分析化学
Print ISSN : 0525-1931
13 巻, 7 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 高純度クロム分析法 (第11報)
    川瀬 晃
    1964 年 13 巻 7 号 p. 609-614
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    高純度クロム中に含まれている微量のニッケルを定量した.クロムを過塩素酸に溶解し,加熱酸化してクロム酸とする.少量のクエン酸アンモニウムを加え,アンモニア水でアルカリ性とし,ジメチルグリオキシム-クロロホルムでニッケルを抽出する.抽出されたニッケルは0.5M塩酸で逆抽出し, 1-(2-チアゾリルアゾ)-2-ナフトールによる吸光光度法で定量する.本法の定量下限は0.02ppmである.
    また,1-(2-チアゾリルアゾ)-2-ナフトールのユッケルキレートの生成定数を60%ジオキサン溶液中で測定し,logK1K2=20.69を得た.
  • セメント中の微量元素の定量(第1報)
    石井 一, 林田 弘, 永長 久彦
    1964 年 13 巻 7 号 p. 614-619
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    セメント中の微量クロムの定量方法として,ポーラログラフによる方法を種々検討し,これを確立した.すなわち,試料を炭酸ナトリウム-硝酸ナトリウムとともに融解したのち,水で抽出することによりクロムをクロム酸イオンとして,アルカリ土類金属をはじめ他の重金属などの妨害元素から分離し,同時に溶液中の融解剤を硫酸により硫酸ナトリウムとしたのち,1N水酸化ナトリウムを支持電解質としてポーラログラムを記録し,クロム標準溶液についてあらかじめ作成した検量線より,クロム含有量を算出する.
    本法によりセメント中の微量クロムの定量を行なったところ,精度,再現性ともに良好であり,満足すべき結果が得られた.
  • 島崎 岳周, 黒津 共二, 岩本 享一
    1964 年 13 巻 7 号 p. 619-623
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルをアルカリケン化によって直接定量する方法を確立した.試料のアセトン溶液に水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加え,3分間リフラックスさせてアルコーリシスを行なう.次に50%メタノール水溶液で共重合体を析出させてから,30分間リフラックスさせてアルコーリシスで生成した酢酸メチルを完全にケン化する.最終生成物である酢酸ナトリウムは,塩酸で電位差滴定を行なって定量する.このようにケン化反応を二段に分け,かつ第二段では共重合体を析出状態に保つことによって,脱塩酸反応をおさえて酢酸ビニルを定量的にケン化することができた.また,酢酸ナトリウムの当量点はメタノールの存在により明りょうになった.本法はビニルアルコールやカルボキシル基を含有する共重合体にも適用することができる.
  • 田中 善正, 田中 由紀子
    1964 年 13 巻 7 号 p. 623-627
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    陽イオン分析表の簡易化を目的として,新しい系統的分析法を考案した.すなわち,陽イオンを少数の分類試薬によって5個のグループに分類し,各グループ内のイオンはさらに細分することなしに,すべて試験紙を用いた各個反応によって検出した.試験紙は安定で長期間保存しても鋭敏度の低下しないものを用い,また試験紙が特異的に働く条件を工夫して検出反応に用いた.また検出反応の鋭敏度および試験紙の保存性を調べた.本分析法によれば,従来の系統分析表に比べて分析が非常に簡易化され,分析所要時間も短く,反応の鋭敏度も向上し,実用分析に用いてすぐれていることがわかった.
  • 高橋 武雄, 桜井 裕, 坂本 巧
    1964 年 13 巻 7 号 p. 627-635
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    水中およびガス中酸素を水溶液中で亜鉛アマルガムで還元し,そのさい溶出する亜鉛イオンをポーラログラフにて連続測定記録して間接的に定量した.操作法は試料および支持塩溶液を一定速度で粒状亜鉛アマルガム還元器に送り,還元器から出てくる液をポーラログラフ用セルに通し,滴下水銀電極と水銀池電極間に一定電圧を加えて両極間に流れる電流を連続記録させた.酸素1分子は2個の亜鉛イオンを溶出するが,溶液のpH,流量速度,亜鉛アマルガムカラムの長さなどが溶出亜鉛量に影響を及ぼした.7.0~0.1ml/lの水中溶存酸素では酸素量と電流とは直線的比例関係を満足し,またガス中酸素は試料の送り速度により測定限界が異なるが,20~1%の容量含有率の酸素を連続測定することができた.
  • 堤 健一
    1964 年 13 巻 7 号 p. 635-645
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    組成変動の大きな多成分系希土混合酸化物の希釈パラメーター法によるケイ光X線分析を取り扱つた.定量式は直接標準比較の項と希釈パラメーター補正の項を相乗積の形で含んでいる.主として, 重希土類の炭酸ストロンチウムを希釈剤とする分析法を検討したが,5~90%の濃度範囲における定量値の全平均としての変動係数および分析誤差は,それぞれ3%および数%の程度で,希釈パラメーター法は改良によつて有用な希土分析法になりうるものと期待できる.
  • 堤 健一
    1964 年 13 巻 7 号 p. 645-654
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    混合希土酸化物およびゼノタイム鉱中の0.n%以上の酸化イットリウムのケイ光X線分析を,内部標準法と希釈パラメーター法の観点から検討した,前者の場合の標準物質としては炭酸ストロンチウムを,後者の場合の希釈剤としては,酸化物系では炭酸ストロンチウム,鉱石系では酸化鉄をそれぞれ区別して使用した.定量値の変動係数と分析誤差はともにせいぜい数%で,分析所要時間はいずれも通常は20分に満たこず,また,イットリウムの単独分析に対して内部標準法は非常にすぐれているが,多成分分析が関連する場合にはむしろ希釈パラメーター法が有利である.
  • 山本 明
    1964 年 13 巻 7 号 p. 655-660
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ガラスの転移温度領域における種々の物性を追及するための手段として示差熱分析法を用いた.このためには,まず安定で感度のよい測定の可能な示差熱分析装置および測定条件を求め,ガラス試料について検討した.対称形試料孔の試料ブロックおよび薄肉の白金合金セルを用いて,200メッシュ程度の粉末試料により10℃/minで,ガラスの転移温度域での種々な変化を捕えることができた.
    実用ガラスの分析を行ない,二,三のガラスについて他の物性測定と比較し,示差熱記録の吸発熱の示す意味を解析した.
  • 高真空分光器による分光分析(第1報)
    後藤 秀弘, 池田 重良, 広川 吉之助, 瀬野 英夫, 栢 明
    1964 年 13 巻 7 号 p. 661-669
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    高真空分光器を用いて2000Å以下における炭素,ヒ素およびスズの発光スペクトル線について分析線としての適応性を検討した.
    炭素のスペクトル線としては1930.9Åのスペクトル線のほか1657.0Åのスペクトル線は真空度を1×10-4mm Hg以上に保つことによって感度,精度ともにすぐれ分析線として適している.この場合鉄鋼中の炭素の分析には励起発光法として低圧コンデンサー放電のspark likeの励法が最適である.
    ヒ素のスペクトル線としては1972.6Å,1806.2Åが分析線として考えられ,このなかで 1972.6Åが最も適しており,スズのスペクトル線としては1811.3Åのスペクトル線のみが分析線として適している.鉄鋼中のヒ素およびスズをこれらの分析線を用いて定量する場合の最適励起法としては低圧コンデンサー放電arc likeな発光方法がよい結果を与えた.
  • 小田 仲彬, 井戸原 満, 橋本 利雄
    1964 年 13 巻 7 号 p. 669-674
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    有機物中の微量不純金属元素の定量分光分析法につき検討を行なった.その結果,有機物試料を磁製るつぼ中で濃縮したのち硫酸ナトリウムと硫酸を加えて加熱乾固し,さらに強熱したのち希硝酸に溶解し,溶液-直流アーク法により分析する方法を確立した.本法は,同一標準試料と同一分析条件で各種の有機物の分析を行なうことが可能であり,その操作も簡便であることから工業的な迅速法として適当である.本法によれば,試料100gを採取した場合に,Ca 0.01 ppm,鉄,鉛,スズ,銅 0.005 ppm,マグネシウム,マンガン0.003ppmまでを同時定量することが可能であり,その分析精度は変動係数で20%以下である.
  • 武者 宗一郎, 石井 猛
    1964 年 13 巻 7 号 p. 674-678
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    最近,諸外国において四チエル鉛にかわるアンチ・ノック剤として有機マンガン化合物が使用されるようになった.従来この定量法は,試料ガソリンを濃塩酸とともにASTMの抽出装置に入れ,紫外線を照射して有機マンガン化合物を分解し,抽出液を蒸発乾固したのち定量していた.そのために所要時間が長く,完全に有機マンガン化合物を分解できない欠点があった.
    著者らは,臭素30%四塩化炭素溶液を分解剤として,有機マンガン化合物を分解し,交流ポーラログラフ法により,ガソリン中のマンガンを平均値411.3ppm,変動係数1.52%の再現性のよい結果で分析できた.本法の分析所要時間は1試料1回40分で,従来の定量法と比較して約20分短縮できる利点がある.
  • 写真材料の分析法に関する研究(第3報)
    国峯 登, 宇賀 神久和, 矢部 孝太郎, 浅田 栄一
    1964 年 13 巻 7 号 p. 679-684
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ケイ光X線分析装置を使用し,写真用乳剤および感光材料中のハロゲン化銀の分析法について検討した.
    ヨウ臭化銀写真乳剤のヨウ化銀mol%を実用範囲である0.5~10mol%にかえた試料をつくり,乳剤とフィルム中のヨウ素,臭素および銀の検量線を求めた.ヨウ臭化銀乳剤中の臭素および銀の検量線は,ヨウ化銀のmol%に関係なく1本の検量線となるので,これにより乳剤中の臭素および銀の定量ができる.また,ヨウ臭化銀フィルム中のヨウ素,臭素および銀の検量線は,ヨウ化銀のmol% に関係なく,すべて1本の検量線となり,各元素の定量ができた.X線照射による感光材料中のハロゲンの損失は,分析所要時間内では無視することができる.分析所要時間ならびに分析所要面積を,従来の化学分析法に比べて,大幅に縮小させることができた.
  • 田村 善蔵, 宮崎 元一, 矢ケ崎 淳
    1964 年 13 巻 7 号 p. 685-687
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 田中 孝, 日色 和夫, 古野 明義
    1964 年 13 巻 7 号 p. 687-690
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 池田 早苗, 西田 義郎, 吉田 武
    1964 年 13 巻 7 号 p. 690-691
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    シアン化物および塩化物の中性溶液に硝酸銀溶液を加えると,それぞれジシアノ銀酸銀および塩化銀の白色沈殿を生ずる.これらの銀塩の水に対する溶解度は,ジシアノ銀酸銀4.0×10-5g/100gH2O(20℃),塩化銀1.54×10-4g/100gH2O(20℃)でその差はあまり大きくない.しかし,シアン化物と塩化物の混合溶液を硝酸銀溶液で滴定する場合,ゼラチンを添加しなければジシアノ銀酸銀の沈殿生成終了後,塩化銀の解離に基づく拡散電流が流れるが,ゼラチンを添加すればその保護コロイド作用のために塩化銀の解離が抑制され,塩化銀の沈殿が終了するまで拡散電流はほとんど流れない.この点に着目してシアン化物と塩化物の混合溶液について,ゼラチンを添加せずに硝酸銀標準溶液で滴定してシアン化物を定量し,ついでゼラチンを添加して同様滴定した結果からシアン化物と塩化物の合計量を求め,両者の差から塩化物を定量することができる.
  • 森本 市郎, 篠田 紘子, 矢橋 好文
    1964 年 13 巻 7 号 p. 692
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    著者らはさきにピリジンカルボン酸によるバナジウム吸光光度定量について報告し,そのなかで2,4,6-ピリジントリカルボン酸および2,6-ピリジンジカルボン酸が過酸化水素の存在でクロム(VI)イオンと赤紫色の呈色を示すことを指摘した.この呈色をクロムの吸光光度定量に利用する目的で若干の実験を試みたので,その結果を予報する.
  • 解析的取り扱いについて
    藤原 鎮男
    1964 年 13 巻 7 号 p. 693-701
    発行日: 1964/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    本稿では少しNMRの基本事項の解析的取り扱いを述べる.
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