多層薄膜の界面における元素の相互拡散を精密に評価する手法として, SIMSの適用を試みた.従来, SIMSによる界面分析では界面で二次イオンの生成効率が変化することに基づく特異な現象が認められるために,特殊な場合を除き精密に界面を評価することは困難であった.本稿では, Cs
+一次イオンビームを用い,二次イオンとしてCs 化合物分子イオン(CsX
+)を検出する手法を検討し,非酸化物/酸化物の界面においても微量元素の拡散を精密に評価できることを見いだした.これは, SIMSが微量元素を検出可能なことに加え, CsX
+二次イオンをモニターすることによりマトリックス効果を抑制することができたためと考察した.そして,実際にSi/ZnO及びTiN/ガラス界面の評価に適用し,この手法の有用性を確認すると共に,これら界面のキャラクタリゼーションに関し有用な知見を得た.
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