分析機器では検出器の出力からより多くの情報を取り出すことを目的に,オリジナルな出力に対して,ディジタル的に又はアナログ的に様々な処理が行われる。この論文では,ディジタル的なデータ処理であるボックスカー,間引き法,移動平均法,指数平滑法を取り上げ,これらのデータ処理が測定精度に与える影響を調べる。その結果,A/D変換器,多波長検出,スムージングに関する疑問に対して,次の経験的な解答を得ることができた:1)サンプリング間隔中のデータ収集時間を設定できるA/D変換器では,収集時間をできるだけ長く(サンプリング間隔に近づけるように)設定するのが精度的に良い;2)多波長検出においては,同時に測定する波長数が少ないほど測定精度が高いので,必要最小限の波長での測定を推奨する(サンプリング間隔=波長数×収集時間が成り立つ場合に限る);3)スムージング(移動平均法,指数平滑法)は面積測定の精度は変えないが,高さ測定の精度をかなり改善できる。元のデータは,ほかの解析にも使えるように保存しておいたほうがよい。
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