分析化学
Print ISSN : 0525-1931
41 巻, 9 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 液体クロマトグラフィー/フーリエ変換赤外分光法と液体クロマトグラフィー/誘導結合プラズマ発光分析法
    藤本 忠蔵
    1992 年 41 巻 9 号 p. 403-417
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    液体クロマトグラフィーとフーリエ変換赤外分光検出法並びに高周波誘導結合プラズマ発光検出法に関する研究を総説の形で著した.これらの結合において生じる問題点を述べ,それを解決するために著者らが行った研究の成果について報告する.フローセル法並びに溶媒除去法によるLC/FT-IR,同定能力向上のための多次元クロマトグラフィーと他のスペクトロメトリーの併用,超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)/FT-IR,LC/ICP-AES,SFC/ICP-AESに言及する.
  • 新井 隆, 黒田 宏紀
    1992 年 41 巻 9 号 p. 419-424
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    抗痙縮剤バクロフェン又は抗血小板剤として開発中のDP-1904を,カルボキシル基を有する医薬品のモデル化合物として用い,逆相系HPLC上での光学異性体分離に影響を与える諸因子について検討を行った.光学活性固定相には長鎖アルキルスペーサー型(LA-CSP),短鎖アルキルスペーサー型(SA-CSP)及びヘリカルセルロース型(Hel-CSP)の3種を用いた.移動相中の有機溶媒含量と保持比(k')の対数はLA-CSPでは広い範囲で,他の固定相では限られた範囲で直線性を示した.いずれの固定相においても,pHの変化により分離状態は大きく変化した.又,アキラルなイオン対試薬を添加することによりLA-CSPではk',分離係数(α)共に上昇したが,他の固定相ではαは減少した.逆相系HPLCにおける光学分割では,これらアキラルな分離条件を変化させることにより,分離制御を行えることが分かった.
  • 溝田 隆之, 中村 徹也, 岩崎 廉
    1992 年 41 巻 9 号 p. 425-431
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    グロー放電質量分析法により高純度モリブデン中のppb~ppmレベルの微量37元素を迅速定量した.約3時間にわたる繰り返し測定の結果から,王水で洗浄した試料について更に表面汚染を除くために約30分,特に超微量の炭素,酸素,塩素の定量では2時間の予備放電が必要なこと,大部分の元素についての再現性は相対標準偏差で3%以下であることが分かった.又ICP-AESなど他法による分析結果との比較ができたナトリウム,アルミニウム,鉄など10元素については,一方の分析結果が他方の2倍を超えることがなく,ここで使用したVG社推奨の相対感度係数が実用上満足すべきものであることが分かった.なお,チタンはモリブデンの二価イオンの妨害のため定量困難であり,亜鉛,銀についても何らかの妨害が予想された.
  • 石井 幹太, 伊藤 恭一
    1992 年 41 巻 9 号 p. 433-440
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    有機溶剤系化学発光(CL)反応のCL分析への利用を高めるため有機溶剤系で利用できるFIA送液システムを考案した.この送液システムを活用することでテトラヒドロフラン(THF)用CL分析法を確立した.送液システムは有機溶剤と水とを混合して送液系を保護する仕組みになっており,吸引式の3流路のFIA送液システムが構築されている.THFが関与するCLは固相メチルシリコーンとTHFの接触反応によって生じる.このCL反応は速度が小さく微弱なため試料の連続導入法によるストップトフロー法が感度を高めるために用いられている.界面活性剤や導波現象などによる増感によって1×10-3MのTHFの検出が可能であった.試料処理は1時間当たり72検体であった.相対標準偏差は6.2%(1M THFの7回繰り返し実験)であった.1 MTHFにシクロペンタンやトルエンなど非極性有機溶剤を10v/v%共存させた場合に約2倍の干渉があった.
  • 小林 良夫, 川本 範之, 佐藤 義蔵
    1992 年 41 巻 9 号 p. 441-446
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    チオイミデートエステル塩の高速原子衝撃質量分析(FABMS)について検討した.チオアミド類又はチオ尿素誘導体と臭化アルキルの加熱反応から得た種々のチオイミデートエステル塩を対象に測定を行ったところ,いずれの化合物からも分子カチオンが明りょうに観測され,ほとんどの場合で基準ピークとして認められた.又,基本的なフラグメンテーションの進行は,プロトン化チオアミド型イオンの生成に続き,同イオンのチオカルボニル炭素-窒素結合の開裂に至る経路と思われ,その進行とチオイミデートエステル塩の構造との関連性も確認された.更に,いずれの化合物からも良好なマススペクトルが容易に得られ,これらの知見からチオイミデートエステル塩の研究におけるFABMSの有用性が確認された.
  • バイメタル型変位出力形化学センサー
    山田 武
    1992 年 41 巻 9 号 p. 447-452
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    バイメタルは熱膨張率の異なる2種類の金属の帯状の薄板を溶接して1枚の板にし,熱膨張の差により生じる湾曲を利用したものである.この原理を広く解釈すると,膨張率の異なる2枚の板を張り合わせると同じ様な効果が得られる.つまり,化学的変化により膨張又は収縮を起こす材料と,化学的には変化しない材料を張り合わせると,特定の化学物質にだけ反応して湾曲するケミカルバイメタルが作製できることを見いだした.本研究では,膨張,収縮を起こさない層としてポリエチレンテレフタレート膜を,反応層としては,フタル酸ジオクチル,ペラルゴン酸を含むポリ塩化ビニル膜を用いたケミカルバイメタルを作製し,アルカリとの応答性について検討した.
  • 戸田 英二, 久保田 剛包, 市川 五朗
    1992 年 41 巻 9 号 p. 453-458
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    塩酸酸性の試料溶液と還元剤溶液を,135℃に加熱した反応管中に送液し,硫酸イオンを硫化物イオンに還元して硫化水素を発生させ,気液分離した後,硫化水素を含む気相を連続的にプラズマに導入することにより,硫黄を高感度に定量する方法を開発した.反応管の加熱温度及び試料溶液の塩酸濃度は発光強度に影響を及ぼすため,一定に制御する必要があった.鉄(III),ニッケル(II)及びガリウム(III)は50gl-1まで共存しても発光強度に影響を及ぼさなかったが,銅(II)が10gl-1共存した場合は,10%の負の影響を示した.硝酸は0.5M共存すると5%の負の影響を示した.リン酸は6M共存しても影響はなかった.検出限界は3.4ngSml-1で,50ngSml-1溶液を1時間連続して測定(10回)したときの相対標準偏差は1.4%であった.鉄鋼標準試料及びリン化ガリウムに本法を応用したところ,鉄鋼標準試料においては,認証値とよく一致した値が得られた.又リン化ガリウムについては,グロー放電質量分析法(GD-MS)と良い相関が得られた.
  • Kaiyu YU, 城戸 浩胤, 塚越 一彦, 前田 瑞夫, 高木 誠
    1992 年 41 巻 9 号 p. 459-461
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Carboxylated microspheres were synthesized by seeded emulsion polymerization of methacrylic acid, n-butylacrylate and styrene. The features of the microspheres such as composition, average particle diameter and particle distribution were examined by elemental analysis, FT-IR spectrum, particle grading analysis and scanning electron micrography. The manner of adsorption onto these microspheres in water suspension was studied for the metals Cu(II), Zn(II), Co(II), Ni(II) and Mn(II). The adsorption equilibrium was attained in less than 1 h. The microspheres could adsorb Cu(II) and Zn(II) selectively from weakly acidic solution (pH 5.6). The selectivity for Cu(II) among the divalent metal ions was comparable to those reported with Cu(II)-templated polymer resins.
  • 宮川 厚夫
    1992 年 41 巻 9 号 p. T113-T118
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    蛍光顕微鏡と画像処理を用いた,蛍光性カルシウム指示薬Fura-2による細胞内遊離カルシウムイオン濃度分布測定で,細胞の顕微鏡像とカルシウムイオン分布像を重ね合わせて表示するシステムを作成した.このシステムは,ソフトウエアで2種類の画像を重ねて表示できるようにしたもので,細胞像は7段階の白黒で,カルシウムイオン分布は24色で表示される.細胞像は,通常の透過光像以外に,ノマルスキー微分干渉像など,目的にあった種類が利用できる.この結果,カルシウムイオン分布と細胞構造の対比が容易になり,細胞内分布のみならず,組織切片など種々のサンプルのカルシウムイオン分布の研究にも有用であると考えられる.
  • 宮川 厚夫
    1992 年 41 巻 9 号 p. T119-T124
    発行日: 1992/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    蛍光顕微鏡と画像処理を用いた,蛍光性カルシウム指示薬Fura-2による細胞内遊離カルシウムイオン濃度分布測定で,細胞周辺部のカルシウムイオン濃度が異常に高濃度に推定される場合が多い.これは,蛍光顕微鏡でしばしば見られる蛍光像のハレーションが原因である.このため,細胞の透過光像と,カルシウムイオン分布測定時の蛍光像を重ね合わせて表示して,バックグラウンド蛍光強度と共に,ハレーション強度を指定できるようにした.更にハレーション強度以下の蛍光強度の場合,カルシウムイオン分布を表示しないようにすることで,細胞像とよく一致した分布像を得ることが容易になった.このバックグラウンド蛍光推定法は,カルシウムイオン以外に,同様な蛍光性指示薬が用いられるマグネシウムやナトリウムイオン,pHなどでも利用可能である.
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