分析化学
Print ISSN : 0525-1931
37 巻, 12 号
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  • 瀬戸口 修, 松沢 貞夫, 山本 忠人, 清水 征生, 田村 光久
    1988 年 37 巻 12 号 p. 637-641
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ホルムアルデヒドのアンモニアとの反応を利用する新しいGC法を検討した。試料中のホルムァルデヒドは,分離カラムで分離された後,反応カラムでアンモニアと反応し水素フレームイオン化検出器に高感度なヘキサメチレンアトラミンに変換される.反応カラムにはガラスビーズを充てんしたカラムを使用し,カラムの最適長は30cmであった.検出限界値は0.5ngであり,約103のダイナミックレンジが得られた.本法による繰り返し精度は,相対標準偏差で3.2%であった.ホルムアルデヒドの溶出時間は約2分であり自動車排ガス濃度レベルのホルムアルデヒドを簡便に定量できた.
  • 本水 昌二, 米田 直生, 岩知道 正
    1988 年 37 巻 12 号 p. 642-647
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    シリカゲルカラムによるNa+とK+の分離及びクラウン錯体の陰イオン染料とのイオン会合体の溶媒抽出を組み込んだFIAによる吸光光度法を検討した.内経1mm,長さ20cmのPTFEチューブに100~200メッシュのシリカゲルを詰めたカラムを用いた.溶離液として,5×10-3Mベンゾ-18-クラウン-6及び,10-2M酢酸リチウムを含む水溶液を用いた.分析イオンを含む溶出液は試薬溶液(5×10-4Mの4'-ジエチルアミノ-2,5-ジクロロアゾベンゼン-4-スルホン酸イオン,5×10-3Mのベンゾ-18-クラウン-6,10-3MのEDTA及び3×10-3Mの水酸化リチウムを含む)と混合され,T字型セグメンターで抽出溶媒(ベンゼン+クロロベンゼン=1+1)と合流し,抽出コイル中で抽出が行われた.ポリテトラフルオロエチレン膜を備えた相分離器により,有機相は分離され,8μlのフローセルで450nmの吸光度が測定された.1×10-4M~2×10-3MのNa+,5×10-6M~1×10-4MのK+に対して,検量線は直線となった.
  • 前田 有美恵, 小和田 和宏, 山本 政利, 佐野 智子, 増井 俊夫, 中澤 裕之
    1988 年 37 巻 12 号 p. 648-653
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    HPLCにより,軟こう中の11種類の副じん皮質ホルモン及び4種類のパラベンを一斉分析する方法を確立した.試料の前処理として,軟こう中の基剤を除去するためにディスポーザブルのSep-Pakシリカゲルカートリッジを用いたクリーンアップを行った.HPLCの条件は,カラム:Inertsil ODS-2,移動相:水/メタノール系,検出波長:UV 24nm(副じん皮質ホルモンの極大吸収付近)とそれぞれ設定することにより,良好な分離が得られた.定量はs-ブチルパラベンを内標準物質として用いる内標準法により行った.検量線は副じん皮質ホルモンについては2~100μg/ml,パラベンについては1~50μg/mlの濃度範囲でいずれも原点を通る良好な直線性を示した.添加回収実験の結果は回収率,精度ともに良好であった.本法は簡便な前処理により副じん皮質ホルモン及びパラベンを迅速・正確に一斉分析できることから日常分析法として有用な方法である.
  • 山田 明文, 荒川 豊, 奥田 弥生, 程内 和範, 加藤 皓一, 横山 友
    1988 年 37 巻 12 号 p. 654-658
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    クロム酸銀と塩化物イオンとの置換反応を利用して,セメントペースト中の塩化物の分析方法を検討した.置換反応させる際の溶液のpHを一定に保つことによって,測定精度が向上することが分かった.セメントペースト液1ml及び0.1M(1M=1mol dm-3)硝酸1mlを100mlメスフラスコに採り,これに1M酢酸-酢酸アンモニウム緩衝溶液5mlを加え,蒸留水で100mlにする.この溶液に200mgのクロム酸銀を加え,2分間激しく振り混ぜる.過剰のクロム酸銀及び生成した塩化銀をNo.5Cの濾紙で濾過し,濾液に4Mアンモニア水1mlを加える.この溶液中のクロム酸イオンを波長405nmで吸光光度定量し,塩化物イオン濃度を求めた.検量線は,塩化物イオン0.1~70ppmの範囲で直線となり,この方法によってセメントペースト中の0.3~170mMの塩化物イオンが相対標準偏差2~4%で定量できることが分かった.
  • 廣井 哲也, 大内 和幸, 奥山 典生, 野口 康二
    1988 年 37 巻 12 号 p. 659-664
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ゲル浸透クロマトグラフィー用充てん剤として開発されたポリビニルアルコール樹脂カラム(Asahipak GS 320H,7.6mm i.d.×250mm)を用いてタンパク質の疎水性クロマトグラフィーの研究を行った.分子量11000から460000までの10種類のタンパク質について溶離を行った結果,タンパク質の分子量の対数値と保持時間との間に直線関係が得られた.これらのタンパク質はゲル浸透クロマトグラフィーの場合には排除限界あるいはそれより大きい領域のものであった.又,タンパク質の回収率はすべて90%以上であった.ヒト血清の分離を行った結果,α2-マクログロブリン(MW 800000)やIgM(MW 1000000)のような極めて高分子量のタンパク質の溶離も可能であった.以上のことからポリビニルアルコール樹脂カラムによる疎水性クロマトグラフィーは高分子領域に至るタンパク質の分析及び調製法として有用な方法であると結論した.
  • 田中 茂, 安江 憲介, 桂 央也, 丹野 善将, 橋本 芳一
    1988 年 37 巻 12 号 p. 665-670
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    イオンクロマトグラフィーのうちイオン交換クロマトグラフィーとイオン排除クロマトグラフィー(除去カラム法及びファイバーサプレッサー法)について,ギ酸,酢酸イオンの分離及び分析感度の両面から比較検討を行った.2mM四ホウ酸ナトリウムを溶離液に用い,試料注入量を1000μlとするイオン交換クロマトグラフィーが雨水中のギ酸及び酢酸の分析には最適であった.本法により雨水試料を分析する場合,試料中の硝酸イオン,硫酸イオンが分離カラムに吸着し溶出しないので,分析上問題となる.そこで,ギ酸.酢酸イオンのピークが得られた後に,4mM炭酸ナトリウム-4mM炭酸水素ナトリウムを試料注入口から1000μl注入し,分離カラムから硝酸,硫酸イオンを溶出させた.この場合の1試料当たりの分析時間は約20分間であった.雨水試料の分析における本法の再現性は,相対標準偏差としてギ酸イオンで3.7%.酢酸イオンで7.1%であった.又,本法によるギ酸イオン及び酢酸イオンの検出限界はそれぞれ0.003ppm,0.005ppmであった.本法を用いて1987年4月から10月までの期間,横浜市日吉における雨水中のギ酸,酢酸濃度を測定し,ギ酸が0.05~0.91ppm,酢酸が0.04~0.56ppmの結果を得た.
  • 岡井 貴司
    1988 年 37 巻 12 号 p. 671-674
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A rapid and accurate method for the determination of Zr in geological materials is presented. The interference of F- was reduced by masking with Al+, and Fe3+ was reduced to Fe2+ with hydrazinium dichloride. A sample (0.2 g) was decomposed with a mixture of HNO3, HClO4 and HF, and the solution was evaporated to dryness. Then the dried sample was fused with a mixture of 2 g Na2CO3 and 0.3 g H3BO3, and the melt was dissolved in 17 ml of HCl (1 + 1), and it was diluted to 50 ml with water. Fifteen ml portion of the sample solution was transferred to a 50 ml volumetric flask. To it, 8 ml of Al chloride solution (Al3+ 25 mg/ml) and 5 ml of hydrazinium dichloride solution (15 w/v%) was added. The solution was heated in boiling water for 15 min. After cooling, 5 ml of Xylenol Orange solution (0.1 w/v%) was added and diluted up to the mark with water. Absorbance was measured at 535 nm. Ten samples could be analyzed in 5 h. This method was satisfactorily applied to a variety of geological reference materials.
  • 高橋 真理, 滝山 一善
    1988 年 37 巻 12 号 p. 674-676
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Magnesium is generally efficiently determined by AAS using any flame, but some foreign ions is known to interfere with the air-acetylene flame. In particular, a large quantity of Ca raises the response of Mg, while phosphate depresses it. When laurylpyridinium chloride (LPC) was added to Mg solution to reach 7.5 ×10-2 M, the atomic absorption of Mg was highly enhanced and the interference of Ca and/or phosphate was overcome. LPC decreases the surface tension of the solution, and then the sample uptake rate is increased and the spray droplet is decreased. So, the sensitivity of Mg absorption is increased. Enhancement effect of LPC may also be attributed to the reducing action of the CN radical formed in the flame by decomposition of LPC. Mg in several foodstuffs could be efficiently determined by the present method.
  • 澤本 博道, 川添 美和
    1988 年 37 巻 12 号 p. 676-678
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    DL-Thioctic acid (α-lipoic acid) is adsorbed on a mercury electrode in the potential region more positive than ca. -0.4 V vs. SCE and yields a reduction peak at ca. -0.6 V. The adsorption of thioctic acid is employed in the preconcentration step of the stripping voltammetry of thioctic acid (adsorptive stripping voltammetry). From the fundamental studies it was found that in 0.1 M ammonium acetate the stripping peak height for thioctic acid was maximum. The optimal preconcentration potential, preconcentration time, scan rate and temperature are -0.2 V, 5 min, 50 mV/s and 25 °C, respectively. Under the optimum conditions described above, the calibration curve is linear up to 1.6 μM and the detection limit is 0.1 μM. Thioctic acid and riboflavin in milk were determined by this method.
  • 三友 亨, 一瀬 光之尉, 小島 次雄
    1988 年 37 巻 12 号 p. T223-T227
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    水系試料中の有機化合物の高感度な定性手段として,紫外・極紫外レーザー励起の共鳴ラマン法が有用である.流れ分析などへの利用を考える場合,微少なサンプルで高速測定を行う必要がある.そこで,パルスレーザーによる共鳴ラマンスペクトルの多波長測定法について検討した.1発のレーザーパルス(20mJ,347nm,12ns)で試料を励起し,イメージインテンシファイヤーのゲインを最大にして,t-アゾベンゼン,p-アミノアゾベンゼン,p-アミノベンゾフェノンについて,3000cm-1のシフト分を1フレームとする分解能18cm-1の共鳴スペクトルを得ることができた.これらの実験結果と光学系の検討により,200nm前後の励起における1発のパルスによる計測のためには,エミッタンスゲイン104程度のイメージインテンシファイヤーと強度10~20mJ程度のパルスエネルギーが必要であることを明らかにした.
  • 鄒 駿, 大島 光子, 本水 昌二
    1988 年 37 巻 12 号 p. T228-T231
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    陰イオン交換カラムを用いるHPLCによるホウ素の高感度定量法を応用して,鉄鋼,鉄塩中のホウ素を定量した.ホウ酸の形で存在するホウ素は水溶液中でクロモトロープ酸と反応して錯陰イオンを形成する.この錯陰イオンと過剰のクロモトロープ酸とを陰イオンカラムにより分離し,350nmで検出した.ホウ素とクロモトロープ酸との反応性を高めるため,オクチルトリメチルアンモニウム塩を加えpH4.8で錯イオンを形成させた後,HPLC装置に注入した.溶離液には過塩素酸ナトリウムを用いた.検出限界はホウ素量0.006μg/mlであり,分析速度は1時間当たり約17試料であった.鉄イオンの影響はEDTAを添加することにより除くことができた.
  • 検量線の適用濃度範囲の拡大
    内田 哲男, 磯山 博文, 立松満理子 , 小島 功, 飯田 忠三, 後藤 敬典, 松原 道夫
    1988 年 37 巻 12 号 p. T232-T237
    発行日: 1988/12/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    原子吸光光度計の平均吸光値測定回路の一部変更と,自製の測定開始用オートトリガーインターフェイスにより,積分吸光値(シグナル全面積)を簡便迅速に測定できた.一定容量の溶液を断続的に噴霧する一滴法において,ピーク面積は注入した溶液中の目的元素の絶対量に比例することを応用し,試料溶液注入量とそれに対応する積分時間の増減のみにより,あらかじめ設定した検量線の適用濃度範囲を高低両濃度域に見掛け上約一けた拡張することを11元素について検討した.本法により標準植物試料(リョウブ)中のCu,Mg及びMnを定量し,良好な結果を得た.
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