大気中のギ酸,酢酸,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒドのイオンクロマトグラフによる定量法を検討した.吸収液として50mlの蒸留水を用い,直列に接続した吸収瓶で捕集した.捕集効率は,通気流量5l/min,4時間の野外での測定においてほぼ100%であった.ギ酸及び酢酸イオンのイオンクロマトグラフィーには,0.005M四ホウ酸ナトウムの溶離液が最適であり,1試料当たりの分析時間は8分以内であった.ホルムアルデヒド,アセトアルデヒドは,過酸化水素水とアンモニア水を添加し,それぞれギ酸及び酢酸に酸化後,定量した.低濃度レベルの試料の分析には濃縮カラムを使用したが試料注入量5mlの場合,ギ酸,酢酸イオン濃度0.5ppmにおける相対標準偏差は3~5%,又,定量限界は
S/N=3とした場合,溶液濃度で,ギ酸イオン0.005ppm,酢酸イオン0.01ppmであった.本法により,横浜市港北区日吉及び東京都港区白金台の2地点で1985年4月から12月の期間測定した結果,大気中の濃度範囲は,ギ酸が1.5~7.5,酢酸が18.8~35.3,ホルムアルデヒドが2.9~18.0,アセトアルデヒドが5.3~18.8μg/m
3であった.又,大気採取量1.2m
3の場合,本法による定量限界は,大気濃度で,ギ酸,ホルムアルデヒドは0.2μg/m
3,酢酸,アセトアルデヒドは0.4μg/m
3であった.
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