分析化学
Print ISSN : 0525-1931
20 巻, 8 号
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  • N,N-dimethylformamide中の非金属塩化物の電導度滴定
    吉村 長蔵, 田村 邦彦
    1971 年 20 巻 8 号 p. 953-957
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    非金属元素のうち,N,N-dimethylformamide(DMF)溶液中において,付加陽イオン種を形成すると考えられるリン,イオウ,ホウ素,ケイ素化合物のうち,塩化リン(III,V),塩化イオウ,四塩化ケイ素,塩化ホウ素(III)を,DMF溶液中で,EDTAおよび脂肪族,芳香族カルボン酸類を用いる電導度滴定により定量しうるかどうかを検討した.また,水分,他の有機溶媒および塩酸,硫酸,リン酸などの無機酸が共存するときの影響をあわせて検討した.DMF溶媒中カルボン酸類による電導度滴定の結果,PCl5:EDTA=4:1,2:1,S2Cl2:H2C2O4=2:1,1:1などの結合比を得,定量可能であることがわかった.また,水分は約10%以下では影響はなく,有機溶媒や,塩酸,硫酸,硝酸,リン酸などの無機酸や二酸化炭素などが1×10-2M程度共存しても定量値に影響がなかった.
  • チオフェンなどの有機イオウ化合物の電導度滴定
    吉村 長蔵, 田村 邦彦
    1971 年 20 巻 8 号 p. 957-960
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    無機イオウ化合物(硫化水素,亜硫酸ガス)を安息香酸などのカルボン酸類や,EDTA,NTAなどのアミノポリカルボン酸を用いて,非水溶媒N,N-dimethylformamide(DMF)中で電導度滴定を行なうことはすでに報告したが,同様に有機イオウ化合物{エチルメルカプタン,チオフェン,2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT),チオオキシン,ルベアン酸}を安息香酸およびEDTAによる電導度滴定により定量することを目的とし,あわせてベンゼン中のチオフェンの定量への応用を検討した.有機イオウ化合物のDMF溶液一定量をカルボン酸のDMF溶液を用いて電導度滴定を行なった結果,チオフェン:安息香酸=2:1,1:1,チオフェノール:安息香酸=2:1,1:1の結合比を得た.あわせてスルホラン溶媒中でも検討したところ同様の結果を得た.安息香酸と他の有機イオウ化合物との結合比は安息香酸:イオウ化合物は1:2,1:1;ジチゾンは1:2;ルベアン酸は1:2,1:1であった.またEDTAとの結合比は,チオフェンは1:1;チオフェノールは1:1;MBTは1:2,1:1などを得,マレイン酸についても,チオフェンは1:2,1:1;チオフェノールは1:2,1:1;MBTは1:2,1:1などの結合比を得たが,スルホラン溶媒中でのマレイン酸は,チオフェンは1:4,1:2;チオフェノールは1:4,1:2とDMF中とは異なった結合比を得た.またベンゼン中のチオフェンを定量するために,チオフェンのベンゼン溶液一定量をとり,これに10倍量のDMFを添加し,EDTAのDMF溶液を用いて電導度滴定を行なった結果,定量可能であった.
  • 故 向山 朝之, 長谷部 拓雄
    1971 年 20 巻 8 号 p. 961-966
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    市販されているジチオカルバミン酸誘導体の亜鉛塩のなかから,銅に対する新しい試薬を探索し,その性能について検討した.その結果,ジノルマルブチルジチオカルバミン酸亜鉛,エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛,ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛の3種が微量の銅を定量する目的に適することを知った.特に前二者は,酸性領域で適用でき,感度も高く,分析操作も著しく短縮できるなどの利点があり,微量銅に対する発色試薬としてすぐれていると考えられる.またジメチルジチオカルバミン酸亜鉛は弱酸性またはアルカリ性側で適用でき,従来から広く使われているジエチルジチオカルバミン酸塩と同様に使うことができることを確かめた.
  • 中谷 周, 西村 雅吉
    1971 年 20 巻 8 号 p. 967-970
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    空気中のホウ素は,非常に微量であるためかアルカリ溶液への通気では捕集は不完全である.種々試みた結果,ドライアイス飽和メチルアルコールで冷却したトラップで完全に捕集されることがわかった.毎分2~3lの速さで約1000lの空気を通し,トラップ中のホウ素をクルクミン比色法で定量する.
    この方法で大気中のホウ素がはじめて正確に定量され,その濃度は海塩補正のホウ素としてn×10-4μg B/l空気であることがわかった.この方法の精度は±0.2×10-4μg/lである.
  • 吉田 博之, 米沢 仲四郎
    1971 年 20 巻 8 号 p. 970-974
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    メスバウアー効果を用いる銅-スズ合金中のスズの化学状態の非破壊分析法について検討した.メスバウアースペクトロメーターは定速度方式により,±10mm/secの速度範囲を400チャンネルパルスハイトアナライザーのタイムモードに接続して測定した.酸化スズ(IV)を試料にしてγ線のエネルギー範囲,線源-試料-検出器間の距離,スズの濃度などのスペクトルのパラメーターへの影響を検討した.ついでオキシン抽出吸光光度法によりスズの化学状態を分析した銅-スズ合金についてメスバウアースペクトルを室温および液体窒素温度で測定した.異性体シフト,四極子分裂の値などから,スズは金属スズと酸化スズ(IV)の状態で存在していることを確認した.
  • 室井 要, 小野 光正
    1971 年 20 巻 8 号 p. 975-979
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    カール・フィッシャー(以下KFと略記)法による有機溶媒中の100ppm以下の微量水分の定量では,滴定終点が不明りょうになり不正確になりやすい傾向がある.
    あらかじめ水とKF試薬との反応促進剤としてピリジン-二酸化イオウ溶液を加え,デッド・ストップ法で終点を求めることにより,明確な終点を得た.
    測定法は試料10~30mlをピリジン-二酸化イオウ溶液(SO2 320g/lC5H5N)8%を含むメタノール25mlに加え,力価0.1~0.5mgH2O/mlのKF試薬で滴定する.
    この方法で,滴定装置をミクロ化することなく,N,N-ジメチルホルムアミド,酢酸エチルその他の有機溶媒中の2×10-5%(0.2μg/ml)までの微量水分を迅速かつ簡易に測定できた
  • 四條 好雄, 武内 次夫
    1971 年 20 巻 8 号 p. 980-987
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    おもに,ミセル形成臨界濃度(cmc)付近の塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTMAC)の水溶液中における鉄-エリオクロムシアニンR(ECR)錯体およびアルミニウム-ECR錯体の挙動について検討した.鉄およびアルミニウム錯体はcmcより低い7.5×10-6~1.5×10-5M程度のCTMAC溶液においても鋭敏に反応し,ミセル溶液におけると同様吸収極大の長波長側への移動,吸光度の増加,ECRの結合比の増加が認められる.生成する錯体の組成はそれぞれ[Fe(ECR)3(CTMAC)3],[Al(ECR)3(CTMAC)3]と推定される.
    また鉄-クロムアズロールS(CAS)およびアルミニウム-CAS錯体はcmc付近のCTMACの存在によって沈殿を生成するが,この沈殿は非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステルのミセル溶液によって可溶化され,CTMACのミセル溶液におけると同様の吸収曲線を示す.
    これらの事実から,トリフェニルメタン系およびスルホフタレイン系配位子が第4級アンモニウム塩のミセル溶液で金属と鋭敏に反応して水溶性錯体を生成する反応は,基本的には配位子結合比の高い金属-配位子-第4級アンモニウム塩の3元錯体が生成し,これが第4級アンモニウム塩のミセル表面において可溶化されているものと考えられる.
    以上の検討によって次のことが明らかになった.
    (1) ECRはCTMACのミセル溶液で酸解離が促進される.
    (2) 鉄およびアルミニウムのECR錯体はミセル形成臨界濃度より低い1.5×10-5M程度のCTMAC溶液においてもミセル溶液におけると同様高次錯体を生成し,その組成は[Fe(ECR)3(CTMAC)3],[Al(ECR)3-(CTMAC)3]と推定される.
    (3) 負電荷をもつ金属錯体と第4級アンモニウム塩が会合する反応は第4級アンモニウム塩のミセル形成と類似したところがあり,ミセルを形成する第4級アンモニウム塩は金属錯体とも会合しやすい.その場合互いに相反する電荷であるためその会合はミセル形成に先行することもありうる.
    (4) 低濃度のCTMAC溶液における鉄およびアルミニウムのCAS錯体の沈殿は非イオン界面活性剤のミセル溶液で可溶化され,CTMACのミセル溶液におけると同様の吸収曲線を示す.
    (4) 第4級アンモニウム塩のミセル溶液において生成する,金属とスルホフタレィン系およびトリフェニルメタン系配位子との水溶性錯体は,基本的には金属-配位子-第4級アンモニウム塩の3元錯体がミセルによって可溶化されたものであると考えられる.
  • 小松 将博, 松枝 隆彦, 垣山 仁夫
    1971 年 20 巻 8 号 p. 987-992
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    溶出波ポーラログラフにく形波ポーラログラフを適用して亜鉛,カドミウム,鉛,銅の同時定量を試みた.0.4M塩化カリウム溶液と0.3M塩酸溶液を混合した複合支持電解質中で,-1.2Vvs.Hg poolで4分間電解し,-1.2から-0.1Vまで0.2V/minで溶出波曲線を記録した.
    それぞれの金属の濃度と波高の間にはよい再現性がみられ,亜鉛0.01~0.10ppm,カドミウム0.001~0.010ppm,鉛0.01~0.10ppm,銅0.01~0.10ppmの範囲に検量線を引くことができた.カドミウムに対しては-1.0Vで10分間電解し,く形波電圧20mV,amp.sens1/5で溶出することにより0.0001~0.0010ppmの検量線を得ることができた.
    本法により亜鉛鉱山の鉱内水中の4元素を定量した.また共存する陰イオンの影響についても検討した.
    (1) 塩素イオンを支持電解質としてく形波ホーラログラフを適用した陽極溶出波を利用して,亜鉛,カドミウム,鉛,銅を同時に定量することができた.
    (2) 0.1ppm以下の濃度では上記4元素中の2元素間においては,金属間化合物は水銀中では生じないことがわかった.
    (3) 無機陰イオンの影響は銅に対して著しいので銅の分析の際には注意を要する.
  • 松永 勝彦, 西村 雅吉
    1971 年 20 巻 8 号 p. 993-997
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    試薬の安定性がすぐれ,また取り扱いが簡単なクロラミンTとチモールを用い,生成したインドブェノールをn-ヘキシルアルコールへ抽出する海水中の微量アンモニアの定量操作条件を詳細に検討した.本法は,海水中に存在する含窒素有機物の妨害はなく,しかも操作条件の設定が比較的容易である.またアンモニアの濃度が高いときには,抽出操作を行なわずに直接比色定量できる.感度はこれまでに報告されている方法のなかで最もよく,また精度は1μg-atNH3-N/lの濃度で±2%である.
  • 宇野 豊三, 谷口 寛一
    1971 年 20 巻 8 号 p. 997-1002
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    イソニコチン酸ヒドラジドと2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドと縮合してできるヒドラゾンは,酢酸酸性でアルミニウムと強いけい光性の錯体を形成する(励起極大420mμ,けい光極大495mμ).この性質を利用して,イソニコチン酸ヒドラジドの0.1~1.0μg/mlの範囲の定量が可能となった.
    けい光試薬を選ぶにあたって,8種類のカルボニル化合物とそれらのイソニコチン酸ヒドラゾンのけい光特性(Table III)を調べた結果,2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドが最も適当であった.
    イソニコチン酸ヒドラジドは抗結核剤であり,混在が予想されるヒドラジンや,併用療法剤として用いられるp-アミノサリチル酸ナトリウムなどは2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドと反応するが,本定量法ではヒドラジンの同量およびp-アミノサリチル酸ナトリウムの20倍量の共存でもイソニコチン酸ヒドラジドの測定値に影響がなかった.
  • 千葉 淳, 小川 忠彦
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1002-1007
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    シリカゲルならびにアルミナはともに吸着能が強いため,広く吸着の目的に利用されている.著者らは,シリカゲルに代わる吸着剤として,イオンの分離,廃水処理方面に利用しうることを目的として最も簡単にシリカ・アルミナを作製した.いかなる表面の特徴により吸着能が左右されるか,あるいは加熱処理によりその表面にどのような変化が生ずるものであるかを知る目的で,Na+の吸着量,比表面積,シリカ・アルミナ表面のpHなどの測定を行なった.これらの結果より,アルミニウム含有量が2.70%で500℃で加熱処理して得られたシリカ・アルミナが大きな比表面積をもちすぐれた吸着剤であることを明らかにした.
    以上の測定結果を総合すると,シリカ・アルミナ吸着剤の利用の基礎として次のようなことがわかった.
    (1) 合成されたシリカ・アルミナは,シリカゲル単一のものよりは吸着能が大であり,処理温度別に150~350,400~450,500,550~600℃の4群に分けられ,またアルミナ含有量別に0~1.09,1.09~1.91,1.91~4.27%の3群に分けられた.
    (2) Na+の吸着量の増減は,一般に比表面積,表面のpH(H+)に比例する傾向があったが,比例しない吸着もあった.これらより物理吸着とイオン交換吸着がともに起こっていると考えられる.
    (3) シリカゲルの吸着能の大であるのは300℃で処理したものであった.シリカ・アルミナでは,アルミニウム含有量2.70%,500℃処理のものが,シリカとアルミナ双方の性能を共有するシリカ・アルミナであることが推定できた.
    この吸着剤は分析化学方面においても,また化学工業面においても,シリカゲルに代わりうるすぐれた吸着剤であると考えられる.
  • ハイドロオキシフルオランおよびその誘導体の有機試薬としての利用研究(第13報)
    森 逸男
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1007-1010
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    3,4,5,6-テトラクロロ3',4',5',6'-テトラハイドロオキシフルオランメチルエステル(Cl・gall・CH3)とビスマス(III)の間で生成する錯体の過硫酸カリウム液による退色を微量ビスマス(III)の吸光光度定量に利用した.ビスマス(III)液に1.0%ポリビニルアルコール(PVA)液1.0ml,1.0×10-3M Cl・gall・CH3液1.5ml,飽和過硫酸カリウム液1.0mlを加え,1.5%硝酸を用いて,pHほぼ1.2付近に調節後,水を加えて全量を10.0mlとする.別に,ビスマス(III)のみ除いて同じように処理して得たCl・gall・CH3液の飽和過硫酸カリウム液とともに,35℃,60分間静置し,両液の吸光度を380または495mμで求め,0~1.7μg/mlビスマス(III)量を吸光光度定量する.
  • トロパンアルカロイドの分析研究(第3報)
    南川 伝憲, 松村 阜子, 亀井 昭美, 山川 真樹子
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1011-1017
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    臭化正ブチルスコポラミン(以下BSBと略記),正ブチルスコポラミンタンニン酸(以下BSTと略記)が酒石酸酸性でコバルト(II)チオシアン酸溶液と錯塩をつくり,これが有機溶媒に可溶であることを利用して,有機溶媒中のコバルトを原子吸光法で求め,間接的に生体試料中のBSB,BSTの含量を求める方法を確立した.
    BSBは尿中6μg/ml以上,血液中75μg/ml以上,ふん中4μg/mg以上,BSTは尿中10μg/ml以上,血液中150μg/ml以上,ふん中14μg/mg以上で測定可能であった.また錯体の組成は,[Co(SCN)4](BSB)2であることが推定された.
  • シッフ塩基を用いる微量成分の定量(第7報)
    石井 一
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1018-1022
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    亜鉛(II)が2-(サリチリデンアミノ)チオフェノール(以下SATPと略記)と錯体を形成し,ピリジンの存在下ではさらにこれと付加錯体を形成してベンゼン,クロロホルム,メチルイソブチルケトン,ジクロルエタンなどの有機溶媒に抽出されることを見いだし,この錯体生成ならびに抽出につき基礎的な検討を行なって微量亜鉛の定量方法を確立した.
    亜鉛(II)-SATP-ピリジン錯体はpH6付近からクロロホルムに抽出され,pH7.5~10.7で定量的に抽出されて一定の吸光度を与え,その吸収曲線は波長415mμに極大を有し,抽出された錯体は安定で,亜鉛:SATPの結合比は1:1であった.亜鉛濃度と吸光度との間には良好な直線関係が認められ,モル吸光係数は10700,吸光度0.001に対する感度は6.1×10-3μg Zn/cm2であった.カドミウム(II),コバルト(II),銅(II),鉄(III),ニッケル(II),チタン(IV)は亜鉛の定量を妨害した.
  • ディジタル・ポーラログラフィー(第1報)
    仁木 栄次, 白井 ひで子
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1022-1026
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/15
    ジャーナル フリー
    ディジタル・ポーラログラフィーにおける拡散電流の測定精度は,水銀滴の加算滴数nのとき,1/√nに比例して向上し,電解開始の最初の滴からは30滴,また希薄効果による電流の減少が一定になる第10滴からは第15滴までの電流を加算することにより,1×10-3Fカドミウムイオンの測定において,変動係数は0.0005である.
    電流-時間曲線の対数プロットは,電解最初の滴では直線関係を示すが,第2滴とそれに続く滴の電流-時間曲線の対数プロットは,電解による希薄効果の影響を受けて直線関係を示さない.希薄効果は,水銀滴の生長の初期で著しく,また水銀滴下電極の先端の外径が大きいと大きく現われる.
  • エストロジェンおよびその関連化合物のポリアミドクロマトグラフィー(第1報)
    徐 型堅
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1026-1031
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    エストロン,エストラジオール,エストリオールを試料として,いわゆるナイロン6によるポリアミド薄層クロマトグラフィーを試み,試料の移動率と展開溶媒の種類,組成との関係について検討した,まず23種類の非水単一溶媒について検討した結果,二,三の例外を除き展開溶媒の特性値であるhydrogen bonding Parameter (γ値)と solubility parameter (δ値)との両者があいまって高くなるにつれて試料のRf値が増大した.γ値がほぼ5以上の溶媒系ではそのδ値が増大するにしたがってRf値が高くなり,γ値およびδ値がともに10をこすとポリアミドの吸着能が弱まり,ポリアミドによる試料の相互分離はほとんど認められなくなった.
    エストロジェンを相互分離するための展開溶媒としては,ほぼ5以上のγ値を示す求プロトン性溶媒,あるいはγ値5以下の非プロトン性の極性溶媒が適当であった.また両者の混合による2成分系,あるいは非プロトン性の極性溶媒にδ値10以上のプロトン性水型溶媒を少量添加した非水2成分系溶媒が適当であると認められた.
  • 椿 勇, 中西 務
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1032
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Periodate oxidizes Mn (II) to permanganate and is detected by the color of permanganate. This reaction is not specific, since bromate also shows a similar reaction. Comparison of the oxidizing power of chlorate, perchlorate, bromate, iodate, periodate, peroxodisulfate, dichromate, permanganate, cerium (IV) sulfate and vanadate indicated that the oxidation of manganese (IV) oxide to permanganate was specifc for periodate. A small amount of fine powder of manganese dioxide was taken into a small test tube and a drop of sample solution was added with a drop of 6N nitric acid. By heating the solution, periodate gave pale red coloration. The detection limit was 20 μg with critical concentration 1 : 2500.
  • 向山 朝之, 長谷部 拓雄
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1033a-1035
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Zinc dibenzyldithiocarbamate was used for a rapid determination of copper with spectrophotometric method.
    A simplified analytical procedure is as follows. After dissolution of the sample with an acid, it is diluted with water to an appropriate concentration (0.54N in case of nitric acid, 111N in sulfuric acid and 110N in hydrochloric acid) and 10 ml of 0.03% Zn-dibenzyldithiocarbamate in carbon tetrachloride is added. After shaking for 3 minutes, the absorbance of the organic phase at 438 mμ is measured against the reagent blank.
    This method was more sensitive than diethyldithiocarbamate method and was applied to the determination of microgram quantities of copper in high purity metals. The zinc salt as the reagent could be replaced also by sodium or potassium salt.
  • 椿 勇, 中西 務
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1033
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The color reaction of uranium (VI) with phenol was applied to the detection of uranium (VI). A drop of the sample solution as added on a drop of phenol solution on a porcelain plate. Uranium gave brown to pale yellow color depending on its amount. Iron (III), cerium (IV) and molybdenum (VI) gave similar coloration, but the color by iron and cerium dissappeared by reducing them to Fe (II) and Ce (III). Phenol is thus useful as a reagent for uranium (VI) which is more specific than thiocyanate, ferrocyanide, oxine and Rhodamine B.
  • 荒木 峻, 鈴木 繁喬, 長谷部 拓雄
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1036-1038
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A concentration cell was applied as a novel sensor to the continuous determination of sulfur dioxide by the authors (this journal, 20, 828, 1971).
    Further improvements of the sensor were proposed to raise its sensitivity as follows. Fluctuation of the voltage reducing the sensitivity in the potentiometry had been caused by the pulse flow of the iodine solution applied by a pump into the sensor. The modified sensor succeeded in giving a constant flow of the solution as shown in Fig. 1, in which the flow rate could be regulated by the liquid height in the reservoir or the permeability of the glass membrane.
    The shape of the sensor was modified to improve the efficiency of the reaction of sulfur dioxide with iodine. The type III sensor was the most preferable. The optimum position of the working electrode was also given.
    By using the sensor type III, sulfur dioxide could be determined (the lower limit 0.07 ppm) under the following conditions; concentration of iodine solution, 0.3×10-8M (the generating current, 0.05 mA, the flow rate of generating medium, 0.6 ml/min); the drop rate of iodine solution from the sensor, 0.4 ml/ min; the flow rate of a sample gas, 500 ml /min.
  • 藤沼 弘, 嶋田 好孝
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1038-1040
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A drop (ca. 0.05 ml) of test solution involving ammonia-nitrogen was taken in a small test tube. To it were added with thorough mixing a drop of hypochlorite-carbonate buffer (Dissolve 5 g of NaHCO3 and 8 g of Na2CO3 in 500 ml of water. Then add 100 ml of NaClO with available chlorine 0.3% and dilute to 1 l) and a drop of thymol solution (Dissolve 5 g of thymol in acetone to make 50 ml and add equal volume of 0.7M NaOH solution). It was immersed in a hot water bath (90°C or higher) for 30 sec. to develop blue color of iodothymol. The detection limit was 0.005 μg as N.
    Alternatively, The test tube was removed from the water bath, and 2 drops of isobutanol was added with vigorous shaking. After standing, the blue color was transferred into the butanol layer. The detection limit was 0.0025 μg as N.
    The reagent blank should be referred to.
  • 坪内 正弘
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1040-1042
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A colorimetric method for the determination of homatropine has been developed by means of solvent extraction, In the recommended procedure for preparing calibration curve, 210 ml of a standard homatropine solution (2.0×10-5M) is taken in a separatory funnel, and 5 ml of borate (0.1M) -phosphate (0.3M) buffer (pH 8.5) and 2 ml of a tetrabromophenolphthalein ethyl ester (TBPE) ethanol solution (4×10-3M) are added. It is diluted to 25 ml with water, and shaken with 10 ml of 1, 2-dichloroethane for 2 min. The extract is filtered through a dried filter paper to remove droplets of water. The absorbance is measured at 570 mμ against a reagent blank.
    The colored species was assumed to be [homatropine]·[H(TBPE)] (red-violet) and [quaternary ammonium ion]+·[TBPE]- (blue).
  • 本間 春雄, 吉田 睦子, 鈴木 啓子, 江本 栄
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1042-1044
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The microdetermination of halogen (except fluorine) in organic compound was carried out by Micro-Carius' method using a silver boat in place of silver nitrate.
    Chlorine and bromine in standard samples were determined satisfactorily but lower results were obtained for iodine. The authors found that the result was affected by the amount of silver and the excess of silver caused the negative error. Good results were obtained by using about 40 mg of silver boat.
    The weighing is easier than in ordinary method and the errors in weighing magnetized or adhesive sample may be minimized.
  • 阿部 修治, 望月 友江, 植村 武夫
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1044-1047
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The brownish precipitate in Nessler's reaction was used for the gravimetric determination of ammonium ion in an aqueous solution. The composition of the precipitate is NHg2I, and the gravimetric factor of nitrogen is very small (0.02584).
    The recommended procedure are followings; The two-fold equivalent amount of Nessler's reagent (HgI42- : 2×10-2F, OH- : 4×10-1F ) is added slowly to 25 ml of sample solution. It is allowed to stand for at least ten hours at room temperature and then warmed for three hours on steam bath. The digested precipitate is filtered through a fine-pored glass filter (average pore size : 1 μ), washed by deionized water and dried at 150°C in air.
    Ammonium ion ranging from 2 to 4 mg as nitrogen in 25 ml of ammonium chloride solution was determined within error of 2.1% and standard deviation of 6.8%. Negative errors were observed for the lower contents of the ion, and also significant positive errors for the higher contents.
    The recognized interfering substances are comlexing agents such as potassium cyanide, potassium thiocyanide, ethylenediamine and pyridine, and reducing agents such as hydroxylamine hydrochloride and hydrazine hydrochloride.
  • 分析化学者のためのエレクトロニクス(II)
    中川 英元
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1048-1057
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 米沢 貞次郎, 森島 績
    1971 年 20 巻 8 号 p. 1058-1065
    発行日: 1971/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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