分析化学
Print ISSN : 0525-1931
34 巻, 2 号
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  • 小泉 均, 越山 博喜, 鈴木 義仁
    1985 年 34 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    脂肪族アミン類の高感度かつ選択性のある分析法を確立するために高速液体クロマトグラフィー/ラマン検出法について検討を行った。共鳴ラマン効果を示す誘導体化には生成物が励起光の発振波長に近接した吸収バンドを持つ,4-ジメチルアミノアゾベンゼン-4'-スルホニルクロリド(DABS)を反応試薬として用いて行った。その結果,アミン誘導体の吸収極大は440nmであり,モル吸光係数も(2~3)×104と十分共鳴効果が期待できた。DABS誘導体のラマンスペクトルは試料溶液をポンプから送液し,フローセル中で測定した。得られた結果より1136cm-1のバンドをクロマトグラムのキーバンドとした。DABS誘導体はZorbax-ODSカラム,アセトニトリル/水混合溶媒を移動相として,相互分離を行い良好なクロマトグラムを得た。本法の検出限界はメチルアミンDABS誘導体で53.8μgであった。又実効セル容積が3.7nlと微小なためミクロ高速液体クロマトドラフィーなどの検出法として有効であると示唆された。
  • 広瀬 文雄, 小林 剛, 長谷川 信一, 大河内 春乃
    1985 年 34 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    ニッケル基,コバルト基耐熱合金中の微量ヒ素及びビスマスの水素化物発生原子吸光法による定量法を検討した。このような合金は通常の硝酸-塩酸による溶解は困難で溶解を容易にするためにはフッ化水素酸の添加が必要である。フッ化水素酸の存在は水素化物の発生に影響し,試料採取量0.5gに対し,フッ化水素酸の添加量0.5~1.5mlで一定の吸光度が得られた。共存する金属元素はEDTAで抑制した。還元剤添加前の試料溶液の塩酸濃度を約0.44Mとし,反応容器内をアルゴンで置換した後,テトラヒドロホウ酸ナトリウム溶液を加えて水素化物を発生させる。発生した水素化物はアルゴンをキャリヤーとして,石英セル中に流し,空気-アセチレンフレームで900℃に加熱原子化し,ヒ素又はビスマスを測定した。本法は広範囲の成分を含有する耐熱合金に適用でき,検出限界はヒ素で0.5ppm,ビスマスで0.2ppmであった。
  • メタゼパム及びスルフイソミジンの定量
    三井 利幸, 松岡 俊恵, 藤村 義和
    1985 年 34 巻 2 号 p. 72-76
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    イオン会合性試薬を用いる医薬品の吸光光度定量法の一環として,ベンゾジアゼピン系医薬品であるメタゼパムをそのままの形で,サルファ剤であるスルフイソミジンをp-メチルベンジル誘導体とし定量する方法を検討した。方法は,メタゼパムは抽出溶媒にクロロホルム,イオン会合性試薬としてエリオグリーンBを用いpH4.10でイオン会合体を抽出し波長637nmを用いて吸光度を測定した。スルフイソミジンはα-クロロ-p-キシレンを用いてp-メチルベンジル誘導体とした後,ジクロロメタンで抽出しイオン会合性試薬としてトロペオリンOOを用いpH2.56でイオン会合体を形成後,ジクロロメタン相を酸性にし波長543nmを用いて吸光度を測定した。又本法によればメタゼパムの定量においてクロキサゾラム,ニトラゼパム,オキサゼパム,ジアゼパムはモル比で約4倍共存していても,スルフイソミジンの定量においてスルファジメトキシン,スルファメトキサゾール,スルファメチゾールはモル比で約5倍共存していても全く妨害を示さなかった。
  • 吉田 烈, 上野 景平
    1985 年 34 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール(N-PSAP)を用いる水溶液でのコバルトの定量法について検討し,ニッケル塩中のコバルトの定量に応用した。この定量法ではpH4~8の試料溶液に臭化セチルピリジニウム(CPB),N-PSAP,イミノ二酢酸を順に加え,最後に塩酸を加えた後吸光度を測定する。検量線はコバルト濃度5×10-7~1.5×10-5Mの範囲で直線性を示し,490nmでのモル吸光係数は5.3×104dm3mol-1cm-1であった。発色の再現性は良好でコバルト濃度5×10-6Mにおける相対標準偏差(n=8)は1.2%である.20倍モル量の銅,亜鉛,鉛など19種のイオン及び600倍モル量のニッケルイオンは妨害しない。鉄(II)イオンについてもあらかじめクエン酸を添加することで妨害を除去できる。又,N-PSAPの酸解離とコバルト錯体の組成についても検討し,第一段と第二段の酸解離定数をPKa1=2.74,PKa2=8.45(I=0.1,NaClO4,20℃)と決定するとともにN-PSAP:Co=3:1の錯体であることを示した。
  • 内海 喩, 小高 みどり, 磯崎 昭徳
    1985 年 34 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    ヨウ化物イオンとして10ppm以下の試料溶液10mlを分液漏斗にとり,4.5M硫酸1ml及び3%過酸化水素水1mlを加えて5分間放置の後,四塩化炭素5mlを加え振り混ぜ抽出する。四塩化炭素を分離し0.05M硫酸5mlを加えて振り混ぜ洗浄する。再び四塩化炭素を分離し,0.5Mヨウ化カリウム溶液10mlを加え振り混ぜる。水相を1cmの石英セルに入れ,波長350nmで吸光度を測定する。臭化物イオンの場合は10ppm以下の試料溶液10mlを採り,3M硫酸1ml及び0.015M過マンガン酸カリウム溶液1mlを加えて5分間放置する。以下ヨウ化物イオンと同様な操作で吸光度を測定するが,四塩化炭素の洗浄は0.5M硫酸5mlで行う。共存イオンの影響などを検討し実試料に適用した。一例として,海水中の臭化物イオンを定量したところ63.3ppmであり,相対標準偏差は1.3%であった。
  • 重田 喜太郎, 菊地 正, 古谷 圭一
    1985 年 34 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    黒鉛カプセルを用いた定容測圧式の真空加熱法による,試料量5~40mg,ガス抽出温度1550~2050℃の分析条件における,窒化ケイ素及び窒化アルミニウム中の酸素定量値は良好な再現性を示し,正確な酸素定量ができることが分かった。又,最適な分析条件である試料量10mg,ガス抽出温度1850℃の酸素定量値は,不活性ガス融解法及び放射化分析法による酸素定量値と良好な一致を示し,3法による窒化ケイ素中酸素定量の正確さが認められた。
  • 長島 珍男, 松本 雅俊, 鈴木 繁喬
    1985 年 34 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    亜硝酸塩を含む試料(4ml/min)と0.13Mヨウ化ナトリウムを含む13Mリン酸溶液(1ml/min)を連続的に混合,約45秒間加熱(50℃)し,その混合液を気-液分離管{ガラス管とポーラステフロン管(内径1mm)から成る二重管}へ導入し,一酸化窒素を発生させた。発生した一酸化窒素はキャリヤーガス(窒素)を用いて気体用二次導関数分光光度計の光吸収セル(光路長25cm,セル温度150℃,体積80ml,λ=214.0nm)へ導き測定した。試料を導入してから約1分後にピークの立ち上がりが始まり,それから約5分後に応答は一定となった。亜硝酸塩(5×10-7~1×10-3)Mの範囲で原点を通る直線関係のある検量線が得られた。一酸化窒素以外の紫外域光を吸収するガスの発生はなかった。本法を人工海水中亜硝酸塩の定量に適用した。
  • 康 智三, 笠原 葉子, 岡崎 勉, 三浦 恭之
    1985 年 34 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    シアン化物イオンとメチレンブルーの混合溶液に硫黄のジクロロエタン溶液を加えて振り混ぜると,シアン化物イオンと硫黄が反応してチオシアン酸イオンを生成し,それがメチレンブルーとのイオン対として1,2-ジクロロエタンに抽出される。この有機相の吸光度を波長657nmで測定することにより,1×10-5Mまでのシアン化物イオンを定量することができる。シアン化物イオンの濃度と吸光度との間には良好な直線関係が得られ,波長657mmにおける見掛けのモル吸光係数と吸光度0.001に対するSandell表示感度は,それぞれ8.67×104cm-1mol-1?と3.0×10-4μgCN-cm-2であった。6×10-6Mシアン化物イオン溶液10mlずつを用いて11回繰り返し実験を行ったところ,対試薬から試験液の平均吸光度が0.517で,標準偏差と相対標準偏差は吸光度単位でそれぞれ0.005と1.0%であった。
  • 等々力 英美, 林 時司, 赤松 隆
    1985 年 34 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるα-ケト酸の一つであるグリオキサール酸の高感度定量法を確立した。グリオキサール酸の前処理に,既報において報告したヒドラジドゲルを用いると,HPLCのクロマトグラム上にヒドラジドゲル由来と思われるピークが観察され,グリオキサール酸由来のピークと完全に一致することが分かった。このヒドラジドゲル由来と思われるピーク成分の同定について検討を加えたところグリオキサール酸由来のキノキサリノール誘導体であることが確認できた。そこで,ガラスビーズにヒドラジド基を導入したヒドラジド-CPGを調製し,前処理操作に用いたところ,問題のピークは認められず,再現性及び検量線の直線性も良好なグリオキサール酸の蛍光検出法による高感度定量が可能となった。
  • 楮 家成, 野尻 幸宏, 長谷 川哲也, 原口 紘〓
    1985 年 34 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    環境庁国立公害研究所頒布の頭髪標準試料(NIES No.5"Hair")について,誘導結合プラズマ発光分析法による多元素同時定量を検討した。試料の前処理として酸による湿式分解と450~600℃における乾式灰化を行い,両者の分析結果を比較した。その結果,アルミニウム,ヒ素,バリウム,カルシウム,クロム,銅,鉄,カリウム,マグネシウム,マンガン,ナトリウム,ニッケル,リン,鉛,ストロンチウム,チタン,亜鉛の17元素について測定データを得た。湿式分解と乾式灰化とではほとんど一致した結果が得られたが,600℃の灰化ではアルミニウムとマグネシウムに減少が見られた。今回得られた分析値はこれまでの日本入頭髪試料についての報告値から考えてほぼ妥当な結果である。
  • 新谷 英晴, 辻 楠雄, 大場 琢磨
    1985 年 34 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    従来イオンクロマトグラフィーの検出器として電気伝導度検出器(CD)あるいは紫外(UV)検出器を用いた報告がなされている。UV検出器を用いUV吸収を持つ移動相とそれを持たない試料成分との吸光度の差を用いて血清中の陽イオンを定量し,CD法と比較した。更に陽イオン交換樹脂に対する選択係数と紫外部のモル吸光係数を考慮して種々の移動相条件を検討した。その結果両者の血清中の陽イオン定量値に大きな差はなかったが,UV法はCD法に比べ感度が低く,しかもナトリウムとカリウムとのピークの分離が不十分で,かつ移動相として4mM以上の硫酸銅五水和物(硫酸銅)を用いたとき定量性がなく移動相の濃度に制約を受けるなどの欠点を有していることが分かった。そして硫酸銅と硫酸コバルト,硫酸ニッケル,硫酸亜鉛あるいは硫酸二アンモニウムコバルト(II)との混液をUV法の移動相に用いたところ標準品に対して感度の良い分離が可能となった。
  • 門上 希和夫, 篠原 亮太
    1985 年 34 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    海水中に存在するバックグラウンドレベルのn-アルカンを重水素化n-アルカンを内標準として海水に添加した後,XAD-2樹脂を用いて抽出,濃縮し,ガスクロマトグラフ質量分析計により定量する方法を検討した。重水素化n-アルカンは全操作を通じてn-アルカンと同一の挙動をするため,抽出,濃縮及び測定時の誤差を最小限に抑えることができ,XAD-2樹脂による回収率が低い炭素数13から18のn-アルカンについても精度よく定量することができた。本法を用いて実際の海水中の炭素数13から32のn-アルカンを定量した。
  • 津田 泰三, 中西 弘, 小林 慈信, 森田 尚
    1985 年 34 巻 2 号 p. T13-T16
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    琵琶湖魚類中のメチル水銀を電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフィーにより,正確かつ能率的に定量することを目的として,試料の前処理方法を比較検討した。均一化した魚肉試料を用いてAOAC(Association of Official Analytical Chemists)法,直接抽出法及びアルカリ分解法を適用した。添加回収実験の結果,アルカリ分解法が回収率,再現性ともに最も良好であった。三つの方法を琵琶湖魚類に適用した結果,アルカリ分解法による分析値が最も高い値を示した。又,分析操作に要する時間は三つの方法で大差はなかった。
  • 小澤 敏夫
    1985 年 34 巻 2 号 p. T16-T19
    発行日: 1985/02/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    マイクロピペットを肉眼比色分析法の複製法の容量器具として用い,操作の簡易化と分析精度の向上について検討した。複製した濃度は試料溶液の濃度と一致しないが,この両者の濃度の間には直線的関係があり,検量線として使用できる。又,この直線は原点を通るので,実試料の分析においては標準添加法を適用すれば試料と同一の発色条件で複製ができ検量線法より正確な分析値が得られる。本法を金属材料の鑑別に応用するため,黄銅中の銅はEDTAによる,アルミニウム合金中の銅はジエチルジチオカルバミン酸による,又これらの試料中の鉄はスルホサリチル酸による発色を用いて定量した。その定量結果と標準値との相対誤差は±5%以内であった。
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