有機溶媒としてメタノール,エタノール,
n-プロパノール,
iso-プロパノール,
n-ブタノール,
iso-ブタノール,アセトン,ジオキサン,エチルエーテル,酢酸エチル,酢酸,テトラヒドロフランを選び,有機溶媒-8
M硝酸(20:1,v/v)系について弱塩基性セルロースイオン交換体,DEAEに対する47金属イオンの薄層クロマトグラフ的挙動を調べた.メタノール-硝酸系については溶媒組成比を20:1に固定して各イオンの
Rf値を硝酸濃度の関数として求めた.メタノール系では硝酸濃度を適当に調節することにより多数の分離が可能である.そのほかの溶媒系では少数のイオンだけが上方へ移動し,残りのイオンは原点付近にとどまるのでDEAE-混合溶媒系は特定イオンの選択的分離系となりうる.たとえば,
iso-プロパノールはセレン(IV)とレニウム(VII),
n-ブタノールおよび
iso-ブタノールは金とセレン(IV),アセトンおよび酢酸エチルは金とアンチモン(III),ジオキサンはアンチモン(III),エチルエーテルは金,酢酸は鉄(III)とゲルマニウム,テトラヒドロフランはバナジウム(IV)と金の選択的分離に適している.
二,三の溶媒系について各イオンの微結晶性セルロース,アビセルに対する挙動を調べ,DEAE系との比較を試みた結果,硝酸を含むメタノール系においては弱塩基性陰イオン交換体に対してイオン交換吸着機構が関与していることを明らかにした.
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