分析化学
Print ISSN : 0525-1931
53 巻, 1 号
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報文
  • 小西 明伸, 高柳 俊夫, 大島 光子, 本水 昌二
    2004 年 53 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/05/24
    ジャーナル フリー
    容量分析法の簡便化,迅速化,自動化及び省力化を含む高機能化を目的として,送液ポンプの流量比に基づくフロー滴定システムの構築と応用について検討した.フロー滴定分析法は,連続して流れる試料液,滴定剤溶液の正確な流量制御を基本原理としている.2台の送液ポンプを用いてそれらの流量を変化させながら試料液(被滴定液)と滴定剤(滴定液)を送液し,流れ内において混合・反応させ,指示薬の変色を用いて試料液中の分析対象物質濃度を流量比から定量する容量分析法である.各種酸塩基滴定を通して本法の性能評価を行い,従来法との比較を行った.酸塩基指示薬としてフェノールフタレイン,あるいはクレゾールレッドを試料液又は滴定剤へ添加したところ,強酸,弱酸を問わず検討したすべての系において直線性の高い検量線が得られた.また,終点検出の相対標準偏差は0.3% 未満であった.更に,滴定剤に2種類の指示薬を用いる多塩基酸・多酸塩基の連続滴定法について検討した.炭酸塩の分析ではブロモクレゾールグリーンとフェノールフタレインを指示薬として用い,炭酸イオン,重炭酸イオンに由来する二つの当量点を一試料測定で検出できた.
    本法を市販されている食酢の分析に適用したところ,従来法により決定した酢酸濃度と良好な一致を得た.1試料測定当たりの廃液量は50 ml程度から100 μl程度まで大幅に低減化することができ,フロー滴定分析法により全操作の自動化,試料・廃液量の大幅な低減化,滴定時間の短縮等の高機能化を達成した.
  • 鈴木 健一郎, 冨安 文武乃進, 二瓶 好正
    2004 年 53 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,典型的な都市大気中における環境微粒子を,個人エアサンプラーを用いて短時間捕集し,捕集した試料を電子プローブマイクロアナライザーを用いて組成分析した結果,粒子の起源を推定した.更に,フィールドエミッション型走査電子顕微鏡を用いて粒子表面の詳細な観察をしたところ,そこで吸着粒子と思われる粒子を確認した.また,母体となる粒子と吸着粒子のX線スペクトルを比較した結果,鉄道起源粒子とディーゼル排気すす微粒子が複合していることが明らかとなった.
技術論文
  • 中本 好一
    2004 年 53 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/05/24
    ジャーナル フリー
    分解油中の鉛は芳香族製品を製造する装置の触媒毒となるため,その濃度管理は極めて重要である.そのため黒鉛炉原子吸光法による簡便で迅速な分解油中の鉛の直接定量法について検討した.試料に含まれる有機,無機鉛化合物による感度差を解消し,更にその測定感度を増加させるため,マトリックス修飾剤としてヨウ素を採用した.本法の定量下限は5 ng g-1であり,鉛20 ng ml-1の場合,5回繰り返して求めた定量値の相対標準偏差は3.8% であった.各種の熱分解油20試料について本法を適用したところ,3試料から30~80 ng g-1の鉛が検出された.また,本法による1試料当たりの分析時間は約20分であり,受入試験法として十分活用できることが分かった.
  • 藤田 直樹, 小林 英樹, 榎並 敏行, 長江 徳和, CHARLESTON Noah
    2004 年 53 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/05/24
    ジャーナル フリー
    輸液及び注射剤等中のアルミニウム濃度の規制が,2004年に米国で開始されようとしている.本研究では,高感度なルモガリオン錯体の蛍光検出法による輸液及び注射剤等中の微量アルミニウムの測定法について検討した.ほとんどの製剤において前処理を必要とせず,回収率及び直線性共に良好な結果が得られた.また,製剤の原料成分に関しても同様の結果が得られた.生体試料の測定として尿及び血清中のアルミニウム濃度の測定を行い,尿は前処理を必要とせず,血清は酸添加及び遠心分離のみの前処理で測定可能であった.このように本測定法の測定対象は広範囲であり,かつ製剤中の1 μg/l以下のアルミニウムが測定可能である.
  • 磯崎 昭徳, 吉川 賢治, 長嶋 潜
    2004 年 53 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/05/24
    ジャーナル フリー
    親水性ポリビニルアルコール系の高性能カラム(Shodex IC SI-90 4E)を用い,亜セレン酸,セレン酸イオンを含む無機陰イオンのイオンクロマトグラフィーに適用した.四ホウ酸ナトリウム-ホウ酸溶液を移動相に用い,サプレッサー及び電気伝導度検出器を組み合わせたICにより,9種陰イオン(F,Cl,NO2,Br,NO3,SeO32-,HPO42-,SO42-,SeO42-)の溶離挙動を調べた.移動相組成,カラム温度及び移動相流量などの検討により,9種陰イオンを20分程度で良好に分離定量することができた.検出限界は,7種陰イオンでは1~30 μg/l(S/N=3),亜セレン酸及びセレン酸イオンでは,それぞれ28 μg/l,17 μg/lを示した.各イオンの検量線は相関係数0.999以上を示し,繰り返し測定による相対標準偏差は1% 前後(n=10)と良い再現性を示した.確立した定量法を有機セレンの分析に適用したところ,満足すべき結果が得られた.
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