分析化学
Print ISSN : 0525-1931
21 巻, 2 号
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  • 回転白金電極を指示電極とする電流滴定法に関する分析化学的研究(第21報)
    池田 早苗
    1972 年 21 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    三宅の開発した自動記録電位差滴定装置(平沼産業RAT-1型)の入力回路を改造して自動電流滴定装置を試作し,回転白金電極を指示電極,SCEを対極とする短絡電流滴定法によってハロゲンイオンなどの銀滴定を行ない,その使用条件と精度について検討した。その結果,本装置を用いることによって迅速分析が容易になり,電流滴定法は電位差滴定法よりも高感度で,うすい溶液まで精度よく定量できることが明らかになった.
  • 廣瀬 信吾, 池内 勲, 榊原 公枝
    1972 年 21 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    化学反応が解離平衡にあるときは数種の化学種が共存し,かつ,それらが互いに従属した関係にある.したがって,これらの測定に単一波長の吸光度測定による方法ではふじゅうぶんな点が多い.本報では化学種の特長をよく表わすコンプリメンタリートリスティミュラス法(CTS法)を平衡の検討に適するように考案した.
    CTS法のグラフを用いて主として存在する化学種の数を決め,そのうち2種の化学種が共存する場合のモル分率を測定したり,平衡にあって純粋に取り出しえない化学種の特性をCTS法の数式を利用して求め,その値を利用して定量する方法を検討した.またこの方法をメチルレッドの解離定数の測定や,一定pH溶液中に共存するメチルオレンジおよびメチルレッドのモル分率の測定に応用してその有用性を示した.
  • 混合固定相によるガスクロマトグラフィーに関する研究(第6報)
    三芦岡 憑之
    1972 年 21 巻 2 号 p. 189-196
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    低極性側液相に無極性のスクアランを用い,これに高極性側液相としてフタル酸ジノニル,リン酸トリクレジル,ポリエチレングリコール600,ポリジエチレングリコールサクシネート,または1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを組み合わせた5種類の充てん剤混合系について,芳香族酸素化合物の保持挙動を調べた結果,保持指標と混合組成(液相の重量分率)の間にほぼ直線関係がなりたつことがわかった.しかし,高極性側液相の極性が高くなると,混合組成が0または1.00重量分率近くでは直線からのかたよりが著しくなり,特に高極性液相に対するスクアランの少量添加による溶質-溶媒間相互作用抑制効果は顕著であって,保持指標を大きく変化させることがわかった.蒸気圧指標(理想保持指標)の計算式を導き,実測保持指標値との差が,溶質保持に及ぼす相互作用効果を定量的に表わすものであることを明らかにし,これによって単一液相および混合相の相対極性を評価した.
  • 混合固定相によるガスクロマトグラフィーに関する研究(第7報)
    三戸岡 憑之
    1972 年 21 巻 2 号 p. 197-206
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    極性の異なる固定相液の充てん剤2種類を混合した充てん剤混合法ガスクロマトグラフィーにおいて,溶質成分の保持指標と固定相混合組成(液相の重量分率)との間に直線関係が成立する場合のあることがわかったので,さらに,このような関係が成立する条件あるいは一般則を明らかにする目的で,無極性から高極性に至る極性の異なった6種類の液相充てん剤を用い,任意の2種類を組み合わせた15組の混合系について,化学構造の異なる種々の化合物の保持挙動を調べた.その結果,スクアランを0,1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを100としたときの二つの液相の相対極性の差(ΔP)が約30以下の組み合わせ混合系では直線関係がよくなりたち,ΔPが大きくなるにしたがって高極性側での直線からのかたよりが著しくなることがわかった.また,ΔPが30以下の混合系3~4種類を組み合わせることにより,スクアランから1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンまでの広い極性範囲にわたり任意の中間極性の固定相を調製することが可能なことが明らかになった.
  • 穂積 啓一郎, 松本 守
    1972 年 21 巻 2 号 p. 206-214
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    高周波電力最大30W程度の小規模の低温プラズマ灰化装置において,有機物の燃焼速度を決める各種パラメーターの相関関係を検討した.高周波電力のガスへのインプット能率は50%程度であり,これから電力30Wのときのプラズマ内電子温度は15eVを中心に分布するものと推定した.電子温度は(電界強度)/(圧力)の関数として表わされるが,有機物の燃焼速度との関係においては,圧力1~2mmHgの範囲で直線に近い関係が得られる.プラズマ管内の圧力を1mmHgとし,酸素の供給量を増加すると,20ml/minまでは燃焼速度は上昇するが,これ以上では一定となる.プラズマ管内の軸方向における燃焼速度の分布は,高周波コイルを中心にほぼ対称のパターンを示し,電界内で生成したプラズマ粒子の消滅はかなり速いことがわかった.またプラズマガスとしてアルゴンを用いても試料の減量が起こることから,強い電界内では電子衝撃によるフラグメント化も存在することを示した.最後に有機物の化学構造と燃焼速度の関係を検討した.
  • 永長 幸雄, 米窪 達雄, 佐竹 正忠, 瀬戸 六左衛門
    1972 年 21 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    チタン(IV)またはバナジウム(V)を含む試料溶液にリンモリブデン酸を加えるとき生成するヘテロポリ酸(リンモリブデン酸錯体)を塩酸酸性のもとに一定時間分解反応を行なわせたのち,塩化第一スズ溶液を添加すれば反応は停止するが,その際生ずるモリブデン青による溶液の吸光度を測定することによって両金属を定量する方法について検討したところ,満足できる結果が得られ,それぞれの金属0~100μg/50mlの範囲でベールの法則がなりたつことを知った.さらに両金属の同時定量を試みたところ,1N塩酸溶液中でチタンのヘテロポリ酸はバナジウムのそれよりもかなり速く分解することを見いだし,これを利用すれば同時定量が可能であることがわかった.すなわち両金属含有の試料溶液中でヘテロポリ酸を生成させ,10N塩酸を加えて1N塩酸溶液とし,ヘテロポリ酸の分解反応を開始させ,1分後に1%塩化第一スズ溶液を添加して反応を停止させると,溶液中に存在する両金属の合計量に相当するモリブデン青が生成,発色するから,その溶液の吸光度(A)を測定する.もし同様の操作で分解反応を20分間行なわせると,その間にリンチタノモリブデン酸のほうは完全に分解するので,この場合の吸光度(B)はチタン共存下のバナジウムの量に相当するから,これによってバナジウムの定量ができる.なお,バナジウムについては分解反応時間が20分の場合の吸光度(B)から1分の場合の吸光度(C)が求められることがわかっているので,チタンによる吸光度(A-C)が得られ,これによってチタンの定量ができる.本法をチタンおよびバナジウムの濃度がそれぞれ20~100μg/50mlの合成試料溶液に適用したところ,誤差3%以内で両金属の同時定量ができた.さらに共存イオンの影響についても検討を行なった.
  • 和田 憲治
    1972 年 21 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    原子吸光分析法により,空気-アセチレン炎を用いて鋼中のモリブデンを定量するとき,1%硫酸ナトリウムの添加により共存元素の干渉を抑制した.たとえば,鉄10000ppm,タソグステン,マンガン,アルミニウム500ppm,クロム300ppmの共存の影響は抑制できた.
    この方法により鋼中のモリブデンを分析した結果,クロム高含有鋼を除いて,ほぼ満足できる分析値が得られた.なお,本実験での感度はモリブデン0.6ppm/1%吸収であった.
  • C-13NMR化学シフトの図表化(第3報)
    田中 誠之, 戸田 昭三, 永田 親清, 叶多 謙蔵, 斎藤 純, 三石 隆俊, 橋本 茂, 清水 靖男, 北沢 英俊
    1972 年 21 巻 2 号 p. 225-231
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    著者らは13C-NMRの有効な利用法の研究の一環として,化学シフトの図表化を企画し,すでにマスターチャートおよびカルボニル炭素のサブチャート化について報告したが,ここではアルカン,アルケン,アルキン炭素のサブチャート化について述べる.
    主題の炭素の化学シフトは隣接基による影響が大きく,その図表化は官能基がついた炭素によって分類すれば有用であろうと考えて,X-13C-Yにおける13Cをsp3ではメチル,メチレン,その他の3枚に,sp2系,sp系で各1枚ずつに分け,それぞれ13CのX,Yを適宜に分類して図表を作成した.
    その結果,アルカン,アルケン,アルキン炭素の化学シフトの特徴が明らかになり,また未知化合物の13C-NMRスペクトルの解析に有用であることが解析例によって示された.
  • 内川 恵三郎, 穂積 啓一郎
    1972 年 21 巻 2 号 p. 232-239
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    高精密な微小質量測定は校正された微小分銅と精密なはかりを用いて行なわれる.微小分銅は汚染,腐食,摩耗,損傷などに影響され,1μg以下の精度を長期にわたり,同一精度で維持することは困離である.そこで,恒久的な微小質量の保存方法として,再現性のよい物性に標準を移し替えることを検討し,微量および超微量化学分析で使用され,じゅうぶんな再現性および安定性を有する石英製のトーションバランスの感度をパラメーターとして微小質量を再現する方法について考察した.その感度の直線性ならびに温度と荷重の影響について定量的に解析し,石英トーションバランスの感度が温度tと荷重Mの関数として次のように表わされ,トーション繊維の弾性限界内(7mg以下)では0.01%の精度で微小質量を実現できることが明らかになった.
    S=2.32504{1-α(t-20)(1-βM)}div/μg
    ここにαは温度係数で1.31×10-4deg-1であり,βは荷重係数で5.45×10-6mg-1である.
    このように石英トーションバランスの感度が厳密に校正されれば,ほとんど半永久的に分銅に代わる高精度の標準器となり,逆に他の微小分銅の器差の決定にも利用できる見通しが得られた.
  • トリエタノールアミンと金属イオンを用いる分析(第2報)
    鈴木 盛久
    1972 年 21 巻 2 号 p. 240-244
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ウルシオールの吸光光度定量法はまだ報告されていない.しかし,エチルアルコール中において,過剰のトリエタノールアミン(以下TEAと略記)の存在で生成するとみられるTEA-鉄(III)-ウルシオールキレートは安定な青緑色を呈する.そこで,この性質を利用してTEA緩衝液中でウルシオールを定量するための基礎的条件を検討した.この場合のウルシオールキレートは445nmおよび625nm付近に吸収極大があり,この両吸収極大においてもウルシオールと鉄(III)については1:1のモル比で反応しているものと推定された.ウルシオール溶液5mlに試薬緩衝液4m1を加え,これをエチルアルコールで10mlとし,20℃における吸光度を625nmで求める.ウルシオール1000μgまでベールの法則に従い,見かけの分子吸光係数は1750であった.また,吸光度は12時間過ぎまで変化しなかった.この新法は簡単,迅速正確であり,漆液中の水分,糖類,有機酸およびオイルの影響がまったくない.そこで,この方法を生漆中のウルシオールの定量に応用し,変動係数0.4%のよい結果を得た.
  • ホルマザンの分析化学的研究(第4報)
    清川 政義, 川瀬 晃
    1972 年 21 巻 2 号 p. 244-251
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    N-(2-ピリジル)-N',C-ジフェニルホルマザン,N-(2-ベンゾチアゾリル)-N'C-ジフェニルホルマザンおよびN-(5-ニトロ-2-ピリジル)-N',C-ジフェニルホルマザンは銅,ニッケルの微量分析に用いられることを示した.
    これら試薬は水に溶けないため,ジオキサン-水混合溶媒中で酸解離定数,キレート生成定数を測定した.銅キレートについては四塩化炭素による抽出を行ない,抽出平衡を検討した.
    またジオキサン-水混合溶媒中ではpHメーターの読みが正確な水素イオン濃度を示さないため,これを補正する値を求め,混合時の体積減少の補正のための測定値を求めた.
  • 安部 喜也, 半谷 高久
    1972 年 21 巻 2 号 p. 252-256
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    河川水中のアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)の測定には,一般にメチレンブルー(MB)を用いた比色法が用いられ,測定結果もメチレンブルー活性物質(MBAS)として表わされてきた.本研究では比色法の際に調製したMBAS-MB錯化合物の赤外吸収スペクトルをとり,そのスペクトルにおいて波数890cm-1と1010cm-1の吸収がそれぞれMBおよびABSに固有なものであることが確かめられ,その吸収ピーク高の比Y/XがMBASにおけるABS/MBASに比例することがわかったので,はじめに標準試料についてY/XとABS/MBASの関係を示す検量線をつくることによって,未知試料についてABS/MBASを求め,あらかじめ比色法により測定したMBAS濃度にABS/MBASを乗ずることによりABS濃度を求めることができた.
  • 機器による状態分析の基礎的研究(第2報)
    佐藤 公隆, 小池 俊夫, 青木 実
    1972 年 21 巻 2 号 p. 256-263
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    鋼の海水腐食などによって生成するさび中に多く見られるβ-オキシ水酸化鉄について赤外吸収スペクトルによる分析の基礎的な検討を行なった.β-オキシ水酸化鉄には835cm-1付近および690cm-1付近に比較的ブロードな特性吸収帯があるが,835cm-1吸収帯をキーバンドとして用いて,この波数域に妨害する吸収帯をもつα-オキシ水酸化鉄が共存しても直線性のある検量線が得られる方法を考案し,それをもとに履歴の異なる種々の海水腐食生成さびに対してその適用性を調べた.
  • 石塚 紀夫, 砂原 広志
    1972 年 21 巻 2 号 p. 264-270
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    炎光および原子吸光分析法による酸化イットリウム中のナトリウム,マグネシウム,カルシウムの定量を行なうため,試料溶解に使用する無機酸の種類,主成分であるイットリウム,共存する上記の金属元素の相互の影響を検討した.上記の金属元素に対する無機酸の影響の検討から,試料を溶解するための酸は塩酸または過塩素酸が適当である.イットリウムが多量に共存しても,上記の金属元素の測定にあまり影響しない.また,相互の影響もあまり問題とならない.以上,高濃度イットリウム中の上記金属元素は定量可能なので,酸化イットリウムの実際試料は酸に溶解し,標準添加法により,迅速にかつ良好な精度で定量することができた.
  • 水野 孝一, 椎尾 一
    1972 年 21 巻 2 号 p. 271-273
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    It has been found that gasoline vapor contained alkyl lead can be absorbed on active carbon and amount of lead content quantitatively analysed by X-ray fluorescent method.
    For briqueting carbon powder, stealic acid was suitable binder, and the employed mixing ratio of carbon and binder was 3:2.
    The results were quite consistent with calibration curve which was obtained by impregnation method of lead standard solution over the range from 0.1 mg to 0.5 mg Pb/3 g carbon.
  • 1・6高分子化合物
    武内 次夫, 柘植 新, 宮林 達也, 高品 昭, 柘植 盛男, 楢崎 久武, 代田 忠, 中本 光幸, 小島 盛昭, 木下 脩
    1972 年 21 巻 2 号 p. 274-299
    発行日: 1972/02/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
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