分析化学
Print ISSN : 0525-1931
14 巻, 9 号
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  • 農薬の薄層クロマトグラフィー(第2報)
    柏 司, 伊東 冨士雄
    1965 年 14 巻 9 号 p. 779-784
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    O,O-ジメチルO-[3-メチル-4-(メチルチオ)フェニル]ホスホロチオエート(以下MPPと略記)剤中のMPPを乾式薄層クロマトグラフィーを用いて分離し,紫外線吸収法を用いて定量した.なお,粉剤からの抽出には別に迅速法を定めた.本法を製剤に適用し,次の回収率とσとを得た.乳剤99.4%,0.30%;粉剤99.9%,0.98%;粉剤(迅速法)98.5%,1.39%.
    なお,本法の特長はその迅速性と簡便性とにある.
  • 矢口 裕彦, 梶原 武
    1965 年 14 巻 9 号 p. 785-788
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    従来のモリブデンのキレート滴定法は,モリブデンを硫酸ヒドラジンで還元し,過剰のEDTAと反応させて硫酸銅溶液で逆滴定するものである.この場合,モリブデンとEDTAの結合比は2:1である.しかし,硫酸ヒドラジンの代わりに塩酸ヒドロキシルアミンで還元し,EDTAと反応させると生成するキレートは1:1の結合比であった.
    このキレートについて種々検討した結果,新しいモリブデンの滴定法を確立した.2:1の組成のキレートは強い黄色を呈するが,1:1の組成のキレートの呈色は非常に薄いので,従来法に比較して本法は精度よく滴定できる.
  • 河村 昌男, 松本 謙一
    1965 年 14 巻 9 号 p. 789-795
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    空気中の微量セレン化水素定量法を検討した.吸収液として18%遊離臭素を含む40%臭化水素酸を用い,労働環境許容濃度付近について吸収諸条件の検討を行なった結果,流速2l/minで吸収液20mlを入れたガラスフィルター付小形吸収ビン1本を用いれば,約98%以上捕集できた.吸収液中の残留遊離臭素は,加熱によらず,塩酸ヒドロキシルアミン溶液を加えて正しく脱色して除去し,また,3,3'-ジアミノベンジジン(以下DABと略記)を用いてセレンを比色定量するときの臭化物濃度による影響を検討し,定量法を確立した.本法によれば,50lの空気を採取することにより,労働環境の許容濃度をこえたかどうかを正しく知ることができる.
  • 武者 宗一郎, 池田 早苗
    1965 年 14 巻 9 号 p. 795-803
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    シアン化物,塩化物およびシアン酸塩の混合溶液に回転白金電極-S.C.E.からなる短絡電流滴定法を適用して,硝酸銀標準液と反応して生成する沈殿の溶解度差に基づき,各イオンを段階的に逐次定量する方法を開発した.
    1~10×10-4グラム式量のシアン化物,2~10×10-4グラム式量の塩化物,および5~20×10-4グラム式量のシアン酸塩を含み,0.1F硝酸カリウム溶液を支持電解質とする試料溶液100mlを,まず約10℃で滴定してシアン化物の終点を求め,続いて0.02~0.03%になるようゼラチンを添加したのち滴定して塩化物の終点を求める.最後にメタノールを40~50ml添加して5℃以下に冷却しながら滴定してシアン酸塩の終点を求める.
    試料に炭酸塩が含まれる場合には,滴定に先だち過剰の硝酸バリウムを添加して炭酸バリウムとして沈殿させておく.各成分の濃度と混合比によって誤差は異なるが,濃度0.01Fの等式量程度の混合比の場合には約2%の精度で定量可能であった.シアン化物と塩化物の少量が多量のシアン酸塩と共存する場合もこれらを比較的精度よく定量できた.しかし少量の塩化物およびシアン酸塩が多量のシアン化物中に含まれる場合には,これらを精度よく定量することは困難であった.このような場合には,標準添加法を採用することによって,精度が改善されることを明らかにした.混合溶液の定量に要する時間は1回につき約90分であった.
  • 武者 宗一郎, 西村 隆夫
    1965 年 14 巻 9 号 p. 803-809
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    四酢酸鉛を用いて水を2倍モル量の酢酸に変換し,この酢酸をガスクロマトグラフ分析法で測定することによって水を間接的に定量する方法を開発した.反応カラムは四酢酸鉛を20~40cmのステンレスパイプに3~6g充てんしたものである.キャリヤーガスとして水素およびヘリウムを用い,種々検討の結果,反応カラム温度70~80℃,キャリヤーガス流量20~30ml/min以下で,0.2μl以下の水を定量的に酢酸に変化させることができた.四酢酸鉛および副生する二酸化鉛が上記の操作条件下で,炭化水素,アルコール,エーテル,ケトンなどと反応しないので,これらの有機溶媒および有機ガス中の水の定量にこの方法が応用できることを明らかにした.追加法によって有機溶媒中の水分定量に応用した結果,有機溶媒との分離がよく,下限50μgまで相対標準偏差5%以下で定量可能であった.
  • 田中 由紀子, 平塚 茂, 田中 善正
    1965 年 14 巻 9 号 p. 810-815
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    陰イオン分析表の簡易化を目的として,新しい系統的分析法を考案した.すなわち,24種の陰イオンを少数の分類試薬によって5個のグループに分け,各グループ内のイオンは原則としてさらに細分せず,すべて試験紙を用いた特異的な各個反応によって検出した.試験紙は鋭敏かつ安定なものを選択し,これらが特異的に働く条件を求めた.また,各検出反応の鋭敏度および試験紙の安定度を調べた。本分析法によれば数種の陰イオン混合溶液を容易に分析することができ,従来の分析法に比較して分析が非常に簡易化され,分析所要時間が短縮され,反応の鋭敏度も向上し,的中率も良好であった.
  • 舟阪 渡, 小島 次雄, 豊田 隆
    1965 年 14 巻 9 号 p. 815-819
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ナフタリンをモノスルホン化する際に生成するナフタリン-α-スルホン酸とβ-スルホン酸のガスクロマトグラフィーによる分析法について検討した.ナフタリンスルホン酸塩を陽イオン交換樹脂によって遊離のスルホン酸に変え,ジアゾメタンを反応させてメチルエステルとしてカラムに注入した.シリコンゴムSE-30を4%クロモソルブWに含浸させた充てん剤を1.5mのカラムに充てんし,160℃で操作すればα-,β-異性体の分離はほぼ完全であった.注入口温度240℃以下ではメチルエステルは安定であり,再現性のある良好な定量結果が得られた。
    ナフタリンスルホン酸の異性体を相互に分離定量することは,従来の方法ではかなりむずかしい問題であった.しかし,ナフタリンスルホン酸をメチルエステルとし,SE-30を4%クロモソルブWに含浸させた充てん剤を1.5mのカラムに充てんし,160℃でガスクロマトグラフィーを行なえば,短時間に,しかも容易に分離定量できることが明らかになった.
    異性体の分離能がよいこと,分析時間が短いこと,操作が容易であることなど。今日までの種々問題のある定量法に比し,すぐれた点が多いと考えられる.
  • 舟阪 渡, 小島 次雄, 藤村 一美
    1965 年 14 巻 9 号 p. 820-825
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    酸性の濃厚な無機塩水溶液中において,非解離状態の有機酸が弱酸性陽イオン交換樹脂に分子吸着される現象を利用して,アミノ安息香酸の異性体を塩析クロマトグラフィーにより分離し,紫外吸光光度法により定量する方法について検討した.
    塩析展開液には塩化ナトリウム水溶液を使用し,塩化ナトリウムの濃度およびpHが吸着性に及ぼす影響について検討した結果,濃度が高いほど,またpH値が小さくなるほど吸着性は増大し,11mmφ×225mmのカラムを用いてpH2.1の5M'塩化ナトリウムで展開すれば,オルトおよびメタ異性体の混合物,メタおよびパラ異性体の混合物が定量的に分離できることが明らかになった.
    この場合の吸着にはFreundlichの吸着等温式が適用でき,また,メタ異性体について調べた最高吸着量はpH3.3の5M塩化ナトリウム中で34.6mg/gであった.
  • 赤座 郁子, 小坂 紀代, 今村 統助
    1965 年 14 巻 9 号 p. 825-831
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    2-thenoyl trifluoroacetone(TTA)は金属イオンの液-液抽出に広く用いられる試薬であるが,抽出系の平衡を調べる場合などに両相に分配するこの試薬の量を求めることがしばしば必要となる.しかるに現在までにその定量法は報告されていない.またTTA自身は有機溶媒中で340mμ付近に最大吸収を持つが,溶媒や共存物質の影響により直接の吸光光度測定は困難である.本報ではpH3~4において過剰の塩化鉄(III)溶液と振り混ぜ,生成する鉄(III)-TTAキレートを水相中かあるいはメチルイソブチルケトン(MIBK)に抽出して,530mμで吸光光度測定を行なう方法を示した.これは有機溶媒中および水溶液中にあるTTAのいずれにも適用できる.TTAとキレートをつくり抽出可能な金属イオンが抽出系に存在するときは,分離した各相をpH8.7にてEDTA水溶液と振り混ぜ,金属イオンをマスクしてのち,水相の場合はこれにCMIBKを加えて振り混ぜ,TTAのみをMIBK相に移し,有機相の場合はEDTA溶液を取り除いたものについて,pH3.5の塩化鉄(III)溶液と振り混ぜ,鉄(III)-TTAキレートをいずれも有機溶媒中に生成させる方法を採り,吸光度を測定した.10-3mmol/10ml程度のTTAについてよく適用できる.
  • ポーラログラフ法による分析化学的研究(第48報)
    藤永 太一郎, 岡崎 敏
    1965 年 14 巻 9 号 p. 832-836
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    表面活性物質に基づく水および大気汚染の測定法としてポーラログラフ法を検討した.
    0.005M塩化カリウム溶液中での酸素極大波が表面活性物質の存在により抑制され,表面活性物質の濃度とその極大抑制能との間にSemeranoの関係式がなりたつことを利用して表面活性物質の定量を行なった.水試料については試料水に塩化カリウムを添加することにより直接定量を行ない,ガス試料についてはこれをドライアイス-メタノール浴で冷却したトラップ中のメタノールに捕集し,このメタノール溶液に塩化カリウムを加え,蒸留水で希釈してポーラログラムを記録した.
    本法により京都および大阪両市の上水および排気ガス中の表面活性物質の定量を行なった.
  • 松本 年治
    1965 年 14 巻 9 号 p. 837-838
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 有害ガスのよる公害の衛生化学的研究(VIII)
    福井 昭三
    1965 年 14 巻 9 号 p. 838-842
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 中山 清寿
    1965 年 14 巻 9 号 p. 842-843
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 大久保 悌二, 小島 益生
    1965 年 14 巻 9 号 p. 843-846
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 滝谷 昭司, 松田 勝彦
    1965 年 14 巻 9 号 p. 846-849
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 神原 富民, 大関 邦夫
    1965 年 14 巻 9 号 p. 850
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 関根 達也, 長谷川 佑子
    1965 年 14 巻 9 号 p. 851-859
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 玉奥 克己, 鶴見 好雄, 谷本 淑郎, 土肥 忠博, 伊藤 喜代文
    1965 年 14 巻 9 号 p. 860-868
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    われわれが頼みとしている試薬について,その製造工程の概要を知っておきたいという要望が高まってきている.分析化学の進歩が機器分析を中心としている現在でも,それだけにより高純度の試薬,標準物質,さらに標準試料の基礎検討が緊要のことになるのは自明であろう.この意味で本誌上にも試薬の純度(規格,検定法)についての講座・解説を掲載したが,本号からはさらに製造方法の概要を紹介することにした.試薬の規格に記してある不純物以外の不純成分の予想は,その製造工程,特に原材料製造,反応容器,精製操作の知識によってなされるが,このことは,その試薬を分析操作で直接に使用する場合にも,また,これから出発して実験者が望む物質を合成する場合にも,意味があることと思われる.分析の基礎になっているこれらの試薬を実際に製造している方々のご協力を得て,本号から数項目ずつ掲載する.現在までに執筆を快諾された方々に深謝するとともに,今後とも奮ってご協力くださる方々の続出することを望んでいる.本誌が実験者-産業界-学会の中心として発展するためにも,会員読者の方方よりこの試みに対する積極的注文,建設的意見が当委員会に寄せられることもあわせて期待するしだいである.
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