ペーパークロマトグラフィーによるアンチモン,スズ,ヒ素イオンの相互分離のために硫化アンモニウム水溶液を用いた展開溶媒系について検討した.
硫化アンモニウム溶液(黄色)-ピリジン(2:3v/v)で5cm,30分間,上昇法により展開を行なうとアンチモン(
Rf値0.28)とスズ(
Rf値0.94)とは各イオンの酸化数には無関係に分離されるが,3価のヒ素が共存する場合にはアンチモンと重なる.
アンチモン,スズ,ヒ素の相互分離の場合には硫化アンモニウム溶液(黄色)-ピリジン-2,4,6-コリジン(35:55:10v/v)で7cm,60分間,上昇法により展開する.各
Rf値はスズ(II,IV)0.96,ヒ素(III)0.42,アンチモン(III,V)0.24,ヒ素(V)0となる.この場合ヒ素(III)とアンチモン(III,V)は接近しているが,色調が異なるので両者の区別は容易である.
各スポットの位置は,展開終了後溶媒の乾燥につれて各硫化物の色調を呈するので発色のための操作を必要としない.
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