植物分類,地理
Online ISSN : 2189-7050
Print ISSN : 0001-6799
48 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 高宮 正之, 渡邊 充, 小野 莞爾
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 89-121
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    日本産ミズニラ属(Isoetes)植物のサイトタイプ6種について, 各々の形態学的・解剖学的形質と地理的分布について比較検討し, 分類学的取り扱いを整理した。その結果, 日本産ミズニラ属植物には, 以下の4種1雑種1変種が認められた:I. asiaticaヒメミズニラ(二倍体), I. japonicaミズニラ(六倍体), I. pseudojaponicaミズニラモドキ(新種;八倍体), I.× michinokuanaミチノクミズニラ(新雑種;ミズニラとミズニラモドキの種間雑種で七倍体), I. sinensis var. sinensisシナミズニラ(狭義;四倍体), I. sinensis var. coreanaオオバシナミズニラ(新称新組み合わせ;六倍体)。ミズニラモドキとミチノクミズニラは, 大胞子が網目状模様を, 小胞子が針状突起を持つことで特徴付けられる。ミズニラモドキは, 稔性のある胞子を作り有性生殖するのに対し, ミチノクミズニラは, 不稔性のF_1雑種である。シナミズニラとオオバシナミズニラとは, 葉の断面の形や, 小胞子の大きさ・孔辺細砲長などによって区別される。
  • 高橋 弘
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    中国大陸には, Tsi(1980)はヒマラヤホトトギスTricyrtis maculata (=T. pilosa)とヤマホトトギスT. macropodaの2種のみが, Takahashi(1980)はそれらにタマガワホトトギスT. latifoliaを加えた3種が分布するとしている。しかし, 中国東部にはこれらとは異なるホトトギス属植物があることがわかった。それは花被が平関するなど花の形態はヤマジノホトトギスT. affinisやセトウチホトトギスT. setouchiensis, 及びヒマラヤホトトギスに似るが, それらより花がやや小型であること, 花被片の上半分は緑白色であること, 花被片の平開部の直ぐ下に薄橙色の斑紋(蜜標)があることなどが特徴となる。また, 茎と葉がほぼ無毛である点も重要な特徴である。花序はヤマホトトギスと同様に, 茎の先にcymose branchingsを2-3個出すタイプである。翌年の芽と根をつくる地下茎は短く, 1(-2)本しか出さないが, 翌年の春まで残ることはない。根にアントラキノン系の黄色い色素はない。これは明瞭な種と認められるので, 学名をTricyrtis viridula, 和名を基準産地の鳳陽山にちなんでホウヨウホトトギスとする。ホウヨウホトトギスは浙江省・江西省から雲南省の北東部までの暖温帯域に分布することが判明しており, ヒマラヤから中国雲南省北東部まで見られるヒマラヤホトトギスに置き換わるような分布を示す。
  • 若林 三千男
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 129-146
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ネコノメソウ属Sinica列のオオイワボタン(和名:Suto, 1935)Chrysosplenium pseudofaurieiは, アジア大陸東北部, および済州島にのみその分布が知られていたが, 最近, 大陸から遠く離れた四国徳島県にも自生していることが明らかとなった。このように隔離されて存在する日本産オオイワボタンがどのような特徴をもっているのかを理解するため, この種の基凖標本を含む多くの乾燥標本や韓国産オオイワボタンとの形態学的, 細胞学的比較検討を行った。その結果, 日本産のものは新変種と認識し, ヒメオオイワボタンvar. nipponenseと命名, 記載した。ヒメオオイワボタン(ヒメ)はオオイワボタン(オオ)と比べると, ロゼット葉が円形に近い広楕円形で大きさもかなり小さく, 種子の大きさもより小さい。花はヒメでは萼が嚢状に著しく膨れ, 花柱は萼片の約半分である。また, 種子表面の微細な突起の形状にも違いが見られ, オオでは突起が円柱状で先端に大きな穴が空いているかまれに切頭形または鈍頭であるのに対して, ヒメでは突起は約2箇所でくびれており先端は球状である。中期染色体の大きさはヒメの方がやや大きい。染色体数はヒメ, オオとも2n=24であり, Sinica列としては初めての報告である。
  • 福岡 誠行, 黒崎 史平
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    アオイカズラ属に近縁なSpatholirionはタイ国に知られる1属1種の小さな属である。タイ国半島部のナラチワ州に, 明らかにこの属に所属するとみられるものがあり, 新種Spatholirion decumbensとして発表することにした。この種は既知のS. ornatumとは匍匐する茎, 葉の形, 葉柄に絹毛を密生すること, その基部が葉鞘にならないことなどで異なる。
  • H. O. EDEOGA, B. E. OKOLI
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 151-158
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    これまで分類が混乱していたオオホザキアヤメ属の3分類群の関係を明らかにするために, 葉身, 根茎, 根の比較解剖をおこなった。解剖学的な違いによって, これまで同種としてきた考えに反して, Costus aferとC. lucanusianusは別種とすることの妥当性が示された。しかし, これらの種の交雑個体は, 解剖学的な差異はあるものの, 別種とする必要はない。この研究によれば, 葉肉の厚さはCostus aferでは3〜4細胞層で, C. lucanusuanusでは4〜5細胞層で, 推定交雑個体では2〜3細胞層であった。根の維管束系はC. aferでは6原型, C. lucasianusでは9原型, 交雑個体では多原型で, この形質は種を区別する重要な特徴を示す。
  • 徳岡 徹, CHING-I PENG
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    小笠原諸島に産するハツバキの花の形態と構造はこれまで正確に理解されていなかった。そのため, ハツバキ, およびこれとの比較のためアフリカ産のハツバキ連3種とアジア産ハツバキ連2種の雄花と雌花を実体顕微鏡, ミクロトーム切片, 及び走査型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果, ハツバキは日本庭ハツバキ連のもう一種である琉球列島のツゲモドキ属ツゲモドキ(Putranjiva matsumurae)とは, これまで知られていた雄しべの本数の違いのほかに花盤の有無でも異なることがわかった。すなわち, ツゲモドキは花盤がないのに対し, ハツバキは花盤を持っていた。ハツバキとツゲモドキはこれまで常に同属と扱われてきた。しかし, 花の形態が大きく異なるため, 現在利用されているWebsterの分類システムに従ってハツバキをッゲモドキとは別属(ハツバキ属Drypete)のDrypete integerrimaとして扱うべきである。また, ハツバキ属(Drypetes)の花盤は解剖学的に見れば, 細胞質に富んだ, 良く染まる小さな細胞から作られ, その向軸側には気孔に似た孔が散在している。これらのことから, 花盤は蜜腺であることが分かった。
  • KEN OYAMA
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ストロンによって栄養繁殖する植物であるスズシロソウArabis flagellosa Miq.(アブラナ科)のクローン構造・枯死率・繁殖率を, 国内分布域の北端近くに位置する2集団(貴船と藤原岳)で調査した。双方の集団とも, 新しく定着する個体の多くはストロンの末端に付く栄養繁殖体(ラミート)であった。調査された2年間種子由来個体はすべて途中で枯死した。娘ラミートは母個体に比べ致死率が非常に高いが, いったん定着すれば, 栄養繁殖を行い, また次シーズンに開花をする潜在能力を持っている。計測された形質のほとんどが2集団間で分化しており, 貴船の個体は, 藤原岳の個体と比べてより長いストロンをより少数伸ばす傾向があった。開花率はもっとも集団間の違いが大きい形質であり, 貴船では1989年に1個体, 1990年に4個体が開花しただけなのに対し, 藤原岳では両方の年で40%を超す個体が有性繁殖を行った。
  • 國分 尚, 安藤 敏夫, 光山 修司, 渡辺 均, 塚本 達也, EDUARDO MARCHESI
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 173-185
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    前2報では, ウルグアイ内のPetunia axillaris2亜種がおおむねリオ・ネグロ川を境に住み分けており, リオ・ネグロ川下流域とラ・プラタ川沿いにはその中間型も見られる事を示した。今回は, 2亜種間の遺伝子浸透をより明確にするために中間型の分布に注目して, ウルグアイ内102地点で採集された種子由来の植物の形態の判別分析を行った。判別分析の典型地として中間型の見られた地域から南北に最も離れた地点を選んだ。Petunia axillaris subsp. axillarisの3郡12地点, subsp. parodiiの典型地としてArtigas郡とSalto郡から16地点を使用した。ステップワイズ判別分析により得られた5判別関数に全102地点の計測値を代入した亜種の判別により, 2亜種がおおむねリオ・ネグロ川を境として分布することが再確認されたが, 中間型とされたものの分布は前報の結果よりも広く, リオ・ネグロ川と平行した南側の地域とSoliano郡全域, Colonia郡のラ・プラタ川沿岸に見られた。このように, 中間型の分布は明確になり, 今後の遺伝資源解析のための基礎的データの一つを提供すると思われる。
  • JAE-HONG PAK, NAM-CHUNG KIM, KYUNG CHOI, BONG-BO SEO, INSUN KIM, SEUNG ...
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 187-196
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    東アジアにおけるIxeris chinensis complexの2倍体, 3倍体, 4倍体の分布を花粉の大きさと染色性に基づいて調査した。その結果, 2倍体はIxeris chinensis subsp. chinensisのみに見られ, 3倍体, 4倍体はIxeris chinensis subsp. strigosa(タカサゴソウ)に見られることが分かった。韓国を含む大陸には2倍体, 3倍体, 4倍体の全てが出現し, 対照的に台湾には2倍体だけが, 日本には3倍体と4倍体だけが分布している。日本に分布する3倍体は, 日本国内で2倍体と4倍体による雑種交配によって出現したというよりは, 大陸から渡ってきてから無配生殖によって分布域を広げたものと考えられる。
  • 野嵜 玲児, 小林 禧樹, 藤本 義昭
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    兵庫県東播磨地方において, これまで近畿地方から記録のなかったウンヌケ(Eulalia speciosa)の新産地を見いだした。東播磨のウンヌケは, 流紋岩類からなる丘陵地の溜池の土手や禿山の草地に群生しており, これまで約30ヵ所の自生地が確認されている。新産地を含む日本列島におけるウンヌケの分布図を各地の標本庫に収蔵されている標本に基づき提示した。東播磨地方においてウンヌケの生育を維持してきた主な要因は, 古くからの人為作用と乾燥した気候, それに伴う山火事の多発による禿山の形成にあると考えられる。さらに, その周囲に多数存在する溜池の土手草地が, 近年における禿山の緑化や遷移の進行によるウンヌケの生育通地の減少に対して, レフュジアとしての機能を果たしてきたものと推測される。
  • 井上 健, 谷亀 高広
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 205-
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 井上 健
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 205-206
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 迫田 昌宏, 三宅 慎也, 浜西 洋, 武田 義明
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 206-209
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 戸部 博
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 210-
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 戸部 博
    原稿種別: 本文
    1998 年 48 巻 2 号 p. 210-
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
feedback
Top