分析化学
Print ISSN : 0525-1931
25 巻, 12 号
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  • 山本 勝巳, 大橋 弘三郎, 赤塚 仁
    1976 年 25 巻 12 号 p. 811-814
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン-N,N',N'-三酢酸イオン(EDTAOH)及びチオシアン酸イオンがニッケル(II),銅(II)あるいはコバルト(II)に配位した混合配位子錯体の組成及び安定度定数について吸光光度法により研究した.いずれも得られる混合配位子錯体の組成は1:1:1,M(edtaOH)-(NCS)2-と推定され,Ni(edtaOH)(NCS)2-,Cu(edtaOH)(NCS)2-及びCo(edtaOH)(NCS)2-混合配位子錯体の25℃,イオン強度1.0(過塩素酸ナトリウム)における安定度定数としてそれぞれ5.6,2.1及び1.6が得られた.チオシアン酸イオンは窒素原子で金属付ンに配位していると推定される.Ni(cdtaOH)(H2O)-及びCo(edtaOH)(H2O)-の配位した水分子がチオシアン酸イオンで置換されると吸光度が増大し,チオシアン酸イオンは濃色効果を示す.ところが,Cu(edtaOH)(H2O)-ではチオシアン酸イオンは淡色効果を示すことが明らかになった.
  • 鈴木 繁喬, 富田 豊, 荒木 峻
    1976 年 25 巻 12 号 p. 815-820
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    三角波電圧を多重掃引するフロークーロメトリック・カラム電極を試作した.試作したカラム電極は,サンドイッチ構造を持ち,その作用電極には,グラッシーカーボン粒を使用した.
    鉛(II),銅(II)イオン2成分系を用いて分離条件,カラム構造などを検討した.その結果,分離に影響を及ぼす要因として,カラム電極構造,特に電極充てん剤の充てん方法による影響が大きいことが分かった.充てん方法として最適な,等密度スラリー充てん法で作製したカラム電極では,キャリヤー電解液(1Mリン酸)流速(0.5~1.0)ml/min,電位掃引速度(5~20)V/min,掃引電位領域(+0.5~-1.0)V vs.SCEの操作条件下で,分離能1.5~2を得ることができ,試作したカラム電極が多重掃引法を用いるフロークーロメトリックな分離セルとして十分有用であることが分かった.
  • 疎水ゲル担体中の有機試薬の分析化学的応用(第3報)
    井手 俊輔, 矢野 太陸, 上野 景平
    1976 年 25 巻 12 号 p. 820-823
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    スチレン-ジビニルベンゼン共重合樹脂(ジビニルベンゼン2%)がモノクロルベンゼンによって膨潤ゲル化することを利用して,ジチゾンを含む疎水ゲルを作成しカラムに充てんした.このカラムを用いて,水溶液中に溶存している無機水銀イオンを対象として,その抽出,分離,濃縮について検討した.
    水銀(II)水溶液をpH1でカラム中に流下することにより,水銀イオンはカラム中に捕そくされた.
    又,水溶液中に,水銀イオンと亜鉛,カドミウム,鉄(III),鉛,銅(II)各イオンが各々共存する場合について検討した.銅(II)イオンが共存する場合には,マスキング剤としてEDTAを用いることによって,又,その他の金属イオンが共存する場合には,カラム条件をpH1とすることによって,水銀イオンは選択的にゲルカラム中に抽出された.このゲル中に捕そくされた水銀は8N塩酸を用いて逆抽出し,濃縮,回収することができた.
  • 大野 幸雄, 佐藤 宗衛, 三輪 三郎, 田中 誠之
    1976 年 25 巻 12 号 p. 824-828
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    NMR法により塗料のはく離剤や洗浄剤として用いられる石油製品に含まれている塩素化メタン,エタン誘導体の迅速分析法を新たに検討した,石油中におけるC1,C2塩素化炭化水素のプロトン化学シフトは石油成分と独立して現れるが共存する芳香族成分により高磁場側シフトが誘起される.このシフト幅は芳香族成分の含有量に直接関係するため,溶媒効果を考慮したシフト図表を作成して塩素化炭化水素の同定を容易にした.又,塩化ベンジル,安息香酸メチルを内部標準とし標準混合試料を用いて直接定量を試みた結果,添加量と定量値の間に有意差がなく,簡易,迅速分析法として利用できることが明らかになった.
  • 西沢 直行, 神立 誠
    1976 年 25 巻 12 号 p. 829-834
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    中,酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸の両成分を同時に分析し記録のできるダブルクロマトグラム法(DC法)によってSpackmanらの生体試料中のアミノ酸の分析方法の簡易化を行った.
    この方法には1台の記録計,2組の緩衝液及びニンヒドリンポンプ,2組のフローセル及び2組の検出器が必要である.Aminex A-5樹脂を使って,中,酸性アミノ酸は100×0.25cmのカラムで,塩基性アミノ酸は50×0.25cmのカラムでSpackmanらの緩衝液を用いてクロマトグラフィーを行う.Spackmanらの方法と異なり,これらの異なった2種類のクロマトグラフィーを同時に開始し,245分後に両方のカラム温度を同時に30℃から50℃に昇温する.検出器からの2種類の異なったシグナルを同じ記録用紙上に記録する.分析所要時間は中,酸性アミノ酸で8時間,塩基性アミノ酸で9時間であった.結局DC法によって生体試料中のアミノ酸が9時間で分析できた.
    分析の再現性は(0.0052~0.100)μmolの範囲で(100±2.1)%であった.本DC法は基本仕様の柴田AA-600型アミノ酸分析器を用いて行うことができる.本DC法によって生体試料中のアミノ酸の分析方法の一層の迅速化及び簡易化を期待できるものと考えられる.
  • 谷野 孝一, 菅原 国香
    1976 年 25 巻 12 号 p. 834-837
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    セレン(IV)とテルル(IV)を含む溶液にN,N-ジメチルホルムアミドと塩酸を添加後,沸騰水浴中で4.5時間加熱すれば,ともに還元されて各単体を定量的に沈殿する.
    又,この操作において酒石酸を共存させると,テルルがマスクされてセレンのみが定量的に沈殿する.
    従って,両沈殿反応の差を利用すると,共存するセレンとテルルをそれぞれ重量分析することができる.
  • 蓼沼 克嘉
    1976 年 25 巻 12 号 p. 837-841
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    n-ヘキサン溶液中のPCBを脱塩素化剤で分解し,生じたビフェニルをFIDガスクロマトグラフで検出しPCBを定量する.
    この方法によると,塩素化ベンゼン類,BHC,アルドリンなどの正の妨害が見られ,これらの除去に従来のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った結果,PCBとの分離に良好な結果が得られた.
    なお本法によれば,DDEの共存はPCBの定量に,全く妨害を及ぼさない.
  • 加藤 義春, 高橋 正雄
    1976 年 25 巻 12 号 p. 841-846
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    (7.5~50)%のプルトニウムを含むウラン-プルトニウム混合酸化物中のウラン及びプルトニウムを電位差滴定法を用いて逐次定量した.ウランとプルトニウムの混合酸化物を硝酸,フッ化水素酸に溶解し,硫酸白煙処理を行う。クロム(II)溶液を加えてウランとプルトニウムをそれぞれウラン(IV),プルトニウム(III)に還元した後,塩化カリウム-塩酸緩衝液5mlを加え水で30mlに希釈する.水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを1.0~1.5に調節した後,白金-飽和カロメル参照電極を浸し,溶液に残っているクロム(II)をクロム(III)に空気酸化する.窒素を通気して溶存酸素を除き,更に窒素通気を続けながら0.1M硫酸セリウム(IV)標準溶液でウラン(IV)を滴定する.ウランの終点に達したら0.02M硫酸セリウム(IV)標準溶液でプルトニウム(III)を滴定する.硫酸白煙処理後,1試料の滴定に要する時間は約30分である.
  • 阿部 重喜, 近 俊一
    1976 年 25 巻 12 号 p. 846-850
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    m-アミノフェノール類-過酸化水素系に対するマンガン(II)の接触作用を基礎的に検討し,EDTAによるマンガン(II)の接触滴定においてm-アミノフェノールが滴定終点の指示作用基質として利用できることを明らかにした.
    接触酸化体の呈色速度及び強度に及ぼす置換基の影響を酸化電位の立場から考察した.m-アミノフェノールの場合,N,N-ジアルキル基を導入することによって酸化体の吸収極大ピークは長波長側ヘシフトする現象が見られた.m-アミノフェノール(I)あるいはN,N-ジエチル-m-アミノフェノール(II)を接触指示薬とするキレート滴定系では滴定終点で速やかに接触酸化が進行し,溶液は無色から濃いだいだい色(I)あるいは紫色(II)に変化する.マンガン(II)の滴定結果は通常の金属指示薬法による値とよく一致した.又,逆滴定法によって亜鉛,カドミウム,水銀,鉛などを定量できる.
  • 山本 善一, 村田 匠, 上田 俊三
    1976 年 25 巻 12 号 p. 851-854
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    1-ピロリジンカルボジチオ酸アンモニウム(APDC)を用い,主に塩酸溶液中における微量クロム(VI)の紫外吸光光度定量の基礎的条件を検討した.クロム(VI)はAPDCと反応し,(0.4~2.4)M塩酸溶液中で加熱すると波長225と265nm付近に吸収極大を持つ可溶性錯体を生ずる.この溶液を沸騰水浴中で(2~2.5)分加熱すると,過剰の試薬のみが分解し,測定波長265nmにおける試薬ブランクの大きな吸収は消去され,錯体の吸光度を測定することができる.見掛けのモル吸光係数は3.17×104mol-1cm-1で,クロム(VI)35μg/25mlまでの範囲でベールの法則に従う.5回の繰り返し実験による標準偏差パーセントはクロム(VI)15μg/25mlの濃度で0.6%である.又,この錯体は(0.2~0.8)M過塩素酸,(0.2~6.0)Mリン酸,(0.4~1.2)M硫酸溶液中でも波長225nmと265nm付近に吸収極大を示す可溶性錯体を生じ,塩酸溶液の場合と同様にクロム(VI)を定量することができる.
  • 小島 次雄, 瀬尾 義光
    1976 年 25 巻 12 号 p. 855-858
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    電子捕獲検出器に応答する親電子化合物中の個々の成分の同定を容易にすることを目的として,水素化アルミニウムリチウムの反応カラムを用いてこれらの成分中の窒素化合物とハロゲン化合物とを識別する方法を検討した.水素化アルミニウムリチウムの反応カラムによって窒素化合物は消去され,ハロゲン化合物は消去されないので両者の識別が可能であった.更に,SE 30を3%コーティングしたモレキュラーシーブ5Aの選択的な吸着カラムを用いて直鎖及び分枝ハロゲン化合物の識別を試み,ともに満足すべき結果を得た.
    本法を自動車排気ガスの分析に適用して,クロロホルム,四塩化炭素,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,1,2-ジブロモエタンの存在も確認することができた.
  • 有機酸のイオン交換クロマトグラフィー(第6報)
    江頭 暁
    1976 年 25 巻 12 号 p. 858-860
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン系第4アンモニウム型陰イオン交換樹脂カラム(塩化物形)上における,脂肪族飽和ポリカルボン酸の挙動について研究した.その結果,本質的には飽和脂肪酸の場合と変わりないが,ポリカルボン酸はより親水的であり,特に2価イオンの状態では,低い分布比の位置に固まって溶出することが分かった.又,マロン酸及びメチルマロン酸は,不飽和酸のマレイン酸などと同様な異常を示し,分子内水素結合の影響の存在が考えられる.
  • パーミエーションチューブーGC法による生体試料用ガス分析装置の開発と応用研究(第2報)
    石井 幹太, 大高 宏, 勝目 卓朗
    1976 年 25 巻 12 号 p. 861-863
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    著者らの考案した装置が血中総酸素及び総炭酸ガスの個別定量に用いうることが判明した.又,これらの定量を試みるうえで,文中に示した濃度算出式が用いられ,再現性の良い結果が得られることが認められた.現在最も一般的に血液ガス分析に用いられているAstrupの装置と比較して,分析時間においては約10分の短縮ができ,試料注入後から検出記録されるまで15分で分析を完了できた.
    今後はキャピラリーPTの使用による微量測定や血液ガス分析(血中総酸素及び総炭酸ガスの同時定量)の連続分析への発展などを進めていく予定である.
  • 小谷 将彦, 植竹 和也, 崎川 範行
    1976 年 25 巻 12 号 p. 863-866
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Organic peroxides are widely used in industry and known to be evolved in autoxidation and combustion reactions. The peroxides have been generally determined by iodometric method, although the method could not exclude analytical errors caused by incomplete reaction and formation of iodine by dissolved oxygen. The present study has been undertaken to measure dialkylperoxide, hydroperoxide, peroxyester and diacylperoxide by gas chromatography. These heat-labile peroxides were unable to be analyzed at a high temperature, while satisfiable chromatogram was not obtained at a low temperature because of their low vapor pressure. Therefore, this method required a strictly established temperature. Column packings of PEG 6000, DNP and Silicone SE-30 and the flow rate of carrier gas in (10100) ml/min had no effect on decomposition of the peroxides. Analysis conditions for typical peroxides were summarized as follows; t-butyl cumyl peroxide: PEG 6000, 100°C (column temp.), 20 ml/min (flow rate), 2-phenyl-2-propanol (internal standard), t-butyl hydroperoxide: Silicone-SE-30, 80°C, 10ml/min, t-butanol, t-butyl peroxy benzoate: Silicone SE-30, 100°C, 100 ml/min, acenaphthene. Their percentage errors of determination were in the range of 0.11 to 0.85%. Some organic peroxides which decomposed immediately after vaporization, e.g. benzoyl peroxide, could not be determined by this method.
  • 西田 宏
    1976 年 25 巻 12 号 p. 866-868
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A 1:2 complex formed by the reaction between gallium and Chromazurol S (CAS; H4L) was examined in above pH 3 by the spectrophotometric method. The formation reaction of the 1:2 complex from the 1:1 complex with hydrolysis of the gallium ion may be expressed by the following equation.
    GaHL+H2L2-+H2O=Ga(OH)(HL)24-+2H+
    The equilibrium for the 1:3 complex formation reaction may be expressed by the following equation.
    Ga(OH)(HL)24-+H2L2-=Ga(HL)36-+H2O
    The formation constants of the 1:2 and 1:3 complexes are obtained as (6.0±0.2)×10-3 and 1.65×104 at pH 4.4, respectively and the first hydrolysis constant of the gallium ion is calculated to be (5.2±0.2)×10-4 from the relation between the formation constant of the 1:1 complex and pH, at the ionic strength 0.1 and 25°C. A complex with an absorption maximum at 580 nm formed in below pH 3 will be Ga(HL)23-.
  • 中島 良三
    1976 年 25 巻 12 号 p. 869-871
    発行日: 1976/12/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The UHF-plasma torch emission spectrometry by use of introduction of generated metal hydride was studied on several metal species. Defined aliquots of sample solution acidified to (1.04.5) M with hydrochloric acid were injected in a generator bottle containing 20 ml of (26)% sodium borohydride solution as a reductant and then hydride was introduced to the torch by argon carrier gas.
    The detection limits in μg were; arsenous 0.01 (228.8 nm), arsenic 0.05 (228.8 mn), antimony(III) 0.025 (259.8 nm), bismuth(III) 1 (298.8 nm), germanium(IV) 0.05 (303.9 nm), lead 10 (405.8 nm), selenium(IV) 2 (204.0 nm), tellurium(IV) 2 (214.3 nm), and tin (II, IV) 0.1 (270.7 nm). The calibration curves were linear and passed through the origin in the range of arsenous {(0.018)μg}, antimony {(0.0250.7)μg}, bismuth {(1.015)μg}, germanium {(0.21.5)μg}, and tin(II, IV) {(0.13)μg} when 2% sodium borohydride was used, and arsenic {(0.17)μg} when 6% sodium borohydride was used.
    In applications to analysis of steels for arsenic and tin and of molybdenum for tin without prior separation, 6% sodium borohydride was used. The analytical data for steels were satisfactorily accorded with the referred values.
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