この3年間における非水溶媒の研究は,中程度の誘電率の溶媒からベンゼンのような低誘電率溶媒,および混合溶媒でも水の加わったものでの酸塩基平衡,溶媒と酸塩基との相互作用による水素結合,分子内水素結合,および会合などの強さや,変化が実験によってますますはっきりと測定された.特に注目すべきことは,機器の応用分野が発展し,いままで測りえなかった溶媒中での挙動が,NMR,赤外測定などによって知ることが可能になってきた.
また,溶媒中での物質の置換基の位置や種類による酸塩基の強さの関係が盛んに測定されている.
測定方法としては,電導度,温度,電位差,指示薬法による滴定が盛んで,特に電位差滴定は近年でもあいかわらず優勢を保っている.
非水滴定に関する専門書として,理論,実験の概観および特異操作を述べたもの,いろいろな官能基と特異化合物の間接的測定法,その他,非水溶媒の性質,ルイスの酸-塩基反応や,いろいろな溶媒による平衡,酸性度関数について,また液体ハロゲン化水素やアンモニアなどの酸性および塩基性溶媒の作用を述べたものがある.
いろいろな機器による非水滴定の理論,操作,応用についての書物もあり,非水溶媒中での新しい酸化還元滴定剤の専門書もある.
また非水溶媒滴定に関する一般総説もあり,いろいろな溶媒中での過塩素酸とアルコキシド類による滴定の総説も出されている.
この総説は1965年から1967年末の文献を集め,その発展を探った.
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