今回は12属26種及変種について記載した.分布上興味あるはCyanidium ealdarium, Oscillatoria subbrevis, O. tortuosa, Lyngbya subspiroides であって少数の地域に産するに過ぎない.温泉産のものは12 種,海産のものは3種を含んでいる.新種としてはLyngbya subcapitataを報告した.151. Aphanocapsa pulchra (KUTZ. ) RABENH. 細胞は球形で径3・5-4・5μ,透明なる粘質塊の表層近くに多く配列する.水草に付着するか或はプランクトンとして産する.世界的に廣く分布しているが類似の種類が多いから多少混同されている場合もあるようである.深沼池,耶馬渓.152. Gloecapsa montana KUTZ. 植物塊は不定形で膠質状を呈する.粘質塊は透明且層を成すことが多い.主として湿地,湿濡岩上の蘇苔に付着生育する.京都市北白川.153. Dactylococcopsis rhaphidioides HANSG. 細胞は紡錘型を呈し真直なものもあるが多くはいろいろの程度に屈曲彎曲する.径は1-3μ,長さは25μまで.普通無色透明な粘質により数個集合している.京都市深沼池.154. Cyanidium caldarium (TILDEN) GETTLER. 細胞は概ね球形であるが相互の圧迫により多少角張ることがあり,粘質鞘は薄く透明.4箇のEndosporesを生ずる.此植物は極めて強度の酸性水域を好み,酸性の温泉に廣く分布するものである.筆者は別府市外塚原温泉に初めて此藻を採集したが分類上の位置につき疑念を抱いていた.所が図らずもCOPELAND氏(1936) が著したる黄石公園の温泉藍藻に関する論文中にPluto caldarius (TIILD.) COPEL. として発表されているのを知った.其後岡田要之介氏の論文により GEITLER 氏が既にJava の温泉より得たる材料に基き報告せるものと同種なることが判った.
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