環境試料中の芳香族アミン(AA)の微量分析方法作成の一環として,逆相HPLCにおける22種のAAの分離挙動を調べた.本法は,移動相にメタノール-水,あるいはメタノール-緩衝溶液を用いて行った.その結果,移動相にメタノール-水混合溶媒を用いると,AAはほぼ構成炭素数の少ない順に溶出されることが認められ,構成炭素数が同じであれば,ジアミノ体がモノアミノ体よりも早く溶出されることが分かった.又,移動相にメタノール-緩衝溶液を用いると,幾つかの化合物についてはその保持時間が逆転しており,適切なpHの移動相を用いることにより,異性体相互を容易に分離し得ることが分かった.又,メタノール-水系及びメタノール-緩衝溶液系こう配溶離法の併用により,AAを同定・定量し得るものと考えられた.又,検出器に分光蛍光光度計を用いてAAの検出下限を調べたところ,
S/N=2で20ng以下となり,そのほとんどは5pgから3ngと高感度に検出し得ることが分かった.次に,得られた分離分析条件を市販AA中に含まれる発がん性異性体の分析への適用を行った.その結果,市販の1-ナフチルアミン,1-アミノアントラキノン及び1-アミノアントラセンに含まれる発がん性異性体の日常分析に有用であると考えられた.
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