochoria validaはM.elata N.H.Ridleyに類似する。しかし, 前者は, 葉身は広い矢尻形で, 20-35×10-15cm, 基部の裂片の長さが7-11cmで, 下仏焔苞の葉身は12-28×4-10cmであり, 花序の有花部分の長さは10-20cm, 花序あたりの花数は50-110個と多く, 花茎の長さは110-200cmであるのに対して, 後者は, 葉身は細く, 細い矛形あるいは細い矢尻形で, 15-30×0.8-2.5cm, 基部の裂片の長さが約2cm, 下仏焔苞の葉身は8-15×0.8-2.0cmであり, 花序の有花部分の長さは10-15cm, 花序あたりの花数は15-40個で, 花茎の長さは90-160cmである。Monochoria validaはM.hastata(L.)Solms-Laubachにもよく似ている。しかし, 前者は, 総状花序をもち, 草高が130-210cmと高いのに対して, 後者は亜散形花序をもち, 草高が130cm以内であり, さらに, 葉身は広い矛形で, 10-19×8-12cm, 基部の裂片の長さが2-5cmで, 下仏焔苞の葉身は10-18×6-10cmであり, 花序の有花部分の長さは4-6cm, 花序あたりの花数は30-50個, 花茎の長さは45-60cmである。
  • 藤井 伸二
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 45-66
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    琵琶湖は日本最大の湖であり, その湖岸の自然環境は多様である。琵琶湖および周辺の水域については, 水草相, とくに沈水性の水草相に富むことが従来から指摘されてきた。しかし, 湖岸の植物については, 海岸植物の分布が報告されているが, 近畿地方全域のなかでの植物地理学的な問題は整理されていない。また, ヨシ原を中心とする原野環境に特有の植物群に関しては, その分布などの実態がよくわかっていない。そこで, 琵琶湖岸の植物相の特徴を明らかにするために, 砂浜と原野環境に生育する植物の分布を精査し, 近畿地方における評価を試みた。その結果, 内陸で海浜植物が5種も見られるのは近畿地方で唯一であること, 検討した6種の海岸植物はいずれも著しい隔離分布をしていること, そしてこれらの植物種は植物地理学上興味深い問題をもつこと, さらに, 近畿地方では琵琶湖・淀川沿いにほぼ限られる原野の植物の分布様式を認識でき, これらの植物の生育が原野環境の多様性に依存していることが示唆された。また, 原野の多様性に関する仮説を提出した。しかし, 原野環境の維持機構とそこに生育する植物の生態についての研究は未だ充分ではない。近年の湖岸開発でこれらの植物の生育環境が急速に減少しており, 早急な保全が望まれることも指摘しておきたい。
  • 堀田 満, 黒木 佐知子
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    コウライシバは, 葉の形態や生育場所からはっきりとコウシュンシバZoysia matrella(L.)Merr.から区別される別種と考えられるが, 従来コウライシバに当てられていたZoysia tenuifoliaが, コウライシバの学名として使用できないので, 新名Z.pacificaを提唱する。また, 西南日本での両種の分布域を明らかにした。
  • 角野 康郎, 平碆 雅子
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 北村 四郎
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 77-
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 安田 佐知子
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 77-78
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 岡田 博
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 79-
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 角野 康郎, 高野 温子
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 80-81
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 秋山 弘之
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 82-83
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 秋山 弘之
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 83-84
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 芝池 博幸
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 84-85
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 北村 四郎
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 86-87
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 木下 覚
    原稿種別: 本文
    1994 年 45 巻 1 号 p. 88-89
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1994 年 45 巻 1 号 p. 90-94
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
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