分析化学
Print ISSN : 0525-1931
54 巻, 8 号
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総合論文
  • 三浦 恭之
    2005 年54 巻8 号 p. 651-664
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    相互に共存する硫化物イオン,亜硫酸イオン,硫酸イオン,チオ硫酸イオン,チオシアン酸イオン,ジチオン酸イオン,ポリチオン酸イオン(トリ,テトラ,ペンタ及びヘキサチオン酸イオン)といった硫黄陰イオンのイオンクロマトグラフィー(IC)を研究した.イオン交換カラムを用いるICでは炭酸塩-1,3,5,-ベンゼントリカルボン酸塩(BTC)溶液,炭酸塩-アセトニトリル溶液及びフタル酸塩の溶液を溶離液として用いた.架橋度の低いスチレンジビニル共重合体の弱酸性陽イオン交換樹脂カラムを用いるイオン排除ICにはアセトニトリルを含む希硫酸溶液を,また,シリカODS(octadecyl silica)カラムを用いるイオン対生成ICにはテトラプロピルアンモニウム塩(イオン対試薬,TPA)を含むアセトニトリル水溶液をそれぞれ移動相として使用した.BTCやフタル酸塩は溶出力の強い溶離剤であるだけでなく,サプレッサーカラムによってほとんど非解離型の分子にも変えることがでたことから,BTCを含む炭酸塩やフタル酸塩の溶離液が硫黄化学種の迅速分離・高感度電気伝導度検出ICに使用することができた.硫化物イオン,亜硫酸イオンとチオ硫酸イオンはヨウ素を還元し,また硫化物イオン,チオシアン酸イオン,チオ硫酸イオンと4種のポリチオン酸イオンはヨウ素とアジ化物の反応の速度を接触的に促進する.これらの反応を間接紫外(UV)吸光検出法のポストカラム反応に利用することにより,分析感度の大幅な増大を達成した.TPAを含むアセトニトリル水溶液の移動相は230 nmより長波長領域でほとんど光吸収を示さないため,チオ硫酸イオン,チオシアン酸イオンとポリチオン酸イオンは直接UV吸光度測定することにより簡便に高感度分析することができた.このときの検出限界は10-7 Mレベルであった.また,本ICを温泉中の硫黄化学種の分析に応用した結果,良好に分析できることが分かった.
  • 福士 惠一, 横田 久里子, 中山 雄介, 石尾 暢宏, 宮道 隆
    2005 年54 巻8 号 p. 665-677
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    キャピラリーゾーン電気泳動法による海水中の微量無機陰イオン定量法について述べた.泳動液として人工海水を用いることにより,海水試料中の高濃度塩化物イオンの妨害を受けずに,臭化物,亜硝酸,硝酸イオンを同時定量できた.本法は試料中の塩分の影響を受けないため,河川水,雨水等の海水以外の環境水にも適用できた.次いで,オンライン濃縮法として一時的等速電気泳動(TITP)を利用することにより,亜硝酸及び硝酸イオンの高感度同時定量法を確立した.本法による亜硝酸及び硝酸イオンの検出限界(LOD,S/N=3)は,それぞれ2.7,3.0 μg/lであった.本法による沿岸海水中の亜硝酸及び硝酸イオン定量結果は,ナフチルエチレンジアミン吸光光度法による結果とよく一致した.更に,リン酸イオンをターミナルイオンとするTITPを用い,ヨウ化物及びヨウ素酸イオンの同時定量法を確立した.本法によるヨウ化物及びヨウ素酸イオンのLODは,4.0,5.0 μg/lであった.
報文
  • 宮下 正弘, 瀬山 義幸
    2005 年54 巻8 号 p. 679-684
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    ヨウ化物イオン(I)が疎水性を持つことに着目し,これをイオン対試薬を使わずに逆相高速液体クロマトグラフィーで分析する方法について検討した.本分析では,カラムにHydrosphere C18を,移動相に0.05 Mリン酸アンモニウム緩衝液(pH 4.0)-アセトニトリル(95 : 5,v/v)を使用して分離を行い,紫外吸光法(225 nm)で検出を行った.試料注入量を10 μlとした場合のIの定量範囲は2.5 × 10-7から2.5 × 10-4 Mで,検出限界は0.5 × 10-7 M(S/N=3)であった.また,1.0 × 10-6,1.0 × 10-5及び1.0 × 10-4 Mの各Iを繰り返し分析(n =6)した場合の定量値の相対標準偏差は,それぞれ1.7,0.2及び0.3% で,再現性も良好であった.本研究で確立した分析法を,Iとタンパク質の結合性を調べる実験に応用した.
  • 川中 洋平, 坂本 和彦, 王 寧, 尹 順子
    2005 年54 巻8 号 p. 685-691
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィー/負イオン化学イオン化タンデム質量分析計(GC/NCI-MS/MS)を用いて,大気浮遊粒子を対象に,ニトロアレーン(2-,3-ニトロフルオランテン,1-ニトロピレン,1-,2-ニトロトリフェニレン,6-ニトロクリセン)及び3-ニトロベンズアントロン(3-NBA)の高感度定量法を開発した.本法は,精製操作としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーしか必要としないため非常に簡便である.また,GC分析において2種類の分離カラムを使い分けることにより,異性体や妨害物質とのピークの重なりを低減した.装置検出下限値は,ニトロアレーン6物質については0.08~0.18 ng/ml,3-NBAについては0.07 ng/mlと非常に低い値を示した.大気浮遊粒子からの表記物質の回収率は,92.6~106% であった.本法を大気微小粒子の分析に適用したところ,2-ニトロフルオランテン,1-ニトロピレン,1-ニトロトリフェニレン,6-ニトロクリセン,2-ニトロトリフェニレンの5物質を検出した.それぞれの濃度は,81,5.4,0.4,0.4,0.8 pg/m3であり,サブpg/m3レベルで存在している化合物についても定量が可能であった.
  • 渡辺 邦洋, 今里 直樹, 板垣 昌幸
    2005 年54 巻8 号 p. 693-699
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    多量の鉄鋼原料の取引時には鉄成分の純度を有効数字4けた以上の精度で求められることが多い.従来はその要求にこたえるために滴定法で分析を行ってきた.しかし,滴定法による分析法は熟練を要し,簡便な方法が求められている.そこで,比較的精度の高い結果が得られるフローインジェクション法による鉄鉱石中の鉄を有効数字4けたの精度で分析する方法を開発した.最適フローシステムとして一流路を選択し,安定着色成分測定ではダンパーの使用により相対標準偏差(RSD)0.068% を確認した.また,化学反応のばらつきによる精度低下を避けるために,最適呈色試薬の選定に6けたの測定精度をもつストップトフロー法を利用した.これにより,従来安定とされていた鉄錯体の不安定性が比較され,結果として呈色試薬にタイロンが選定された.試薬濃度,pH,反応コイル長さ等の条件を選定し,鉄鉱石標準試料に本法を適用した結果,一部の試料では滴定法の精度に勝る結果が得られた.全体としては滴定法に若干劣るものの,有効数字4けたの精度を有する精密分析法を確立できた.
技術論文
  • 北村 立実, 上野 清一, 中村 美樹, 柴田 美也子, 貝瀬 利一, 石崎 睦雄
    2005 年54 巻8 号 p. 701-705
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    固相抽出法により簡便にジフェニルアルシン酸(DPAA)を単離・濃縮し,はん用性の高い黒鉛炉原子吸光法で測定する検討を行った.DPAA溶液20 μlと0.025% マグネシウム液 20 μlを黒鉛炉原子吸光光度計に導入することで高感度に測定することが可能になった.固相にエタノール5 mlを負荷後,精製水 20 mlを負荷し,固相を活性化させた.次に,試料液を負荷後,精製水15 mlを負荷し固相を洗浄した後,エタノール6 mlを負荷しDPAAを溶出した.夾雑物として各種ヒ素化合物,陽イオン,陰イオン,フミン酸を添加しDPAAの測定に対する影響を検討した結果,フェニルアルソン酸は1 μgまでが許容範囲でそれ以上では,固相に吸着した.更に,鉄イオンがDPAAの回収率を低下させたが,EDTAを試料液に添加することで解決した.井戸水に対する添加回収率は97% で変動係数は2.3%,海水では102.7% で変動係数は3.4% と良好であった.また,検出限界は井戸水で0.028 ppb(ヒ素換算値0.008 ppb),海水で0.175 ppb(ヒ素換算値0.05 ppb)であった.
  • 宮脇 崇, 川嶋 文人, 本田 克久
    2005 年54 巻8 号 p. 707-713
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    本簡易分析法は,超臨界流体抽出及びオンライン固相吸着トラップによって,土壌中ダイオキシン類分析の抽出~精製工程を迅速・簡易化した技術であり,本研究ではその要素研究を行った.固相吸着剤には活性アルミナを使用しており,抽出操作時には固相吸着トラップ部を150℃ に,溶出操作時には60℃ にそれぞれ温度調節することでダイオキシン類の捕捉及び溶出が可能であることが確認された.また,本法の有効性を明らかにするために,試験用の土壌を用いて実証試験を行ったところ,得られた実測濃度は公定法による値とほぼ同等であることが確認された.また,本法の繰り返し試験による各異性体濃度の相対標準偏差は20% 内であった(n =3).本法で要する作業時間は約1日間であり,公定法による作業時間に比べ,大幅に時間短縮することができた.
  • 小池 亮, 城 昭一, 東 美喜子, 脇阪 達司
    2005 年54 巻8 号 p. 715-722
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    内部標準物質(内標準)を用いた1H核磁気共鳴(1H-NMR)法による,界面活性剤の一斉定量法を開発した.本法は,純度既知の内標準を含む溶媒に試料を溶解し,測定した1H-NMRスペクトルにおける内標準と界面活性剤に特徴的なシグナルの強度比から定量を行うという簡便な手法である.測定溶媒と内標準の組み合わせを最適化することにより,構造やイオン性の異なる界面活性剤を,煩雑な分離操作を行うことなく一斉に定量することが可能となった.また,界面活性剤に特徴的なシグナルが他のシグナルと重なった場合に,それらを分離するための手法についても検討した.本法を,衣料用液体洗剤や柔軟剤などの実試料分析に応用した結果,配合したすべての界面活性剤を一斉かつ迅速に定量することができた.得られた定量値は配合値とよく一致し,測定再現性も相対標準偏差が0.13~0.46% と良好であった.更に,キレート剤やアルカリ剤など,界面活性剤以外の成分を同時に定量できることも確認した.
ノート
アナリティカルレポート
  • 坂田 晋, 中川 克広, 有村 忠信, 中村 久夫, Greg JOHNSON, Dan WISTRAND, 君島 哲也, 山澤 賢, 四角 ...
    2005 年54 巻8 号 p. 727-730
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/14
    ジャーナル フリー
    To confirm the reliability of trace-metal impurities analysis in industrial gases for semiconductors, a proficiency test was conducted for the analysis of sodium, chromium, manganese, iron and copper in a nitric acid solution at ppb levels. This testing was performed by comparisons between Japan and U.S. laboratories of the Taiyo Nippon Sanso Corporation (TNSC) Group jointly with the Chemicals Evaluation and Research Institute, Japan (CERI). The test samples provided by CERI were so stable that the relative standard deviations of the sodium, chromium, manganese, iron and copper concentrations were 7.3%, 0.3%, 2.0%, 0.4%, 2.7% for one and a half months, respectively. The test samples were delivered to three laboratories in Japan and the U.S. and analyzed by seven analysts and eight analytical instruments within one and half-month periods. Using a z score method, the reliability in the analysis of sodium, chromium, manganese and copper was generally confirmed. It was also confirmed that the analysis of iron was reliable enough, except for two data points provided by an analytical instrument and an analyst who did not normally perform metals analysis. Thus, these test results indicate that proficiency testing could evaluate the reliability of trace-metal impurities analysis precisely, and would be very useful in identifying trending errors in the analytical methods.
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