分析化学
Print ISSN : 0525-1931
26 巻, 9 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 星加 安之
    1977 年 26 巻 9 号 p. 577-581
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    きゅう覚試験用10m3ステンレススチール製無臭室内に調製された微量低級脂肪族1価アルコール(C2~C5)の濃度測定を液体酸素を用いるコールドトラップ法を前処理とする気・液・固クロマトグラフィーにより検討した.分離カラムには,60/80メッシュのカーボパックBに PEG 1500 を 0.5% と水酸化カリウムを0.2%塗布した充てん剤を長さ1.5m,内径3mmのガラスカラムに充てんしたものを用いた.これをカラム温度135℃,窒素キャリヤーガス流速 65ml/min で操作し,検出器に水素炎イオン化型検出器を用いて分析を行った結果,8種のアルコールは約15分以内に各ピークのテーリングもなく,完全に分離して定量することができた.
    又,無臭室内に調製された7種のアルコールの既知濃度(約23及び81ng/l)の回収実験の回収率は,変動係数で0~9.8%の範囲内にあり,ほぼ精度よく測定できた.
  • 無機化合物のクロマトグラフィー(第2報)
    奥村 保, 平木 敬三, 西川泰治
    1977 年 26 巻 9 号 p. 582-587
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    セルロース薄層クロマトグラフィー(セルロース TLC) により酸素酸イオン14種類とハロゲンイオン4種類の分離を行った.これらイオンの分離に関する諸因子と分離能との関係について次のような考察を行った.(1)酸素酸イオン:中心原子と酸素との核間距離が長いイオンほどhRf値はほぼ直線的に低下し,中心原子の荷電と相関性があることを見いだした.すなわち中心荷電が大きいほど,hRf値は小になる結果を得た.これは塩基性移動相中におけるセルロース固定相の表面負電位と中心原子の電荷がhRf値を支配する大きな因子であると考えられる.(2)ハロゲンイオン:電気陰性度の大きい(イオン半径の小さい)イオンほどhRf値は小さい.これは移動相中の水素供与性溶媒と溶媒和を起こしやすいイオンほど,双極子相互作用の結果,hRf値を小さくし,分離を大きく支配することを明らかにした.
  • 三輪 智夫, 水池 敦
    1977 年 26 巻 9 号 p. 588-592
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    つり下げ水銀滴電極の場合,支持電解質には0.1M塩化カリウムを用い,前電解は-1.25V vs.銀/塩化銀(3.3M塩化カリウム), 10分間, 800 rpmで,溶出曲線の記録はパルス周期0.1s,パルス電圧50mV,パルス幅50ms,サンプリング時間16.7ms,走査速度 40mV s-1で行った.定量下限(ppb)は銅0.2,鉛0.1,カドミウム0.05,亜鉛 1,検量線は各元素とも20ppbまで直線であった.本法を排水の分析に応用し,低ppbレベルの上記元素を10%程度の誤差で定量できた.
    グラッシーカーボン電極の場合には,0.01M塩酸中で-0.75V vs.銀/塩化銀で15分間前電解すれば(0.05~1)ppbの鉛が定量できた.精度は0.5ppbレベルで8%であった.しかし,つり下げ水銀滴電極に比べると共存元素の影響が大きかった.
  • 星 座, 四ツ柳 隆夫, 青村 和夫
    1977 年 26 巻 9 号 p. 592-597
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    ジメチルホルムアミド(DMF)及び60%(v/v)DMF-水混合溶媒中におけるグリオキサールジチオセミカルバゾン(GDS)のニッケル,銅,亜鉛,カドミウム及びパラジウム錯体について,その組成(M:GDS = 1:1), 吸収スペクトル及び錯形成pH条件などを明らかにし,GDSの吸光分析試薬としての可能性を論じた.更に,これらの検討に基づき,極めて選択的なパラジウムの吸光光度法を提案した.
  • チオピラゾロン誘導体の分析化学的研究(第13報)
    田中 共生
    1977 年 26 巻 9 号 p. 597-600
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    チオピリンによるルテニウムの吸光光度定量法について検討した.ルテニウム(III)はチオピリンと反応して水溶性の青緑色の錯体を生成する.錯体は700nmに吸収極大を示し,その吸光度はpH1.0~4.5で一定である.反応を促進するために80℃の水浴中で15分間加温する.ルテニウム(III)濃度が0~20μg/mlの範囲でベールの法則に従い,見掛けのモル吸光係数は5.5×103cm-1mol-1dm3である.ルテニウム(IV)を含有する試料はあらかじめルテニウム(III)に還元した後,チオピリンと反応させる.27種類の共存イオンの影響を検討したが,オスミウム(VIII)を除けば他のイオンはほとんど妨害しない.定量に利用したルテニウム錯体の化学種は,過塩素酸塩として単離した化合物の性質からヘキサチオピリンルテニウム(III)錯イオンと推定された.
  • 佐々木 与志実
    1977 年 26 巻 9 号 p. 601-605
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    鉛(II)のエチルキサントゲン酸錯体{Pb(EtX)2と略記}を作成し,これのクロロホルム溶液を滴定剤,銅(II)を指示薬とする水銀(II)の抽出滴定法を作成した.
    水銀(II)(0.2mg~4.0mg)を含む水溶液を分液漏斗に採り,銅(II)溶液を加えた後,酢酸塩緩衝溶液を加えてpHを3~5にする.滴定剤を加えて振り混ぜて,有機相を捨てる.この操作を有機相が,かっ色{Cu(EtX)2の色}になるまで繰り返す.初めの振り混ぜで抽出定数の大きい水銀(II)が鉛(II)と交換抽出される.終点で,次に大きい銅(II)が鉛(II)と交換抽出される.
    市販のマーキュロクロム液,農薬中の有機水銀を,硝酸と過酸化水素水で分解し,生じた水銀(II)を本法で定量できた.
  • 津山 明宣, 土山 ふみ
    1977 年 26 巻 9 号 p. 605-609
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    微量拡散分析法はフェロシアンやフェリシアンイオンのように安定度の高い錯イオンとして存在するシアンを定量できない.しかし,あらかじめpH5とし,塩化第二水銀溶液を加えて60℃に加温すると,容易にシアノ水銀となり,これはリン酸酸性下,ジチゾンーメチルセロソルブ液(1%)1mlの添加で,シアン化水素を生ずるので微量拡散による分離定量が可能となった.0.01M塩化第二水銀液0.5mlを使用した場合,CNとして260μg以下が定量できた.実際の工場排水について本法と蒸留法との比較を行ったが,両者はほとんど一致した.従って,本法は全シアンの分析に使用できることが分かった.精度はCN5.0μgについて変動係数4.3%以下であった.エチレンジアミン(100ppm)の共存は多少の負誤差を与えたが,アンモニア,尿素,アミノ酸及びモノアミン類の共存は影響しなかった.しかし.硫化物イオンの共存は負誤差が大きい.
  • 桑田 清明, 本水 昌二, 桐栄 恭二
    1977 年 26 巻 9 号 p. 609-614
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒ素(V)は3分子のカテコール類と反応して1価の錯陰イオンとなり,カチオン染料の存在下でイオン対を形成し有機溶媒に抽出される.検討した9種類のカテコール類のうちでは4-ニトロカテコール,カチオン染料としてはブリリアントグリーンを用いた場合が最適であり,ヒ素(V)-4-ニトロカテコール錯陰イオンとブリリアントグリーンとのイオン対は定量的にトルエンに抽出される.トルエン抽出液は637nmに極大吸収波長を示した.検量線はヒ素(V)の濃度が0~1×10-5Mの範囲で直線性を示し,この波長におけるモル吸光係数は10.9×104であった.共存イオンの影響を検討した結果,アルカリ金属,アルカリ土類金属などは多量に存在しても妨害しない.リン酸イオンはヒ素(V)(6.06×10-6M)に対して20倍程度まで妨害がなかったが,アンチモン,ビスマス,クロム,鉛などはヒ素(V)と同程度存在しても妨害があることが分かった.
  • 宮原 武恒
    1977 年 26 巻 9 号 p. 615-620
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    吸光光度法により酸性溶液中における銅(II)カルセイン錯体を検討した.銅(II)はカルセイン(H6L)とpH3~5においてCu(H4L)(H3L)3-,CuH2L2-及びCu2L2-の錯イオンを逐次生成することを明らかにし,その安定度定数(μ=0.1)はそれぞれ2.67×1010,1.87×108及び9.23×1028であった.
    カルセインを指示薬として,EDTAを銅(II)により逆滴定する条件のpH4~5ではCu(H4L)(H3L)3-の生成は無視できるが,他の錯イオンは共存する.従って,終点におけるけい光消光変化にはCu2L2-の寄与が大きく,後半においてなだらかになると予想された.
  • 真鍋 敬, 笹川 立, 奥山 典生
    1977 年 26 巻 9 号 p. 621-625
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    N末端をマスクされたペプチドを加水分解後,N末端にあった有機酸の分析を行うために等速電気泳動法を適用した.酸加水分解に用いた塩酸の存在は有機酸の定性を妨げない.アルカリ加水分解の場合は塩酸で中和した後電気泳動すれば分析できる.酸加水分解の場合アセチルロイシンでは1N塩酸,80℃,20時間の加水分解で,ピログルタミルアラニンでは1N塩酸,80℃,1時間でそれぞれ酢酸,ピログルタミン酸の回収率が最も高く,79%,18%であった.この方法をウシ脳から分離した酸性ペプチドに適用し,アセチルアスパラギン酸と同定した.
  • 地球両極氷雪中のppb濃度の化学成分分析法(第6報)
    室住 正世, 中村 精次, 湯浅 光秋
    1977 年 26 巻 9 号 p. 626-629
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    208Pb濃縮鉛をスパイクとして用いる同位体希釈法を表面電離質量分析法により行った.本法の検出感度は10-13gで,定量感度は10-10gであった.新設したクリーン実験室の効果により,実験室環境と試薬源の鉛汚染量をそれぞれ1分析当たり,0.02ngと0.002ngに低下させることができた.その結果,同位体希釈表面電離質量分析法の本来の感度,精度に近い性能を得ることができた.これを極地雪氷試料に応用したところ,既報では供試量(20~40)kgを必要としたものが,0.1kg程度のボーリングコアでも主成分の共存下で感度も精度もよく鉛を定量することができた.その結果,従来氷床の上層にとどまっていた地球化学的研究を深層にまで及ぼすことが可能になった.鉛濃度は上層(深さ23m)で(0.49±0.02)ng/g,下層(深さ124m)で(0.022±0.0005)ng/gであった.
  • 飯田 芳男, 岡田 静子
    1977 年 26 巻 9 号 p. 630-634
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィー-化学イオン化質量分析法(GC-CIMS法)により高純度試薬トルエン中の微量不純物17種類(2-メチルブタン,n-ペンタン,二硫化炭素,シクロペンタン,2-メチルペンタン,3-メチルペンタン,n-ヘキサン,メチルシクロペンタン,ベンゼン,シクロヘキサン,n-ヘプタン,メチルシクロヘキサン,3-メチルチオフェン,エチルベンゼン,p-,m-,o-キシレン)の定量を試みた.CIスペクトルにおいて出現する擬分子イオン(M±1)+は各成分に特異的で,その質量数を用いたマスフラグメントグラフィーにより,GC法,ガスクロマトグラフィー-電子衝撃質量分析法(GC-EIMS法)よりも高感度で高選択的測定ができた.定量下限は(10~50)pgで予備濃縮することなく,ppbレベルの定量が可能であった.
  • 渡辺 寛人, 田中 裕晃
    1977 年 26 巻 9 号 p. 635-639
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    キシリジルブルーIとそのマグネシウムキレートを少量のトリトンX-100で水に可溶化し,二波長測光によるマグネシウムの定量法を検討した. pH 11.0~12.5でキレートの極大吸収波長515 nm における吸光度は最大かつ一定となり, 515nmでの試薬ブランクは pH 11~11.5 で一定である.マグネシウムの定量に際しては515nmと試薬の極大吸収波長620nmの差吸光度を pH 11~11.5 で測定した. (0.1~3)μg Mg/25mlの範囲で検量線は良い直線性を示し, Sandell 感度は 0.00039μg Mg/cm2である.呈色は迅速で少なくとも12時間は安定である.新しいマスキング剤の組み合わせを見いだし,本法が天然水中の微量マグネシウムの定量に利用できることを確かめた.
  • 柴田 昌男, 垣山 仁夫
    1977 年 26 巻 9 号 p. 640-644
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    亜鉛及びカドミウムはチオオキシンとけい光性錯体を形成する.水中では両金属は共存することが多いが,陽イオン交換樹脂に Amberlyst 15を 用い, 0.4M塩酸 -80% エタノールを溶離液とした液体クロマトグフラ法により定量的に分離濃縮される.亜鉛,カドミウムを含む溶離液に直接チオオキシンの N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液,緩衝液を加えることにより,これら金属はけい光定量できることが分かった.錯体の吸収ピークは385nmであり,けい光ピークは535nmである.最適pHは2.5,溶媒組成は水,エタノール, DMF各1容が適当であり,チオオキシンは金属量に対して亜鉛の場合8倍以上,カドミウムの場合20倍以上の濃度が必要であった.
  • 西田 宏, 西田 妙子
    1977 年 26 巻 9 号 p. 645-646
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Chromazurol S (CAS) anion is extracted into nitrobenzene as an ion-pair with tris (1, 10-phenanthroline) iron (II) cation at pH 5.5 and the extract has the absorption maximum at 600 nm. However, in the presence of aluminum, the absorbance of the extract decreases in proportion to its amount. By using the principle, (0.023)μg of aluminum was spectrophotometrically determined. Four hundred milligrams of iron (II), 1.0 ml of CAS solution (0.025%) and 5 ml of 1, 10-phenanthroline solution (0.3%) were added to the sample solution containing less than 3μg of aluminum, and the pH of the resultant solution was adjusted to 5.5. After diluting it to 50 ml with water, 10.0 ml of nitrobenzene was added and CAS was extracted by shaking for 5 minutes. Less than 0.3 mg of iron (II), (III), nickel, cobalt, copper, manganese and cadmium did not interfere with the determination of aluminum, but more than 2μg of gallium, and 5μg of chromium (III), titanium and beryllium interfered.
  • 吉村 悦郎, 田中 幸春, 角田 欣一, 戸田 昭三, 不破 敬一郎
    1977 年 26 巻 9 号 p. 647-648
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Absorption spectrum of InCl in carbon tube atomizer has been measured in the UV region with a Jarrell-Ash AA-1 MARK II atomic absorption spectrophotometer and SLA-100 carbon tube atomizer. D2-lamp was used as a continuous light source and argon gas was employed as an inert sheath gas. The aqueous solution (5μl) which contains 0.4 mM indium nitrate and 50 mM ammonium chroride was introduced into the carbon tube atomizer and absorbance at the "atomizer" step (ca. 2690°C) was measured by shifting the wavelength every 0.1 nm between 264 nm and 269 nm step by step. As shown in Fig.1, the spectrum consists of absorption peaks at 267.2, 266.1 and 268.4 nm. Among them, the absorption peak at 267.2 nm, the strongest one, was used for determination of chlorine. As shown in Fig.2, the working curve (028.4μg/ml chlorine) was proved to be linear in the region of 07.1μg/ml chlorine.
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