分析化学
Print ISSN : 0525-1931
13 巻, 4 号
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  • 脂肪酸に対するリン酸スズの性能
    小西 一生, 狩野 喜治
    1964 年 13 巻 4 号 p. 299-304
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    新しいガスクロマトグラフ用担体として,リン酸スズ担体の性能を遊離脂肪酸のガスクロマトグラフィーを行なうことにより検討した.リン酸スズ担体合成時のPO4/Sn比は担体と固定相液体との反応性から2に決定した.熱てんびんによる加熱減量の測定からリン酸スズ担体の使用可能温度範囲の上限は400℃であり,このことは赤外線吸収スペクトルからも支持された.リン酸スズ担体の表面状態は電子顕微鏡写真の測定によって金属切断面の表面状態に似ており,このことからその表面積はガラスビーズ担体の表面積に近いと思われる.
    リン酸スズ担体を使用したガスクロマトグラフィーの結果,炭素数2~18の遊離脂肪酸について良好なガスクロマトグラムを得た。これはリン酸スズ担体が脂肪酸を吸着する性質が少なく,かつ脂肪酸の会合を切り,その揮発性を改善する性質を有するからであろう.
  • 西村 耕一, 色川 宏
    1964 年 13 巻 4 号 p. 304-309
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    タンタルを陰イオン交換樹脂に吸着させて分離し,ニオブをチオシアン酸錯塩-エチルエーテル抽出法で定量する諸検討を行なった.得られた結果をつぎに要約する.
    (1)金属タンタルをフッ化水素酸-硝酸で溶解,酸化タンタルを,フッ化水素アンモニウム-硝酸分解法で分解し,3M塩酸-0.1Mフッ化水素酸の液性で陰イオン交換樹脂を通した.タンタルの吸着量は調整を終った樹脂5mlに対し1.25gで飽和に達し,ニオブは試料液を含む流出液の総量が125mlで完全に流出されることを確認した.
    (2)ニオブの発色,抽出条件を検討し試薬の添加量をつぎのとおりに定めた.
    酒石酸溶液(20%)5ml,ホウ酸溶液(4%)15ml,塩酸15ml,塩化第一スズ溶液(20%)10ml,チオシアン酸アンモニウム溶液(50%)8ml,全液量約80ml.
    (3)エチルエーテルを抽出溶媒として使用すると,そのままでは懸濁する水分のため,測定ができないので,アセトンを10%添加して水分を吸収しその妨害を除去した.
    (4)本法の定量下限は10ppm程度で標準偏差は約1ppmである.
  • 吉森 孝良, 郡 宗司, 武内 次夫
    1964 年 13 巻 4 号 p. 309-312
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    カソーディックストリッピング法を微量鉛の分析法として利用した.すなわち,鉛を過酸化鉛として陽極上に析出させ,つぎにこの極を陰極(カソード)として,その電位を負方向に走査することによって得た溶出曲線(電流-電位曲線)の面積から鉛を定量する方法を検討した.
    鉛を電着させるには回転白金電極を用い,溶出曲線の記録には直流ポーラログラフと記録計(感度0.08μA/mm)を使用した.0.05~1μgの鉛の定量に適当な条件はつぎのとおりであった.電解液は0.1M硝酸アンモニウム溶液とし,総容積10ml,pH6で使用した.電着条件としては,極電位1.3V(vs. S.C.E.),液温40℃とし,4時間以上電着すると溶出曲線面積はほぼ一定値に達した.また溶出曲線は1.2~0.2V(vs. S.C.E.)で得られた.
  • フッ化チタン酸過酸化水素試薬を用いる分析(第10報)
    深間内 久雄, 出野 竜子, 松原 チヨ, 敷井 セツ, 香川 ミチ子
    1964 年 13 巻 4 号 p. 313-316
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
    元素Meのフッ素錯イオンがフッ化チタン錯イオンよりも安定なものの場合は,フッ化チタン酸と過酸化水素の混液にMeイオンを加えると過チタン酸を生ずる。ケイ素など8種の元素がこの反応を呈し,この反応によってこれらの元素の比色定量ができることをすでに報告したので,これらの元素数種を含む試料をこの反応によって分析する方法を検討した.この種の試料を分析するために,まず試料溶液からケイ素をフッ化水素酸で除去したものに一定量のケイ素を加える.これを呈色させたものを対照として,試料溶液を呈色させたものの透過率を透過率比法によって測定する方法を用いた.種々の割合にケイ素とアルミニウムを含む人工的試料についてこの定量法を検討した結果,Si:Al=5:1(重量比)以上のケイ素含量の試料中のケイ素はこの方法によって相当に精度よく定量できることを認めた.
  • フッ化チタン酸過酸化水素試薬を用いる分析(第11報)
    深間内 久雄, 出野 竜子, 松原 チヨ, 敷井 セツ, 香川 ミチ子
    1964 年 13 巻 4 号 p. 316-319
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    前報の過チタン酸生成によるケイ素の精密比色法を数種の天然ケイ酸塩について検討した.同時におのおのの試料の重量分析を行なってケイ素含量を求め,この値と比色定量値を比較した.これらの分析によって得られたケイ素含量は,ケイ岩では,比色法定量値44.91%,重量法定量値45.14%;砂岩,比色法43.05%,重量法42.23%;花こう岩,比色法27.63%,重量法27.75%;緑柱石,比色法29.51%,重量法29.95%;ズンかんらん岩,比色法19.91%,重量法18.50%であった.この結果から,ケイ素含量約30%以上の試料ならば試料0.1~0.01gを用いて過チタン酸の生成による精密比色法によって定量できることを認めた.
  • 長谷川 恵之, 梶川 正雄, 岡本 伸和, 浅田 栄一
    1964 年 13 巻 4 号 p. 319-324
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
    レーリー散乱およびコンプトン散乱強度の比Rは原子番号依存性が大きく,炭化水素の元素分析に利用できる.この分析法はRの精度に負うところが大きく,Rの正確な測定法,検量線の近似法および分光結晶などについて検討した.
    コンプトン散乱スペクトルはDoppler broadeningのため大きな幅をもち,またShift defectのため,スペクトルの極大位置が散乱体の組成の変化により,わずかずつ異なり,ブラッグ角1/100度ずつ走査しながら順次測定し,極大強度を求めなければならない.
    検量線(R vs.carbon %)は双曲線となり,理論的考察と一致し,近似法の正しいことが明らかとなった.
  • 松浦 二郎, 室島 和子, 滝沢 正男
    1964 年 13 巻 4 号 p. 324-329
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    直流ポーラログラフィーによるシステインの定量を検討した結果,希硫酸を支持電解質として,H型セルを用い,水銀-飽和硫酸ソーダ電極を対照電極として良好な結果が得られた.システインのポーラログラムは硫酸濃度が比較的低い場合には二段波を示すが,ある濃度以上では一段波を示す.この一段波を示す濃度はシステインの濃度によって異なる.しかし,硫酸濃度が一定であればシステイン濃度とポーラログラフ電流値はよい直線関係を示す.システイン波の半波電位は-0.27V,シスチンはこの場合ほぼ-0.7Vに半波電位(水銀-飽和硫酸ソーダ対極)をもつことから両者の分離定量が可能である.分析例として,フェントン試薬によるシステインのシスチンへの酸化反応において,未反応のシステインと生成したシスチンを定量した.
  • 武者 宗一郎, 宗森 信, 中西 良之
    1964 年 13 巻 4 号 p. 330-336
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    市販のポリ塩化ビニル(PVC)中に安定剤として高級脂肪酸塩の形で加えられている亜鉛,鉛およびカルシウムの定量に原子吸光分析法を応用した.試料約0.59をN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)100mlに溶解し,得られたDMA溶液について原子吸光測定を行なった.供試液中のPVCが原子吸光測定に対してかなりな影響を及ぼすので,対照試験法によって定量を行なった.また,この検量線の直線部分(亜鉛0.3~6ppm,鉛20~100ppm,カルシウム5~25ppm)を利用して標準添加法を適用した.両方法とも満足すべき結果を与えた.回収試験の結果,いずれの元素についても回収率は99%以上で,本法による定量結果の正確さが確かめられた.精度および正確さにおいて,本法は従来の灰化法に基づく方法に比べてすぐれている.試料の溶解に約40分要し,全体の分析所要時間は50~60分である.
  • 杉井 篤, 椛沢 洋三
    1964 年 13 巻 4 号 p. 336-339
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    ビチオノールは,再結晶が不十分であると遊離イオウを混在する場合があり,この定量法を確立した.電解液にビチオノールの溶解度および導電率を考慮し,ジオキサン:ピリジン:塩酸:水(40:5:5:50)の混液を用いた結果,ビチオノールの共存下では,溶存酸素の影響はほとんどなく,セル抵抗も無視できる程度である.検量線は,0.5,1.0および1.5×10-3M純ビチオノールにイオウ1~10×10-5Mを添加して作成し,検量線法および標準添加法により市販ビチオノール中の遊離イオウを定量した結果,約0.3%の混在を知ることができた.
  • ばいじん成分の衛生化学的研究(第6報)
    大道 貞男
    1964 年 13 巻 4 号 p. 339-342
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
    二酸化鉛法による大気中イオウ酸化物の定量法として,クロラニル酸バリウムを用いる比色法について検討した.定量操作において,アルカリ中和のpH調整に指示薬として2,5-ジニトロフェノールを用い,塩酸で行なったところよい結果が得られた.またこの際生ずる塩化ナトリウムの影響があり,これをできるだけ除くため,硫酸鉛から硫酸イオンとして浸出に必要な炭酸ナトリウムの所要量を求めた.これらの結果により,比色法の操作条件を明らかにし,実際試料について行ない,重量法による定量値と比較したが,相対誤差は最高-6.9%で,ほぼ満足した結果が得られた.
  • 高橋 起世子
    1964 年 13 巻 4 号 p. 343-346
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    キシレノールオレンジを用いた希土類元素の定量の最適条件およびキレートの組成などについて検討を行ない,pH6付近では,試薬およびキレートはともに578mμに吸収極大をもち,かつその呈色は非常に安定であった.連続変化法とモル比法によれば,得られたキレートの組成は検討した11元素についていずれの場合も1:1であった.また,pH6.10で578mμにおける分子吸光係数が各元素について求められた.
    キシレノールオレンジは希土類元素のそれぞれときわめてよい感度でキレートを生成し,微量の希土類元素の定量に有効である.しかし,それらの性質は互いに非常によく類似しており,また,感度よくキレートを生成するpHとして6.10を選んだため希土類元素以外の妨害元素が多いが,適当な分離操作ののち全希土としての定量にも利用できると思われる.
  • 高間 博子, 安東 毅, 上野 景平
    1964 年 13 巻 4 号 p. 346-350
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    アミノアセトン二酢酸(AADA)は塩酸ヒドロキシルアミンおよび過酸化水素の存在で,鉄,コバルトと反応して榿黄色の安定な錯体を生成する.特に,鉄錯体は呈色が安定なので鉄の吸光光度法に応用することができる.pH5.5,波長370mμで2~20μg/mlの鉄イオン(III)についてベールの法則が成立し操作も簡単である.鉄と当量以下のアルミニウム,マンガン,鉛,クロム,ニッケルなどの存在は影響しない.この呈色錯体における鉄とAADAの結合比は1:2で,発色の機構についても検討した.
  • 佐野 貞雄
    1964 年 13 巻 4 号 p. 351-352
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
  • 小林 英吾, 鈴木 繁喬, 荒木 峻
    1964 年 13 巻 4 号 p. 352-354
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    有機化合物中のハロゲンの定量方法には種々の方法が提案されているが,そのなかで酸素フラスコ燃焼法は,装置および操作が簡単であり,Schonigerの発表以来,数多くの検討が加えられてきた.しかしながら,燃焼後の定量操作についてなお多少の問題があるように思われるので,日常分析として迅速に行なえるように簡略化を試みた.
  • 並木 博
    1964 年 13 巻 4 号 p. 354-355
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
    最近は光度滴定のために光電光度計に付属する装置,専用の装置などが市販されているが,その種類も少なく比較的高価でもある.著者は分光光度計に付属する濁度測定装置を利用し,装置を損傷することなく簡単に光度滴定装置を作って使用しているので,その大要およびこれにより微量のバナジウムの滴定を行なった例を紹介する.
  • 農薬のガスクロマトグラフィー(第13報)
    金沢 純, 佐藤 六郎
    1964 年 13 巻 4 号 p. 356-357
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • 農薬のガスクロマイグラフィー(第14報)
    金沢 純, 佐藤 六郎
    1964 年 13 巻 4 号 p. 358-359
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • 原 昭二, 竹内 美知子, 松本 惟江
    1964 年 13 巻 4 号 p. 359-361
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
    薄層クロマトグラフィーはロ紙クロマトグラフィーと原理的には似た方法であるが,よりデリケートな特性を有し,いわゆる周縁現象や展開前端と経路のわん曲(特に円形の断面をもつ展開そうで著しい)などが観察され,その再現性のためにいっそう厳密な実験条件が要求される.その原因として,薄層表面の蒸発の不均衡(一方の面がガラス板に固着されているのに他表面が開放されているために生ずる)や展開時間が著しく短く,展開剤の蒸発による分離効率の変化および低下の著しいことなどがあげられる.Stah1は展開そうの内壁に同一展開剤をしませたロ紙をはりつけ,展開剤蒸気による飽和を促進する方法を考案してこの問題を一応解決したのであるが,一方,薄層上の蒸発を抑制するより有効な方法として,著者らはおおい板を薄層上にのせて薄層上の空間を小さくする新しい型式を考案した.別に同じ原理に基く展開そうが最近報告または市販され,いわゆる"サンドウィッチ法"と呼ばれる型式が出現した.(これとは逆に展開そうの上部にすき間を設けて溶剤蒸気を逸出する方法が考案されているが,ここでは長時間の展開と留出に主眼がおかれ,展開剤の蒸発による分離効率の低下は避けられない).
    この方法は原理的にはすぐれているのであるが,広く一般的に使用されるには至っていない。その理由はおそらく装置の不備にあるものと考えられる.第一に,展開そうが金属二重管から成り,または,そうとプレートとの間がアルミニウムフォイルでおおわれ,薄層の展開剤にはいっている部分が見えないので,展開剤を吸上げる毛管部や展開初期の状況を監視することができないこと,迅速にプレートを展開そうに入れる操作が行ないにくいこと,また液面と薄層の下縁との距離は厳密に一定にする必要があるにかかわらず,その操作がわずらわしいことなどである.さらに別の型式では展開そうの密閉をしないかまたは不完全なため,易揮発性の展開剤には使用できない.そこで今回これらの諸点を改良し,新たな型の装置を設計試作した.その特色は機構がきわめて単純かつ操作が確実,迅速な点にある.著者らの研究室ではこの装置を繁用し,従来の装置より使いやすく,溶媒が節約され,展開剤蒸気の飽和は前処置なしにただちに得られ,展開時間が短縮され,展開中に先端がかすれることなく,長距離,長時間の展開が可能であり,Rf値の再現性が良好であることを確かめえた.以下にその装置と操作法を述べる.
  • 西田 宏
    1964 年 13 巻 4 号 p. 361-362
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    亜硝酸イオンは,α-ナフチルアミンと反応して赤色沈殿を生ずることを見いだし,この反応を用いて微量の亜硝酸イオンの検出を試み好結果を得た.亜硝酸イオンの検出は,Griess以来スルファニル酸とα-ナフチルアミンなどによるアゾ化合物の呈色を利用する方法が行なわれているが,α-ナフチルアミンは,いずれもジアゾ化合物とカップリングさせるために用いられており,単独で亜硝酸イオンの検出試薬として用いられていない.
  • 宮島 努
    1964 年 13 巻 4 号 p. 362-364
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
  • 田村 正平
    1964 年 13 巻 4 号 p. 376-378
    発行日: 1964/04/05
    公開日: 2010/01/14
    ジャーナル フリー
    本誌第12巻第10号に"便利な実験器具"としていろいろなものが紹介されているが,これにならって少し記してみる.「化学と工業」のドラフト欄,AnalyticalChemistryのAid for Analyst欄などにも同様な試みがなされているので,以下の内容で,周知または重複があった場合はお許しいただきたい.
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