分析化学
Print ISSN : 0525-1931
43 巻, 9 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 厚谷 郁夫
    1994 年 43 巻 9 号 p. 661-678
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    固体試料の黒鉛加熱炉原子吸光直接定量法は,固体(粉末)試料の直接導入法とスラリー試料導入法からなることを述べ,固体(粉末)試料導入法の適用による利点及びいろいろの問題点について論じた.特に固体試料の直接定量ではいろいろの種類のアトマイザーによる試料の直接導入法,検量線の作成方法,又生物試料の場合は前灰化による濃縮法が可能であること,更に直接固体試料の定量法の応用について詳細に論じた.スラリー法についてはその特徴と基本的問題点について論じ,応用例についても述べた.
  • 山本 幸市, 平岩 慶子
    1994 年 43 巻 9 号 p. 679-683
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    コロイド試薬を用いる滴定法により,イオン性界面活性剤を定量する方法について検討した.滴定終点判定の指示薬としては,スルホンフタレイン系酸性染料のプロモクロロフェノールブルー(BCPB)を用いた.BCPBはpH3付近で黄色の一価のBCPB-として存在するが,陽イオンコロイド試薬のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(Cat-Floc)又は長鎖アルキル基を持つ第四級アンモニウム塩の陽イオン界面活性剤と反応すると,二価のBCPB2-の青色となる.陰イオン界面活性剤を定量する場合,滴定剤としてCat-Flocを用い,陰イオン界面活性剤とCat-Flocの1:1のイオン会合体形成後の過剰のCat-FlocとBCPB-の相互作用による黄から青の色調変化を利用する.陽イオン界面活性剤を定量する場合,滴定剤としてポリビニル硫酸カリウム(PVSK)を用い,陽イオン界面活性剤とBCPB-の相互作用を陽イオン界面活性剤とPVSKの1:1のイオン会合で抑制することによる青から黄の色調変化を利用する.本滴定法は10-5~10-4Mの濃度範囲の陰イオン界面活性剤,及び10-5~10-4Mの濃度範囲の陽イオン界面活性剤の定量ができる簡便な方法である.市販の洗剤に含まれる陰イオン界面活性剤を本コロイド滴定法とJIS法(Epton法)により定量した結果,両者の値はよく一致した.
  • 沖野 晃俊, 石塚 博明, 平山 一成, 野村 雄二, 嶋田 隆一
    1994 年 43 巻 9 号 p. 685-689
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    プラズマの安定化手法として,電磁界による安定化ではなく,プラズマガスの旋回気流による安定化を採用した.そして,旋回気流強化型ヘリウムICP用トーチを製作した結果,溶液試料の導入時にも安定なヘリウムプラズマを生成することができた.このヘリウムプラズマの基本特性を調べるため,キャリヤーガス流量と入力電力をパラメーターとして電子密度,励起温度,回転温度の分光測定を行った.その結果,ヘリウムICPでは従来のアルゴンICPに比べて溶液試料の影響が大きいこと,局所的熱平衡が成立していないことが明らかになった.又,アルゴンICPで見られる電子密度や温度のドーナツ形状の空間分布は観測されなかった.
  • 蒲生 啓司, 坂本 真紀
    1994 年 43 巻 9 号 p. 691-696
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシルラジカルがジメチルスルホキシドとの反応によって生成するメタンスルフィン酸に着目し,これとジアゾニウム塩のカップリング反応により生成するジアゾスルホンを溶媒抽出後,逆相分配HPLCにより分離・検出するヒドロキシルラジカル間接定量法を検討した.メタンスルフィン酸ナトリウムを標準試料として,ジアゾスルホン検出のための最適条件を検討した結果,0.5~10×10-3mMの濃度範囲でジアゾスルホンのピーク面積値との間に直線関係が得られ,検出下限は0.25×10-3mMであった.本法を,Fenton反応によるヒドロキシルラジカルの発生系に応用した結果,過酸化水素濃度10~200×10-3mMの範囲において,メタンスルフィン酸由来のジアゾスルホンのピーク面積値との間に良好な直線関係が認められ,これにより,80×10-3mMの過酸化水素から8.8×10-3mMのヒドロキシルラジカルの発生が確認された.
  • 小畑 健, 前田 繁則, 後藤 隆一, 増田 真由子
    1994 年 43 巻 9 号 p. 697-702
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    グロー放電質量分析法により,超大規模集積回路(VLSI)材料として注目されている二ケイ化コバルトの原材料である高純度コバルト中のppb~ppmレベルのリチウム,ナトリウム,カリウム,クロム,鉄,ニッケル,トリウム及びウランの定量法を確立した.グロー放電の最適条件の基準は,"装置能力及び検出器の寿命を短くさせない範囲で最大のイオン電流が得られること"とした.放電電圧,電流,電極間距離及び放電面積について検討し,それぞれの最適条件を1kV,2.5mA,0.6mm,12mmφとして定めた.妨害イオンの影響を調べるため,アルゴン及びコバルトに起因するイオン強度を調べた結果,多価イオン及び多原子分子イオンの強度はコバルトについては小さいが,アルゴンについては非常に大きいことが明らかになった.カリウム,クロム,鉄に対してはガス成分に起因する複合分子イオンが接近し,複合分子イオンそのもの,あるいはそのテイリングが重複し,正の誤差を与えるが,試料を冷却してガス成分のイオン化を抑制することにより,妨害を小さくすることができた.分析値の正確さを向上させるため,化学分析法により求めたコバルト中の不純成分の分析値を用い相対感度係数を決定した.本法による定量下限は,リチウム,ナトリウム,クロム及び鉄については5ppb,カリウム及びニッケルについては50ppb,そしてトリウム及びウランについては0.1ppbであった.
  • 内山 一美, 藤田 稔, 箕輪 潤一, 吉村 吉博, 渡辺 卓穂, 大沢 敬子, 今枝 一男
    1994 年 43 巻 9 号 p. 703-708
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    ニトロセルロースメンブランフィルター上にこん跡量のタンパク質を吸着濃縮し,N-ヒドロキシスクシンイミドビオチンでタンパク質をビオチニル化した.次いで,ペルオキシダーゼ標識アビジンにより形成させたアビジン-ビオチン複合体を4-クロロ-1-ナフトール-過酸化水素で発色させ光音響定量に供した.試料溶液中に100mMの塩化マグネシウムを添加したとき,信号強度は極大を示した.一方,試料溶液中にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を添加したとき,信号強度はSDS濃度の増加に伴って減少した.試料タンパク質としてオボアルブミンを用いた場合,信号強度とタンパク質量の間にはタンパク質の量が1~300ngの範囲で直線性が認められ,検出限界は約0.8ng(S/N=2)であった.発色させたアビジン-ビオチン複合体はHe-Neレーザーの連続照射によって退色した.5種類の水試料,すなわち氷,水道水,日本製,カナダ製,スイス製の天然水に含まれるタンパク質を測定したところ,それぞれオボアルブミン換算で150,58,26,14ng/ml及びN.D.のタンパク質を検出した.水道水に対する添加回収率は104.3%であった.
  • 木下 英明, 須出 吉久, 川窪 隆昌, 臼井 敏明, 池田 篤治
    1994 年 43 巻 9 号 p. 709-714
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    新炭素素材(plastic formed carbon)を使用したPFC電極に透析膜を被覆した電極を用いて還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の定常状態での酸化電流値を測定すると,pH5~9の溶液では500~300mV(対SCE)で限界値に達した.その電流値はNADH濃度と2.5~1500μMの間で直線比例した.pH7.8で200μM NADHを5回測定したときの相対標準偏差は2.6%であった.NADH,アスパラギン酸,2-オキソグルタル酸,リンゴ酸デヒドロゲナーゼ及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)を含むトリス緩衝液(pH7.8)に血清を添加しNADHの時間変化より血清中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)活性を測定した.UV法による結果との相関はr=0.996(n=17)であった.AST測定と同様に,NADH,アラニン,2-オキソグルタル酸,LDを含むpH7.5のトリス緩衝液に血清を添加しアラニントランスアミナーゼ(ALT)活性を測定した.UV法による結果との相関はr=0.992(n=17)であった.
  • 野村 俊明, 渋川 陽子
    1994 年 43 巻 9 号 p. 715-718
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    The single drop method using an electrodeless piezoelectric quartz crystal (PQC) was able to be applied to the determination of oxalate, in the form of calcium oxalate, in spinach extract. Setting an electrodeless quartz plate, which was treated with paraffin, on the copper plate electrode in a cell, a drop of 5 μl of calcium chloride solution containing potassium chloride and acetate buffer was applied. A platinum wire of a counter electrode was inserted into the drop at 1.0 mm distance between the plate and the top of the wire electrode, and the system was left until the oscillation frequency of the electrodeless PQC became constant. The oxalate sample solution of 5 μl containing potassium chloride and acetate buffer was then added to the drop. By reading the frequency change between just after the application of the sample solution and at 3 min later, the concentration of oxalate was estimated. Oxalate in spinach leaves was extracted with hot water by boiling for 20 min. After passing through a filter paper, the extract was added to acetic acid and incubated over night. Then the extract was filtrated using a membrane filter, and to it was added potassium chloride and sodium acetate to adjust the pH to 4.6. This solution was used as the sample. The concentration of oxalate in the spinach leaves estimated by this method was in agreement with that obtained by ion chromatography.
  • 野村 聡, 野崎 浩一, 岡崎 敏
    1994 年 43 巻 9 号 p. 719-722
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    In order to expand the advantages of fast scan voltammetry, a carbon fiber ultramicrodiskelectrode with low electrode impedance was fabricated. We confirmed that the electrode was suitable for fast response electrochemistry. When applied to fast scan cyclic voltammetry, this electrode enabled measurements which are impossible by normally used platinum ultramicrodiskelectrodes, such as reduction of 2, 2'-bipyridine. Also fast scan stripping voltammetry was established.
  • 川本 博, 板橋 英之, 大貫 知之
    1994 年 43 巻 9 号 p. 723-726
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    HSAB(hard and soft acids and bases)経験則に従い,ジチゾン正抽出とEDTAによる逆抽出とを組み合わせた金属イオンの濃縮分離法を設計し,逆抽出されてきた金属-EDTA錯体を等速電気泳動法により分離定量する方法を開発した.MnII,FeII,CoII,NiII,CuII,ZnII,CdII,HgII及びPbIIの各金属イオンを対象に検討したところ,これらのうちZnII,CdII,PbIIの分離濃縮が可能であり,本法により10-6mol dm-3のZnII,CdII及びPbIIの定量が可能であった.
  • 小林 淳, 荒井 健介
    1994 年 43 巻 9 号 p. 727-730
    発行日: 1994/09/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
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