分析化学
Print ISSN : 0525-1931
14 巻, 3 号
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  • 浦田 常治, 藤沼 弘, 岩森 優範
    1965 年 14 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    パラジメチルアミノベンジリデンローダニン試験紙を用い,外部指示薬のように操作して,銀滴定により新金属中の微量塩素を簡易かつ迅速に定量する方法を研究した.試料溶解の際に用いるフッ化水素酸が共存すると結果に著しい妨害が認められた.しかし,ホウ酸を加えてホウフッ化水素酸に転化することにより妨害は除去された.ホウ酸の過剰は全く影響がなかった.
    タンタル,ジルコニウム,チタンおよびイエローケーキ中の微量塩素を本法により定量し,重量法による分析値と比較して満足な結果を得た.
    滴定所要時間は約15分であった.
  • 野村 毅, 道野 鶴松, 中川 元吉
    1965 年 14 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    鉄(III)/鉄(II)系を指示イオンとし,白金-甘こう電極を用いて種々の金属イオンをEDTAによって電位差滴定した結果,ビスマス,インジウム,トリウムなどは鉄(III)を1~5×10-5M程度加えてpH<2で滴定すると逆S字形の良好な滴定曲線が得られた.本法は水銀電極,双金属電極を用いる方法などに比べてハロゲンの影響がなく,操作も簡単で明りょうな電位変化が得られるので実用的である.またpH5~6において鉄(III)/鉄(II)系を指示イオンとして用いれば銅,カドミウム,鉛,亜鉛などをキレート滴定することができる.
  • 武者 宗一郎, 越智 紘
    1965 年 14 巻 3 号 p. 202-207
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    滴下法によって展開溶媒を供給して展開を行なう円形薄層クロマトグラフィー用の展開装置を考案・試作し,その適用例としてアミノ酸類の分離および同定のための諸条件を検討した.吸着層には厚さ0.2mmのシリカゲルおよびアルミナの円形クロマトプレートを用い,展開溶媒は前者にはフェノール-水(75:25,w/w),後者にはn-ブタノール-氷酢酸-水(40:10:50,v/v)を使用した.
    試料溶液は円形クロマトプレートの中心かあるいは半径10mmの円周上の数点に点じ,その中心へ展開溶媒を供給して展開後ニンヒドリンで発色すれば,各アミノ酸は同心円状もしくは弧状の細い分別帯を与える.
    本手法を数種の天然物質中に含有されるアミノ酸類の定性分析に応用し,展開距離約90mmでほぼ満足に応用可能なことを知った.
    展開所要時間は約180分であった.
  • 農薬の薄層クロマトグラフィー(第1報)
    柏 司, 恩田 恭子, 伊東 富士雄
    1965 年 14 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    製剤中のケルセンを乾式薄層クロマトグラフィーにより塩酸処理アルミナプレート上で分離し,全塩素法により塩素量を測定し,ケルセンを定量した.
    乾式薄層クロマトグラフィーを農薬の製剤分析に用いれば,展開時間が短い(7分),試料をセミミクロ的につけられる(試料溶液1ml,ケルセン50mg),アルミナプレートは特殊な器具を用いず簡単に作成できる,使用ずみのアルミナは容易に回収され,くり返し使用できるので費用が安くてすむなどの利点がある.
    乳剤における回収率およびレンジはそれぞれ100.2%と0.3%であった.なお,市販の乳剤について本法を用いて分析した結果,乳剤中のケルセンは経時変化を受けにくいものであることがわかった.
  • 水中の超微量成分の定量(第2報)
    園 欣弥, 渡辺 寛人, 光上 義道, 中島 辰夫
    1965 年 14 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    1,10-フェナントロリンと鉄(II)の錯体であるフェロインの有機溶媒に対する抽出性を検討し,1,10-フェナントロリンを用いて抽出比色により10ppb前後の微量鉄の定量を行なった.
    陰イオン界面活性剤であるナトリウムジオクチルスルホサクシネートはフェロインと結合して電荷を持たない化学種となり,これはクロロホルムに抽出することができる.その結合比は重量分析によりFe(C12H8N2)3・(C20H37O4SO3)2であることを確かめた.
    2×10-7モルの鉄(II)を含む試水200mlに,1,10-フェナントロリンを加えてフェロインを生成させる.これにナトリウムジオクチルスルホサクシネートの量を変えて加えクロロホルムに対する抽出性を調べたところ,モル数でフェロインの50~150倍のナトリウムジオクチルスルホサクシネートを加えると完全に抽出できることを知った.フェロインの抽出性は本質的には抽出時のpHの影響を受けないが,ナトリウムジオクチルスルホサクシネートの界面活性能力がpHにより変化するため,短時間内に水-クロロホルム相を分離しようとする際には抽出時のpHの影響が大きい.pH2で水-クロロホルムの分離速度が最大となる.1,10-フェナントロリンと鉄(II)はpH2~9で定量的に反応するので,フェロインの抽出を鉄(II)の定量に利用する場合には,pH2.4付近で抽出するとよい,以上のことから微量鉄を定量する場合の分析操作は次のとおりである.
    試水200mlに7N塩酸4mlを加え80℃以上の水浴上で30分間加熱する.室温まで冷却後10%塩酸ヒドロキシルアミン溶液4mlと0.12% 1,10-フェナントロリン溶液10mlを加える.アンモニア水でpHを5.8に中和後,酢酸ナトリウムと塩酸よりなる緩衝溶液10mlを加え試水のpHを2.4に調整する.試水を分液ロトに移し,1%ナトリウムジオクチルスルホサクシネート溶液3mlとクロロホルム10mlを加えて2分間振とうし抽出する.さらにクロロホルム7mlを用いて2回同様に抽出する.分離したクロロホルムを25mlのメスフラスコに移し,3mlのエタノールを加えて純クロロホルムで刻線までうすめる.純クロロホルムを対照液として波長515mμ,50mmの吸収セルを用いて吸光度を測定する.吸光度をY,鉄濃度をX(ppb)としたときの回帰直線はX=164.112Y+0.219であり,鉄濃度3ppbにおける90%信頼限界値は3士0.67ppbであった.銅(II)が多量共存すると妨害するが鉄濃度が10ppbの場合,銅(II)が500ppb以下であれば妨害しない.
  • 上野 精一
    1965 年 14 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    市販の特級塩酸は1.6mg/l程度の臭化水素を含み微量臭素の分析試薬としては好ましくない.
    市販の塩酸に約同量の水を加えほぼ定沸点塩酸としたのち,全ガラス製蒸留器を用いてその約70%を蒸留したところ,留出塩酸の臭素イオン濃度は初めの塩酸の臭素イオン濃度の100分の1以下であり,臭素量はその約99%が残液にとどまることがわかった.
    また,特級塩酸50mlを蒸発ざらでゆるやかに蒸発して残液量が3ml程度まで蒸発すると臭素イオン量の95%は残液中に残っているから,塩酸中の微量の臭化水素酸はこれを蒸発することにより濃縮し,容量法により容易に定量することができる.
  • アルカリカラムによる有機酸性成分の除去
    佐藤 俊夫, 神力 就子, 三上 康子
    1965 年 14 巻 3 号 p. 223-228
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    複雑な試料中の酸性成分の分布を迅速に知る方法として,アルカリカラムにより混合物中の酸性成分を選択的に除去する方法を確立した.
    すなわち,石英粉末に115%カセイカリを担持させたカラムを分離カラムの後に接続し,分離条件と同一の温度,流速下でガスクロマトグラフィーを行なえば,カルボン酸類,フェノール類は混合物から分離されたのち完全に除去される.しかし中性成分はその保持時間,ピークの形,高さになんら影響を受けない.したがって,アルカリカラムを接続した時得られるクロマトグラムを,接続しない時に得られるクロマトグラムと比較することにより,混合物中の各成分ピークの迅速な類別ができる.
    また活性な水素を有するインデン,ピロール類やケトステロイドも除去されることがわかったので,活性な水素を有する化合物と安定な中性化合物との類別に本法を適用できる.
  • 小友 允
    1965 年 14 巻 3 号 p. 229-235
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    キシレノールオレンジ(XO)およびメチルチモルブルー(MTB)を発色剤とする微量のトリウム(IV)の吸光光度定量法を確立し,あわせて,生成する錯体の組成および生成定数を求めた.これらの錯体の吸収曲線,吸光度とpHとの関係,試薬添加量の影響および呈色の安定性などの基礎的な条件を検討して最適定量条件を定めた.この結果,1:2(トリウム:試薬)錯体の生成を利用すれば,XOおよびMTBによってそれぞれ0.2~2.8ppm(pH4.1)および0.4~4.0ppm(pH4.3)の範囲でベールの法則に従う検量線が得られることがわかった.検量線から求めたモル吸光係数はそれぞれ,77,000(568mμ)および39,400(568mμ)であり,また感度はそれぞれ0.003および0.006μg/cm2であって,これらの試薬はトリウムに対してきわめて感度の高い発色剤である.
    次に,連続変化法によって,生成する錯体の組成を求めた結果,溶液の酸性度によって,トリウムはこれらの試薬と1:1および1:2(トリウム:試薬)の2種の錯体を生成することがわかった.さらに上の結果から1:2錯体の生成定数を計算した.
  • 村上 敏治, 上杉 勝弥
    1965 年 14 巻 3 号 p. 235-240
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アリザリンコンプレクソンによるフッ素の吸光光度定量について検討し,海水中のフッ素の定量に適用する条件について検討した.pH4.7でアリザリンコンプレクソンおよびランタンの2×10-3M溶液を同量用いて10倍に希釈し,610mμにおける吸収を測定して0.1~1ppmのフッ素を定量できる.塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウムなど多くの物質が妨害するが,アセトンを20%添加すればこれらの妨害はほとんど除かれ,かつ,感度が約45%よくなる(分子吸光係数:12,800).
    海水およびかん水中のフッ素を定量し,海水には1.1~1.2mg/l(chlorinity 17~18‰),かん水には7°Béで2.3mg/l,13°~15°Béのかん水で5.1~5.9mg/lの値を得た.
  • 有機分析(第59報)
    百瀬 勉, 矢野 良子, 板倉 宜子
    1965 年 14 巻 3 号 p. 240-243
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    タングステン酸ナトリウムと硫酸アルミニウムカリウムの組み合わせは牛乳,粉乳および練乳の希薄溶液から室温でたん白を沈殿させる.第一法は両者を溶液として用いる場合,第二法は両者から製造した粉末除たん白剤を用いる場合で,ともにたん白を沈殿させて遠心分離し,上澄液をとって3,6-ジニトロフタル酸による比色法によって乳糖を定量する.練乳中のショ糖は0.1N塩酸で加水分解し,0.1N水酸化ナトリウムで中和したのち同試薬で発色させて定量する.この方法は多数の試料を迅速に定量でき,塩基性炭酸亜鉛を除たん白剤とする前法との相対誤差は±2.5%以内であった.
  • 後藤 秀弘, 柿田 八千代, 真壁 完一
    1965 年 14 巻 3 号 p. 244-248
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    鉄鋼およびフェロアロイ試料を燃焼ボートに採り,1450℃の温度で酸素ガスを通じながら燃焼させてイオウを亜硫酸ガスとし,0.2M Na2HgCl4溶液に吸収させたのち,ホルマリンおよびパラローザニリンを加えて発色させ,20分間放置後,550mμの波長における吸光度を測定してイオウを定量した.また,助燃剤として五酸化バナジウムの使用を試み,酸化物の飛散をほぼ完全に防止し,満足できる結果が得られた.
    本法の分子吸光係数は44,000で,0~35μg/100mlの範囲で直線関係が得られた.再現性については,イオウ含有量0.015%の炭素鋼の場合は5.4%,イオウ含有量0,010%のフェロタングステンの時は7.0%の相対標準偏差であった.
    これらの結果より,0.004~0.070%程度のイオウを精度よく,迅速に定量できた.
  • アルセナゾIIIによる鉄鋼分析法の研究(第3報)
    神森 大彦, 田口 勇, 小宮 良平
    1965 年 14 巻 3 号 p. 249-252
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アルセナゾIIIによる鉄鋼分析法の研究の一つとして,鉄鋼中のハフニウムの光度定量法を検討した.著者らがすでに報告したジルコニウムの光度定量法と同様に,既報の塩酸法に代わって硝酸溶液中で光度定量を行なうことにより,ハフニウムを高感度(分子吸光係数:1.4×105)で定量しうる方法を確立した.また硝酸法では既報の塩酸法に比較して,吸光度の酸濃度依存性が少ない.本法によれば鉄共存のまま0.01~0.5%のハフニウムを絶対誤差0.005%以内で約30分間で定量できる.一般の鉄鋼にはいると考えられる元素中,ジルコニウム以外は妨害しない.
  • 間宮 真佐人
    1965 年 14 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    近赤外吸収スペクトル法によりアンモニウムイオンを分析,定量するため,各種のアンモニウム塩を重水または非プロトン性極性溶媒に溶解し,近赤外部に生じるNH4+の分子振動に起因する吸収帯を測定,検討した.
    重水溶媒は塩の溶解度が大きくN-Hの倍および結合振動による吸収を高濃度で測定することができるが,D〓Hの交換により水が生じ吸収スペクトルに現われること,および重水の倍振動吸収が1.98μに生じ,そのため1.85μより長波域は正確なスペクトルが得られないなどの欠点がある.ジメチルスルポキサイドなどの非プロトン性極性溶媒は無機塩の溶解度に限りはあるが,アンモニウムイオンの倍および結合振動による吸収帯を測定することができる.ν1およびν3の第1倍振動吸収は溶媒のC-H倍音吸収と重なる1.7μ近辺に生じ,正確な値は得られない.しかし結合振動による吸収,ν2とν3は2.050~2.055μに生じ,ν3とν4およびν1とν4は同一吸収帯として2.185~2.200μに観測され,その分子吸光係数は前者は約1.4,後者は溶媒により異なるが2.5~3.5の値が得られ,アンモニウムイオンの分析に使用できることを明らかにした.
  • 高田 芳矩, 武藤 義一
    1965 年 14 巻 3 号 p. 259-264
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    パラジウムの定電位クーロメトリーによる定量に関する基礎的検討を行ない,良好な定量結果を得た.
    パラジウムの金電極への析出電位は,1M塩酸中で+0.20V{vs.S.C.E.,Pd(II)1mg/10ml},0.2Mリン酸水素ニナトリウム-0,7Mリン酸中で十0.35V,そして0.1にM塩化アンモニウム-1Mアンモニア水中で-0.64Vであった.パラジウムの水素を収着する性質がクーロメトリーを行なう場合に最も大きな誤差の原因となっているが,水銀電極を用いて1mgのパラジウムを1%以内の誤差で定量できた.なお,定電位クーロメトリーによってパラジウムの水素収着量を測定したが,-0.34Vではパラジウム金属の体積の約960倍(H/Pd≒0.81)の水素を収着することがわかった.
  • 浅野 雅文
    1965 年 14 巻 3 号 p. 265-267
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 松浦 二郎, 唐川 安弘, 村上 徹朗
    1965 年 14 巻 3 号 p. 267-269
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 武者 宗一郎, 池田 早苗
    1965 年 14 巻 3 号 p. 270
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 核燃料
    本島 健次
    1965 年 14 巻 3 号 p. 271-275
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • アルミニウム
    服部 只雄
    1965 年 14 巻 3 号 p. 276-281
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 猿橋 勝子
    1965 年 14 巻 3 号 p. 286
    発行日: 1965/03/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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