2-ニトロソ-5-(
N-プロピル-
N-スルホプロピルアミノ)フェノール(
N-PSAP)を用いる水溶液でのコバルトの定量法について検討し,ニッケル塩中のコバルトの定量に応用した。この定量法ではpH4~8の試料溶液に臭化セチルピリジニウム(CPB),
N-PSAP,イミノ二酢酸を順に加え,最後に塩酸を加えた後吸光度を測定する。検量線はコバルト濃度5×10-
7~1.5×10-
5Mの範囲で直線性を示し,490nmでのモル吸光係数は5.3×10
4dm
3mol-
1cm-
1であった。発色の再現性は良好でコバルト濃度5×10-
6Mにおける相対標準偏差(
n=8)は1.2%である.20倍モル量の銅,亜鉛,鉛など19種のイオン及び600倍モル量のニッケルイオンは妨害しない。鉄(II)イオンについてもあらかじめクエン酸を添加することで妨害を除去できる。又,
N-PSAPの酸解離とコバルト錯体の組成についても検討し,第一段と第二段の酸解離定数をP
Ka1=2.74,P
Ka2=8.45(
I=0.1,NaClO
4,20℃)と決定するとともに
N-PSAP:Co=3:1の錯体であることを示した。
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