ビスムチオールIIとパラジウム(II)の錯体を過塩素酸溶液からリン酸トリブチルで抽出する,微量パラジウムの吸光光度定量法について検討した.
モル吸光係数は450nmにおいて4.60×10
3であり,Sandellの表示法による感度は0.023μg/cm
2である.また,15μg/m
lまでのパラジウム量につきベールの法則に従う.
操作は次のとおりである.
パラジウムを含む試料溶液に約0.75
Nとなるように過塩素酸を加え,水で50m
lとする.これにビスムチオールIIの0.05%リン酸トリブチル溶液10m
lを正確に加えて,90秒激しく振り混ぜる.2相に分離後,水相を捨て,抽出相を吸収セルに移し450nmで吸光度を測定する.
上記の操作では,銅(II),ビスマス(III),鉄(III)などが妨害するが,抽出後,その抽出相を水酸化ナトリウム(約0.16
N)で洗浄すれば,妨害を除くことができ,またよい再現性が得られた.
オスミウム(VIII),セレン(IV)は妨害する.
オスミウムのビスムチオールIIによる定量はいまだ知られていないが,この錯体は酸性あるいはアルカリ性で緑色を呈し,リン酸トリブチルによく抽出され,その抽出錯体は780nm付近に吸収極大をもつという知見を得た.パラジウムとの同時定量を試みた.
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