Cdは,KIの存在で2,4,6-トリ-2-ピリジル-1,3,5-トリアジン(TPTZと略記)と反応し,錯体を形成してニトロベンゼンに抽出される.このニトロベンゼン相をAASで測定することにより,微量のCdを定量した.抽出時のpHは,2~3の範囲で最大の吸光値が得られ,抽出される錯体の組成比は,Cd,TPTZ,Iそれぞれ1:1:2であった.検量線は,水試料500cm
3にCd0.03~1.5μgの範囲で再現性の良い直線関係が得られ,濃縮倍率は100倍であり,定量下限は0.06ppbであった.Hg(II),Pb(II),Cr(III),Ni(II),Co(II),Zn(II)などは,大過剰共存しても影響しない.0.2及び2.0ppbのCdを含む溶液について測定したときの本法による相対標準偏差(
n=10)は,それぞれ3.4%,0.8%であった.本法を水試料中の微量Cdの定量に応用した.
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